【2019年版】飲食店開業の助成金申請

知っている人だけ得をしている「助成金」

創業や新規雇用で、要件を満たしさえすれば「国からもらえるお金」があることをご存じでしょうか?

金融機関からの融資/借入と違って、返済の必要もない助成金。
上手く使えば店舗経営の強い味方となります。

ですが助成金は地域によって、もしくは年度によって内容が異なり、さらに「適切なタイミングで適切な内容」で申請しなければ受給できません。

いわば知っている人のみが受給できて、「得」をしているもの。

さらに、ほとんどの助成金は一度受給してしまえば「何度でも繰り返し」利用できます。
同じパターンで(20万円の助成金を10人分)200万円を受給している方もいるのです。

飲食店経営者であれば助成金の知識を身につけて、開業に活用しましょう。

助成金は労働保険料が財源

助成金とは厚生労働省で取り扱っている支援金のこと。
(それに対し、補助金は経済産業省や市区町村が行っている支援金のことをいいます)
助成金の財源は、労働保険料。つまり皆さんが支払っているもの。
“もらえる”というよりは支払っているので、もらう権利が当然ある、というものなのです。

「労働保険料を払っていない」という場合には…
そのままで助成金は受け取ることはできません。
ただ、滞納した労働保険料を支払えば助成金は受給できます。
滞納している分を解消する良いタイミングかもしれません。

助成金の種類と金額

よく使われている人気の助成金を紹介します。
 ・キャリアアップ助成金 57万円
 ・特定求職者雇用開発助成金 60万円
 ・トライアル雇用奨励金 12万円

2019年は事業の生産性向上の取り組みも支援。
生産性を向上させた企業が労働関係助成金を利用する場合、助成額または助成率が割り増しになります。

[注意]
助成金は創業や雇用に掛かった費用の一部を、あとから助成(補助)してもらえるという性質のもの。創業する前・雇用する前には受け取ることができません。
創業融資と上手く組み合わせて、無理のない計画を立てましょう。

助成金をもらうための注意事項

あらかじめ、助成金について最低限の知識は必要です。
開業前の立て込んでいる時に時間がとれず、助成金を受給できなかった開業者は意外に多いもの。
どの助成金なら受給できそうか、候補を絞っておくだけでも、受給確率を大幅に上げることに繋がります。

なぜなら助成金は“あとから”申請ができないため、タイミングが命。
規定のタイミングから遅れた申請は、受付もされませんのでご注意ください。

要件を満たしていれば、高い確率でもらえる助成金。ですが、適切な手続きと申請書類の用意は必須!
より確率を上げるため、かつ時間の短縮には、プロである社会保険労務士の手を借りるのも1つの手です。守秘義務(社労士法第21条)もあるので安心して相談できます。

助成金のプロ・社会保険労務士事務所が対応

2019年は生産性要件で助成金増額

毎年毎年、大きく改廃や変更がある" 助成金 "。
2019年は事業の生産性向上の取り組みも支援。
生産性を向上させた企業が労働関係助成金を利用する場合、助成額または助成率が割り増しになります。

生産性要件の認定条件

直近の決算書と3年前の決算書で計算された「生産性」が6%以上(※)伸びていること
※金融機関から一定の事業性評価を得ている場合は1%以上

生産性の計算方法

生産性は以下の式で計算ができます。

生産性=付加価値(人件費+減価償却費+賃料+租税公課+営業利益)/雇用保険被保険者数

生産性要件を算定するための「生産性要件算定シート」が厚生労働省のホームページに掲載されています。

参考リンク:厚生労働省(労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます)

創業時、人材雇用時に使いたい人気の助成金 3つ

現在50種類以上ありますが、飲食店開業に使える助成金はごく一部。
よく使われる3つを簡単にご紹介します。

助成金は中小企業と大企業で助成金が異なります。
飲食店を含む小売業の中小企業の基準は、資本金5000万円以下・常時雇用する労働者数50人以下です。

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者のキャリアアップを促進を目的とした助成金です。
パート⇒正社員化、有期雇用パート⇒無期雇用パートなど、正社員化・処遇改善に取り組んだ事業主に対し、助成金を支給します。

