プレミアム牛めし

皆さん牛丼チェーンはどこが好きですか?

吉野家・すき家・松屋・なか卯・・・私は個人的には牛丼は吉野家、カレーは松屋が好きです!(笑)

牛丼チェーンの「松屋」は7月17日に「プレミアム牛めし」(380円)の発売を発表しました。22日から発売し、1都6県を中心に600店舗以上で導入。通常の並盛りで290円ですからそれと比べると30%以上の価格の開きがあります。

もちろんただの値上がりではなく、牛肉を冷凍から冷蔵に変えたりタレも無添加になったり、松屋特製の黒胡麻焙煎七味を添えたり、別メニューといったくらい変わるとのこと。

個人的には、日常使いでちょっとした高級感を感じられるメニューはあったら嬉しいですし、デフレ競争ばかりになってしまいがちな飲食(特に牛丼)業界にとっては脱デフレとしてこういった方向性も成功してほしいと思います。

さて今回はこの「プレミアム牛めし」を題材に、「メニュー構成や値段の上手な設定の方法」について一緒に考えていきたいと思います。

プレミアム牛めし発売後、通常の牛めしはメニューから無くなる

でも一番気になるのはこの記述・・・

※プレミアム牛めし導入店舗では、「牛めし(290円)」関連商品の販売を終了致します。http://www.matsuyafoods.co.jp/2014/07/17/2607/

これについて皆さんはどう思われますか?私の意見としては、普通の牛めしもメニューに残すべきと考えています。もちろんオペレーションが複雑化しないというのが前提にはなりますが・・・

 通常の牛めし(290円)をメニューに残すべき理由

むしろさらにより価格と品質がプレミアムを超える「最高級牛めし」(980円)なども用意してみたら面白いのではないでしょうか。

「どんなに美味しかろうが、松屋で980円の牛丼なんて注文されるわけがない」

そう思われる方が大半だと思いますし、実際注文数は非常に少ないと思います。一番の理由は値段のアンカリング効果によりプレミアム牛めし(380円)の注文数が上がる事です。

アンカリング効果とは、提示された特定の数値や情報が印象に残って基準点(アンカー)となり、判断に影響を及ぼす心理傾向のこと。船の錨(アンカー)が語源で、錨を降ろした船が繋がれた範囲しか動けないことと、顧客が情報を得ることで判断が基準点に縛られてしまうことを例えている。

アンカリング効果は商売によく使われている心理学

飲食店のメニュー

アンカリング効果はお客様がものを買う時に大きな影響を及ぼすものとして知られています。

例えば、今まさにこの7月ではデパートなどでセールが始まっていますが、10000円の洋服がセールで50%オフの5000円になっています。10000円という価格が判断基準のアンカー(錨)になり、非常にお得感がありますよね。

これが分かりやすく使われているのは鰻専門や寿司店などで見る「松竹梅」の戦略です。松4000円・竹2500円・梅1500円では一般的にどれが一番注文されるのか?

多くの人は、一番安いのを選んで失敗したくないという心理と松に比べれば竹は安いという心理が働き、竹の注文数が一番多くなると言われています。

実際の活用例

ワインボトルの価格決め

ちなみに弊社で以前出店などでお手伝いした大繁盛している洋食店さんは、ワインの値段設定を、まさにこのアンカリング効果を活用し注文される単価を上げることに成功していました。

「ワイン2800円〜」という表現を行い、お得感からも集客につなげているのですが、実際は2800円のワインの注文はほとんどされず4000円くらいのものが最も注文されるそうです。それはなぜか。

実はボトルワインのラインナップとして、9000円や14000円のものも用意して、それがメニュー上に2800円と4000円のワインと一緒に並んでいるのです。これを見たお客様はどう感じるでしょうか?

オーナーにお聞きすると、

「一番安いワインで満足できなかったなんてことになりたくないでしょうし、女性と一緒に来ている男性なんかは(体裁を気にして)メニュー表の一番安いワインは頼みづらいでしょうね(笑)」

とお話されていました。

2800円と4000円のボトルワインしかなければ安い方が多く注文されるだけかもしれません。9000円や14000円のワインがメニューにあることで価格感のアンカー(錨)となり4000円のワインに割安感が生まれ、注文が進むのです。

このようなアンカリングによる心理学を、皆様のメニュー構成や価格設定にもお使いになられてはいかがでしょうか?

 松屋のプレミアム牛めしに対する消費者の反応

さて最後は冒頭の話題に戻り、最後に松屋の牛めしに対する消費者の反応はどうでしょうか?インターネットでの消費者の声を抜粋してみます。

・値上げするのをプレミアム牛めしという言葉でごまかしおって!けしからん!とか思ってたけど。結構旨い。

・要するに300円の攻防から一歩でも遠ざかりたいってことなんだろ。でもやっぱ今日も290円のボタンを押しますがね

松屋行かないけど、通常価格に90円でプレミアムと言われても…。1200円の牛丼なら判るけどな。

プレミアム牛めしが380円と安すぎて、逆にプレミアム感がない。もうちょっと高くしても良かったのでは。

プレミアム牛めしになってから初めて来たが、一応前より肉が良くなってる気がした(^^)牛めしも久々で美味しく感じた(^^)

松屋の「プレミアム牛めし」。見た目は一緒だけど肉が全然違う!

賛否両論で、プレミアムも良かったが通常の牛めしも残してほしいという意見もある様子。いずれにせよ松屋さんの戦略が成功するか否かに注目です!