売上管理

 売上管理では、売上を構成する様々な実績を記録して、傾向を分析し、売上を上げる方向性を模索します。

Ⅰ.売上高を管理しよう

 売上高を、年間、四半期、月次、週次、日時別に記録し、分析します。
1. 年商
市況に左右されやすいですが、成長戦略を描くのに必要です。自店舗の成長と経済環境の変化を読み取ります。

2. 四半期
年間売上を四半期別に分けてみます。3ヶ月ごとの売上をトータルしてみてみると、どの季節が繁忙期なのかがわかります。これは業態や地域によって異なりますが、閑散期に対策を打つことができます。

3. 月次
毎月の売上を記録することによって、月毎の売上変動が明らかになります。売上の変動を測る指標を、季節指数と言います。季節指数を調べ、暇な月と忙しい月でそれぞれ対策をすることで戦略を立てることができます。

4. 週次
週毎の売上を記録することで、1ヶ月のうちでどの週が暇なのか忙しいのかが把握できます。給料日前の週は財布の紐も硬くなるな、サービスメニューを打ち出して呼びこもう、などと戦略を立てることができます。

5. 日時
一日の売上を時間帯別に記録しましょう。ランチタイム、アイドルタイム、ディナータイム①、②などなど、営業時間帯によって分類できます。こうすることによって一日のうちで人の流れが見えるようになり、各時間帯の対策を講じることができます。

Ⅱ. 季節指数を把握しよう

業態や地域によって、季節ごとの売上には変動が生じます。よく前月対比で売上を追っている店舗を見ますが、季節指数を考慮すると、2年目以降は、対前年同月対比で売上を追っていくのが望ましいです。
季節指数
季節指数(%)は、
月間売上実績÷年間売上実績×100


で求められます。

数年分のデータが揃ってきますと、たとえば、4月の季節指数を知りたい、というとき、過去4年間の4月売上の累計を、過去4年間の累計年商で割ることで、より信頼性の高い傾向が見えてきます。

Ⅲ. 売上目標を立てよう

月毎の季節指数が求まりますと、それを利用して売上目標を立てることができます。

前年比+15%を狙う場合
来季年間売上目標額目標額=今季年商実績×来季年商上昇率(115%)
来季月別売上目標額=来季年間売上目標額×隔月の季節指数


で求めることができます。

季節指数は、経営の安定期に入ってから求めたほうが信頼性が高いです。開店直後はどうしても変動が激しくデータとしての信頼性にかけるからです。3年くらい安定的に売上をあげられるようになった段階で求めると信頼性の高い数値といえ、より正確な経営戦略を描けるようになるでしょう。

Ⅳ. 売上の問題点を修正しよう

今までご紹介してきたように、売上を色々な角度から記録することで、様々なな問題点が見えてきます。ここでは、見出された問題をいかに対策していくかについてお話しします。

1.売上構成を把握しよう
時間帯別売上
ランチタイム、アイドルタイム、ディナータイムそれぞれの時間帯で、一日の売上の何%を占めているのか把握しましょう。売上は一日単位で捉えようとするとなかなか対策が打ちにくいものです。ランチタイムの売上を何%アップする、というようにどの時間帯にどのくらい売上を上げるのか具体的に明確化していきます。

週次売上
時間帯別売上と同様、どの曜日の売上をいくら上げるのか具体的に設定していきます。

客層
時間帯別にどんな客層がどのくらい来店しているのか把握しましょう。売上のうち何%をどの客層が占めており、この客層をどのくらい増やせば、あるいは減らして、あの客層をこのくらい増やせば、売上がこのくらい上がる、というように対策を立てられます。

2.客数、客単価、回転数を把握しよう
売上の問題点を把握するのには、客数、客単価、回転数を時間帯別に分析します。時間帯によって、客数が少ないのか、客単価が低いのか、回転数が低いのか、などを検討していきます。

滞在時間
客数が多いのに売上が上がらない場合は、客単価が低いか、回転数が低いのかもしれません。なんだか忙しいのに儲かっていない、という場合は、喫茶店のようにドリンク一杯でだらだらと長居されているかもしれませんし、単に、料理の提供スピードが遅いのかもしれません。滞在時間を計り、目標時間帯売上を達成するために、何回転させれば良いのか計算しましょう。
 例えば一般的に客単価が低く、営業時間の短いランチタイムでは、目標時間帯売上を達成するためにいかに素早くオーダーをとって提供スピードを早めるかがポイントになるのは言うまでもありません。

満席率
 提供スピードも改善して滞在時間も短くした、けれども売上が思うように上がらないという場合は、満席率を調べましょう。
 例えば30席のお店には、常時30人のお客様が着席できるわけではなく、テーブル席などでは、相席をお願いしない限り、空席が生じてしまいます。
 そういう場合、テーブル席主体のお店では、全卓埋まっていても満席率はせいぜい70%前後でしょう。
 これはホールの席案内のオペレーションもさることながら、4名テーブル席を2名テーブルに変更したり、カウンターを増やしたりなど、レイアウトの変更も視野に入れます。

客単価
 料理の提供スピードも問題ない、滞在時間も短い、満席率も高い、けれども売上が一向に改善しない、そういう場合は客単価を見なおしてみる必要があります。
 売上改善のもっとも安直な改善方法は、客単価のアップなのですが、実はこれは思うようにはうまくいきません。それどころか、このご時世においては、客離れの要因となります。逆に、減る一方の客足をつなぎとめる目的で渋々客単価を下げざるを得ない、価格競争に巻き込まれている、というのがデフレ時代の外食業界です。
 客単価は、セットか新商品投入によってアップさせます。プラス一品のメニューを増やし、セット販売することで安くオーダーできたり、平均客単価よりも高いメニューをお値打ち価格で平均単価よりやや高めに設定して打ち出します。こういった商品にオーダーが集中してくればおのずと客単価はアップします。
 また、単品の価格は上げずに、メニュー構成を全体的に、ワンランク上のプライスゾーンに設定していく(単価の高い商品を増やしていく)、という手法もありますが、やや難易度は高めです。

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