支給額

①正社員化コース
有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に支給。

※支給申請上限人数、1年度1事業所あたり20人まで
※転換時に基本給が5%以上増額されていること
※ 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合に助成額を加算

< >内は生産性向上が認められる場合
1人あたり

  中小企業 大企業
有期 → 正規 57万円<72万円> 42.75万円<54万円>
有期 → 無期 28.5万円<36万円> 21.375万円<27万円>
無期 → 正規 28.5万円<36万円> 21.375万円<27万円>

②賃金規定等改定コース(基本給の賃金規定を増額)
すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成。

・すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

< >内は生産性向上が認められる場合
1事業所あたり

対象労働者数 中小企業 大企業
1人~3人 9.5万円<12万円> 7.125万円<9万円>
4人~6人 19万円<24万円> 14.25万円<18万円>
7人~10人 28.5万円<36万円> 19万円<24万円>
11人~100人 2.85万円<3.6万円> 1.9万円<2.4万円>

・一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

< >内は生産性向上が認められる場合
1事業所あたり

対象労働者数 中小企業 大企業
1人~3人 4.75万円<6万円> 3.325万円<4.2万円>
4人~6人 9.5万円<12万円> 7.125万円<9万円>
7人~10人 14.25万円<18万円> 9.5万円<12万円>
11人~100人 1.425万円<1.8万円> 0.95万円<1.2万円>

③健康診断制度コース 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成。

< >内は生産性向上が認められる場合
1事業所あたり

中小企業 大企業
38万円<48万円> 28.5万円<36万円>

④賃金規定等共通化コース
有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成。

< >内は生産性向上が認められる場合
1事業所あたり

中小企業 大企業
57万円<72万円> 42.75万円<54万円>

※共通化した対象労働者(2人目以降、上限20人)について、助成額を加算
・対象労働者1人当たり2万円円<2.4万円>(大企業は1.5万円<1.8万円>)

⑤諸手当制度共通化コース
有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合に助成。

< >内は生産性向上が認められる場合
1事業所あたり

中小企業 大企業
38万円<48万円> 28.5万円<36万円>

※共通化した対象労働者(2人目以降、上限20人)について、助成額を加算
(加算の対象となる手当は、対象労働者が最も多い手当1つとなります。)
・対象労働者1人当たり1.5万円<1.8万円>(大企業は1.2万円<1.4万円>)
※同時に共通化した諸手当(2つ目以降、上限10手当まで)について、助成額を加算
(原則、同時に支給した諸手当について、加算の対象となります。)
・諸手当の数1つ当たり16万円<19.2万円>(大企業は12万円<14.4万円>)

⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
労働者と使用者で合意し、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の適用を拡大。有期労働者等が新たに被保険者になり、基本給増額を合わせて行った場合に助成。
※1事業所あたり1回のみ、申請上限人数45人
※令和2年3月31日までの暫定措置

< >内は生産性向上が認められる場合
1人あたり

基本給の増額割合 中小企業 大企業
3%以上5%未満 2.9万円<3.6万円> 2.2万円<2.7万円>
5%以上7%未満 4.7万円<6万円> 3.6万円<4.5万円>
7%以上10%未満 6.6万円<8.3万円> 5万円<6.3万円>
10%以上14%未満 9.4万円<11.9万円> 7.1万円<8.9万円>
14%以上 13.2万円<16.6万円> 9.9万円<12.5万円>

⑦短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成。

・週5時間以上、所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合

< >内は生産性向上が認められる場合
1人あたり

中小企業 大企業
22.5万円<28.4万円> 16.9万円<21.3万円>

助成金のプロ・社会保険労務士事務所が対応

特定求職者雇用開発助成金

高齢者、障害者等の就職困難者を雇用する事業主をサポート。

要件

・雇用保険の適用事業主であること
・継続して雇用(雇用保険の一般被保険者として雇い入れる)すること
・対象労働者の雇い入れ日、前後6カ月で事業主都合の解雇(勧奨退職を含む)をしていない
・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の支給決定の対象を過去3年間解雇していない

