青色珈琲

清澄白河にオープンした、ブルーボトルコーヒー(Blue Bottle Coffee)。

なんとオープン日には2〜4時間以上の大行列。ネットやニュースでも話題になったようですね。「コーヒー界のApple」とか、第三の波の「サードウェーブコーヒー」と称され、様々な媒体で目にした方もいらっしゃるのでしょうか。

でもここでは個人的にはブルーボトルコーヒーに圧勝している「喫茶店ルノアール」とルノアールに見る業態開発のヒントについてお伝えします。

なのでこのブログにはBlue Bottle Coffeeのことはあまり書いてありません。それを目的に来てしまったかたはそっとブラウザを閉じてください(笑)

(それにしてもまだ米国でも10数店舗なのに、メディア露出がやたら多くオープン前の数ヶ月前から各経済誌やウェブメディアに紹介されている、、、これはPR・広報会社がガッツリ動いてるだけで本当の価値が分かるのはこれからでは?)

実はブルーボトルコーヒーの創業者でCEOのジェームズ・フリーマンがカフェを開業したのも、元々日本に来日した時に古き良き日本の純喫茶に魅せられたから。

そこでオシャレな「カフェ」ではなく喫茶店の話題に戻ります。日本の古き良き喫茶店の雰囲気を残しつつ、関東で多店舗展開している喫茶ルノアール。実は去年で創業から50年目。

あくまで「これから」のブルーボトルコーヒーと「50年以上継続」しているルノアール。さて、どちらが普遍的な業態開発のヒントを持っているのでしょうか?

サードウェーブコーヒーや流行りに乗った業態開発ももちろんありですが、あえてクラシックな業態の良さに目を向けて業態開発をしてみることをオススメします。

ルノアールを語る上で外せない「フカフカ」

ルノアールのロゴ

久々に使ってみたのですが、もう本当に素晴らしい。

最近行っている方もご無沙汰な方も、ブルーボトルコーヒーは行列が収まるまではルノアールに行きましょう!「ルノアール最高!!」

と、もちろんルノアールにこんなテンションMAXな顧客はいませんが(笑)、私がそう思ったのは事実です。

・ルノアールを方向付けた、「フカフカ」の絨毯

ふかふかの絨毯

まず注目したいのがフカフカの絨毯。なぜ珈琲でもなくここに注目したのか?実はこのフカフカの絨毯こそがルノアールのアイデンティティーだからです。打ちっぱなしのコンクリートのオシャレカフェのことは忘れましょう。

・「フカフカ」で座席広めのイス

しかも椅子は絨毯と同じく座り心地の良いフッカフカのもの。これをすると居心地良くて回転率が落ちるんです。逆にマクドナルドや吉野家の椅子に座った時を思い出してください。いわゆる低い客単価のチェーン店は固いイスなことに気付くはずです。固いと座りが悪く、、、まあそういうことです。

しかしルノアールは完全に真逆ですよね。

ルノアールの立ち上げの時、創業オーナー創業者の小宮山正九郎氏は最初に絨毯にこだわりました。その結果、お金が足りなくなり仕方なく椅子をまばらに配置。そうするとなんとお客さんからの評価は「ゆっくりできる」と上々。これがルノアールの席の間隔が広くホテルのロビーのようにフカフカ絨毯が敷き付けられるという独特のスタイルになったのです。

飲食店の常識である回転率を無視したサービス

・各席に電源設置、wifi完備

コンセント

これも当たり前のカフェが増えてきましたがルノアールはかなり早い段階からこういった取り組みを始めていました。「滞在時間が伸びてしまう」と導入を躊躇するカフェも多い中で、昔ながらの喫茶店の様相をしながらも常にお客様が求めるものを柔軟に取り入れてきたルノアールと言えます。

逆に、顧客から見て価値がそこまでないものは廃止するということも行っています。実はルノアールの前身は煎餅屋。当初は自家製煎餅とお茶を出していたそうですが、あまり評判がなく取りやめたそうです。でももしかしたら珈琲の後のお茶のサービスはその名残りかもしれませんね。

・珈琲を飲んだ後にお茶のサービス

サービスの日本茶

さきほどのお茶のサービス、普通これってありえないことなんです。なにせカフェや喫茶店は客単価は安いもの。できるだけお客さんの滞在時間を短くして売上を稼ぐのがセオリー。

素人目線、顧客目線が業態開発のキモ

お客様目線

これらは全てお客様ならどう居心地良いか、満足してくださるかを考えて徹底されたもの。例えば小売りの現場経験のなかったセブンイレブンの鈴木敏文氏も、業態開発・改善において「素人目線・顧客目線」について言及しています。

「これが作れるからこのメニュー」のような会社の都合や大義名分や流行りからの商品開発、業態開発から脱却してみてはいかがでしょうか。「お客様のために」ではなく「お客様の立場で」お店作りは考えるべき。同じようで全く違うこの商売のセオリーを、ルノアールは体現しているのかもしれませんね。滞在時間の長さが

では、ルノアールのフッカフカの椅子でちょっと仕事してきます。

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