中小飲食店のフードコート出店が増えてきた!?

週末のショッピングセンター。その中のフードコートにはどの店も長い行列。

「あそこで出店できたら儲かりそうだな!」

飲食店開業や出店をお考えの方なら、一度や二度、なんだったら三度くらいはそう感じたこともあるのではないでしょうか。実際にショッピングセンターでの出店が成功した飲食店は、同じ業態でも路面店での出店と比べ大きな売上・利益を上げることも。でもまだまだこういった認識の店舗経営者様が多いとも言えます。

「でも個人・中小店舗だと、ショッピングセンターや大手商業施設の中に出店は難しいんじゃないか?」

そう思われる方もいますし、その傾向は確かにあります。しかし昔に比べると、中小飲食店でもこのような立地に出店することは可能になってきています。三桁以上のショッピングセンターでの出店支援の経験とノウハウを元に、このブログ記事ではショッピングセンターの中でもフードコート出店に焦点をあてていきます。

”中小飲食店がフードコートに出店可能になってきた背景”と、次の記事更新では第2弾として”フードコート出店成功のポイントと注意点”について記載していきます。

ショッピングセンター内フードコートの魅力

中小飲食店のフードコート出店が増えてきた!?

大きな商業施設では一日の売上はなんと1億円を超えるところも。地方都市の商店街の衰退とは逆に、イオンや電鉄会社・財閥系・ダイワ系列のショッピングモールが顧客を集めてきました。

特に地方都市においては高級品など非日常の買い物というよりも格安スーパーが併設され、平日休日に限らず何回も頻度高く来店されることも特徴です。

 中小飲食店がショッピングセンターに出店可能になってきた背景

チェーン店の看板

当然以前は大手チェーンのみが出店を打診されてきました。ではなぜ中小店舗に出店の門戸が開いたのでしょうか?

・大手チェーンの出店が落ち着いてきた

しかしかつて郊外のロードサイド立地やショッピングセンターで出店攻勢をしかけていた吉野家・すかいらーくグループ・マクドナルド・ユニクロ・丸亀製麺・スタバや紳士服のアオキなどの大手チェーン。

今では全国ほぼ出店が行き渡りこれ以上無理に新規出店を重ねても、お互いの同じ店舗で商圏や顧客のバッティングが起きかねない地域も当然ながら出てきました

中にはむしろ1号店から15年20年経過してブランド力が低下しているチェーン店舗も少なくありません。そうなると出店余地の減少とは別の問題で新規出店が落ち着いてきます。

皆さんも大手チェーンが居抜き物件として「テナント募集」となっているのを見た事も多いのではないでしょうか。

・どのショッピングセンターも同じようなテナント構成になってきている

金太郎あめ状態のテナントリーシング

上記にも関連しますが、 今はショッピングセンター自体もめぼしい出店立地にはオープンを終え、段々と飽和状態に。1つの商圏地域に複数のショッピングセンターや大型施設が出店する地域も目立つようになってきました。

そこで来店するお客様もショッピングセンターの運営社自身も気付き始めていることが、1つあります。それは、

「どこのショッピングセンター行っても同じブランドばかりじゃないか」

という事です。もちろん全ての施設が同じとは言えませんが、場所によっては違うショッピングセンターに同じテナントの出店ばかりが目立つ、いわばテナントの金太郎飴状態

どこに行っても同じお店があるとなると、商圏が近いショッピングセンター同士で顧客の食い合い(カニバリズム)が起きてしまうことは想像できますよね。

実はショッピングセンターの運営社は短期的には顧客が食い合おうが関係ないとも言えます。なぜなら彼らは出店テナントから家賃を得ている、いわゆる家主業。近隣の商業施設同士で顧客の食い合いが起きても、直接の収益の影響はテナントに比べると少ないと言えます。

しかし、そのままではどうなるか。

テナントの売上が落ちる → テナントが閉店・撤退 → 家賃収益が減少

こうなると施設運営社も手をこまねいているワケにはいきません。ではその状態を改善するにはどうするか?

実はカンタンな方法が1つあります。それは、今まで出店していなかった違うテナント・業態に出店してもらう。そこが、我々中小個人の飲食店がショッピングセンター出店を狙うポイントになってきます。

フードコートは現代の家庭の食事を移す鏡?

ショッピングセンターの飲食店は大きく立地上、2つに分かれますよね。飲食店がそれぞれ単独で出店しながらもエリアを形成する形と、セルフサービス式で商品をテイクアウトし大きなテーブルで自由に席を取って食べるフードコート形式。

ここではフードコート形式に的を当てていきますが、この形が1980年代に誕生しはや30年。施設運営社側としては”店舗同士の共同スペースを生み、多くのテナントを入れ込むことで家賃収入を増やす”、確かにそんな側面もあります。ただしここまでフードコートが増えたのは現代の家庭の食事形態にピッタリ合っているからこそ数を増やしてきたことをご存知でしょうか。

キーワードは個食

昔と今で違うもの、それは家庭の食事形態です。何年も日本の一般家庭の食卓を追った「変わる家族 変わる食卓 – 真実に破壊されるマーケティング常識 (中公文庫)」などでもありますが、今は個食の時代。

一言で言うと、家族ひとりひとりがそれぞれ同じ家庭の食卓で違うものを食べているんです!

と言っても、これを聞いて「そんなの当たり前だ」と思うのか「今はそうなのか…」と驚くのか、これを読んでいる世代によっても変わってくるかもしれません。

昔は母親が同じ食事を用意し、家族揃って同じ時間に同じ食事を取る。これは当たり前でしたが共働き家庭の増加、レトルト食品の発達、習い事など増え、子供でも深夜に食事を取るなど家族それぞれが違う時間で食事を取る。結果的に、同じ家族でも違う時間帯にそれぞれで、好きなもの違うものを食べている。いわゆる個食(もしくは孤食)が増えているのです。

そうなると、ショッピングセンターに家族で買い物に行った時に、同じ店で同じものを食べるのでしょうか。

そうなんです!フードコートは家族一人一人が好きなものを選べるスタイル。今の家庭の食卓で当たり前になっている個食がしやすいのはフードコート。その利用が増えているのも納得ですね。

長くなってしまったので、次回は”フードコート出店成功のポイントと注意点”についてお伝えしていきます。(〜次回に続く

補足:ショッピングセンター・フードコート物件を逃さないために

ちなみにショッピングセンターやフードコート物件は情報が出てもすぐに決まってしまう非常にスピードが早い物件。店舗物件検索サイトで探す場合はユーザー登録などで探索地域や希望条件などを入力しておき、すぐに情報を受け取れるようにすることが重要です。

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