以下の場合は、支給対象になりません。
・紹介以前に雇用の予約がある
・過去3年間のうち、対象労働者が働いたことがある事業所
・支給対象が途中で離職

支給額

・週の所定労働時間30時間以上

1人あたり

対象労働者 中小企業 大企業
高年齢者(60歳以上65歳未満) 60万円 50万円
母子家庭の母
父子家庭の父
60万円 50万円
重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円 50万円
重度度障害者等 240万円 100万円

・週の所定労働時間20時間以上30時間未満

1人あたり

対象労働者 中小企業 大企業
高年齢者(60歳以上65歳未満) 40万円 30万円
母子家庭の母
父子家庭の父
40万円 30万円
重度障害者等を除く身体・知的障害者 80万円 30万円

助成金のプロ・社会保険労務士事務所が対応

トライアル雇用奨励金

職業経験の不足などから、就職が難しい求職者を3か月試用雇用し、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとするための助成金。適正を確認できるため、ミスマッチを防げます。

「トライアル雇用」奨励金の対象者

①紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している人
②紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている人
③妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている人
④紹介日時点で、ニートやフリーター等で45歳未満の人
⑤紹介日時点で、就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する人(※)
※(生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者)

要件

・トライアル雇用労働者に係る雇用保険被保険者資格取得の届出を行っている
・公共職業安定所(ハローワーク)等の紹介により、「トライアル雇用」として雇用
・対象者に係る紹介日前に、当該対象者を雇用する約束をしていない
・3親等以内の親族ではない
・過去3年間、対象者を雇用または職業適応訓練をしていない(短期訓練を除く)
・トライアル雇用から常用雇用へ移行した過去の実績が条件を満たす
(常用雇用へ移行した数>移行しなかった数+トライアル後未報告の数)

支給額

1人あたり、月額最大4万円(最長3か月)で12万円の受給ができます。

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既に廃止された助成金

今まで創業時に多くの方が活用していた助成金が廃止になっています。
「もらえる」と思っていると計画が崩れてしまうのでご注意下さい。

【廃止】特定受給資格者創業支援助成金
失業者(雇用保険の受給資格者)の創業時に150万円を限度として(飲食店開業の場合はほぼ満額)受給することが可能な助成金です。
個人・法人のどちらの登記でも適用されますが、登記してしまうと一切も貰えません。順番が重要です。

【廃止】若年者等正規雇用化特別奨励金
年長フリーター等(25歳以上40歳未満)や採用内定を取り消されて就職先が未決定の学生等を正規雇用した場合、もしくはトライアル雇用・有期実習型訓練終了後に正規雇用した場合に、1名当たり最大で100万円の助成金を受給することが可能です。

助成金と補助金の違い

助成金と補助金は「返済不要」つまり、どちらも「もらえるお金」です。
また、基本的にどちらも後払いです。

助成金と補助金の1番の違いは、助成金が要件を満たせばほぼ受けられるのに対し、補助金は受けられるか分からないという部分です。
補助金をもらえる会社の数には限りがあります。その為、申し込めば必ずもらえるということにはなりません。
補助金を何に使うのか、上手くアピールし、選んでもらう必要があるのです。
提出する事業計画書がカギを握っています。

助成金のプロ・社会保険労務士事務所が対応

公的なホームページのご案内

その他、非常に沢山の種類がありますので、詳しくお知りになりたい方は、助成金を実施している各行政機関のホームページ等をご参照ください。

・厚生労働省管轄の助成金
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/index.html

・経済産業省管轄の助成金(補助金等)
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/index.html

助成金を申請するに当たり、必要となる書類や手続きについては、申請する助成金の書類によって異なりますので、
・どの助成金を利用するか?
・自分(自社)が、受給要件を満たしているか?
・いつ申請すれば良いか?
をしっかりと確認の上、必要な準備を進めるようにしてください。

厚生労働省管轄の助成金については、ハローワークで無料相談を受け付けていますので、助成金申請をご検討される際には、お近くのハローワークにご相談に行かれることをおすすめします。
無料相談を受け付けている社労士事務所がお近くにあれば、社労士さんに相談しても良いでしょう。

※2019年4月現在

助成金の種類や内容、受給資格等は、経済状況や雇用情勢に伴い、変更となる可能性がありますので、実際に申請を行う際には、管轄機関あるいはお近くの社会保険労務事務所等にご相談させることをおススメします。

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