飲食店の労務/シフト管理の方法【シフト表付】

労務管理とは?

労務管理とは、組織の経営資源のヒト(労働力)・モノ(生産手段…設備や原材料など)・カネ(資本)の3要素のうち、ヒト(労働力)を対象とする管理活動のことを言います。

具体的には、

 (1) 雇用管理 : 採用、人事配置、人事考課など
 (2) 作業・時間管理 : 勤怠管理、シフト管理、作業効率改善など
 (3) 賃金管理 : 給与計算、各種手当の支給等
 (4) 安全・衛生管理 : 労災・雇用・社会保険、職場内の衛生管理・安全維持
 (5) 教育訓練・人材育成 : 研修、OJT、ジョブローテーションなど

などを指しています。

(1)雇用(採用)については、既に別の章で触れていますので、詳細は割愛しますが、人事評価制度・人事考課については、スタッフのモチベーションに大きく影響するところですので、例えアルバイトであっても、階級制度を設ける、特別報償制度を設ける、定期的にオーナーや店長から人事考課に関するフィードバックを行うなど、人事考課・人事評価制度についてはしっかりと考えておいた方が良いでしょう。

勤怠管理・シフト管理について

▶シフト表の無料ダウンロード

スタッフのシフト管理、勤怠管理は飲食店にとって、非常に重要な問題です。店舗のオペレーションに無駄や無理が生じないように、ピーク時やオフ時(アイドルタイム)をしっかりと認識し、人手が足りなくなったり、逆に、人手が余ったりしないように適正なシフトを組むように心掛けましょう。シフトが適正化されていないと、結果的に、人件費がかさみ、店舗の収益を圧迫することになります。

また、例えシフトがしっかり組まれていても、遅刻や無断欠勤をするスタッフがいたり、勤務時間にサボっているスタッフがいたりすると、せっかくのシフトが意味のないものになってしまいます。タイムカード等で、出勤時間や退勤時間を記録するのはもちろんのこと、勤務時間中の「勤務態度」・「時間の使い方」などもオーナーや店長、リーダーがしっかりとチェックし、スタッフ全員が気持ちよく、且つ、効率良く働ける環境を作っていきましょう。

なお、シフト管理や勤怠管理については、レジ機能と一体となった管理ソフトやPOSシステムもあります。
ので、そのようなツールを利用し、管理効率を向上させることも同時に検討されると良いでしょう。

給与計算・各種手当の支給等

飲食店の場合、正社員は月給制、アルバイトは時給制を採用するのが一般的です。店長については、店舗の業績と連動させる為に、出来高制や歩合制を採用することもあります。但し、出来高制・歩合制を採用する場合には、法律に定める最低賃金を下回らないように注意が必要です。
諸手当についてはお店の運営方針に従って独自に設定する形になりますが、通勤手当、役職手当、家族手当、精勤手当などが一般的なようです。また残業を行った場合には当然ながら残業手当の支給も必要になります。

給与の計算については、例えば、アルバイトが1~2名程度であれば手計算でも対応できますが、お店の規模が大きくスタッフ人数も多くなってくると、時給の計算だけでなく、各種手当、残業代、社会保険控除、有休休暇の管理など、計算が複雑になり、どんどん手間が増えていきますので、「手間が掛かり過ぎる」「面倒だ」と感じるようであれば、労務管理の専門家である社会保険労務士(社会保険労務士事務所)や給与計算代行会社にアウトソーシングすることも考えた方が良いでしょう。

給与計算代行会社は、非常にリーズナブルな料金設定をしているところが多いですが、社会保険労務士の独占業務である一部の書類作成業務や提出代行業務は行えないか、別料金となるケースがありますので、依頼(契約)する前に、「どこまでやってくれるのか?」はしっかりと確認した方が良いでしょう。
社会保険労務士事務所)の場合、顧問契約を結ぶことにより、労務に関することは一通り面倒を見てくれますが、給与計算代行会社に比べると料金が少し高い傾向があります。(飲食店1店舗で2~3万円が相場と言われています。)

最近では勤怠管理と同様、給与計算についても、まとめて処理ができる管理ソフトやPOSシステムもありますので、そういったツールの活用を検討してみるのも良いと思います。

安全管理・衛生管理

清掃や整理整頓により、職場内(店舗内)を、安全、且つ、清潔に保つというのは当たり前のことですが、労務管理の観点からはそれだけは十分と言えません。

労働者の安全や健康あるいは雇用を維持・保護する為に、日本の法律の下では、下記のような保険制度が運用されていて、一定の要件を満たした場合、強制的に加入が義務付けられています。

・雇用保険 : 週所定労働時間20時間以上かつ雇用期間が31日以上であれば強制加入・労災保険 : 飲食店の場合はほとんどの場合、強制加入となります。
・健康保険 : 個人経営の場合には任意適用、法人であれば強制適用となります。
・厚生年金 : 個人経営の場合には任意適用、法人であれば強制適用となります。

社会保険の適用事業者となる場合には、それぞれ、雇用保険は公共職業安定所に、健康保険・厚生年金保険は社会保険事務所にて、それぞれ資格取得手続きを行うことになります。これらの資格取得・喪失の手続きが面倒に感じるようでしたら、社会保険労務士に任せてしまっても良いでしょう。

教育訓練・人材育成

飲食店にとって、スタッフを育成する、というのは、経営上の最重要課題となっても過言ではありません。
「教育訓練・人材育成」については、次の章で詳しく見ていくことにしましょう。

初めて人を雇う方のチェック表&シフト表(無料)

安定して利益を出すには”感覚”ではない管理を

ページの先頭へ

無料ツール

開業セミナー