開業インタビュー

「飲食店は生半可な気持ちでは出来ない」そう語るのは、広告代理店から脱サラで開業した名和様。未経験の飲食業界に飛び込んだワケ、そして開業までに行った準備や苦労、そしてお店の名前に込められた想いなどを伺いました。

新橋駅から歩いて5分、新橋と御成門の中間にTAKOYAKI DINING 8864(ハッパロクジュウシ)はあります。

脱サラで開業を決意!東京には美味しいたこ焼屋がない

元々飲食とは関係ないことをやられていたとお聞きしましたが・・・

僕はずっと普通にサラリーマンやってきました。広告代理店で5年ちょっとぐらいです。脱サラして開業しました。
このサラリーマン時代もかなり働いていました。入社から4年目あたりに、「どうせ頑張るなら自分で何かやりたいことをやろう」と思ったんです。そこから自分のお店を持つに至りました。

「たこ焼居酒屋」に決めたきっかけは?

「自分でお店をやりたい」と思った時に、自分が好きなものの方がいいなと考えたんです。自分が飲むのも好きですし、都内に本当に美味しいと思えるたこ焼屋さんがあまりなかったんです。そこで、たこ焼きのお店がいいな、と。

出身は千葉ですが大学は大阪で、美味しい店も知っていました。東京はたこ焼イコール「銀だこ」みたいになってますが、あまり好きじゃないんです。そこで「美味しい」と言われるたこ焼き屋も食べ歩いてみたのですが、あまりピンと来なかったですね。だからこそ、やってみる価値はあるな、と思いました。

考えている時に気付いたのですが、おじさんたちが気軽に入れてたこ焼きを食べながら飲める店はちょこちょこあっても、女性が入れる店は少ないんです。女性もたこ焼き自体は好きなんですけどね。まだまだテイクアウトが主流でゆっくり座れる店も少ないですし、「女子会」ができるようなたこ焼き店は面白いんじゃないかと思いました。

ラーメン店の居抜きの内装をほぼそのまま使ったとは思えないほど、女性も入りやすい清潔感ある店舗。

経験0から始め、半年後には店長へ

飲食の経験はなかったとお聞きしましたが、まずは何から始めましたか?

何のノウハウもなかったので、修業に出ることにしました。まず、都内はもちろん、大阪の色々なたこ焼を食べ歩いて自分のイメージに近いものを探しました。味もそうですが、店舗のサイズ感や雰囲気も見てましたね。 その中で1番イメージに合った店に交渉して、そこで働かせてもらえるようにしました。2年弱ぐらいですかね、お世話になりました。

働いていたのはどのような店だったんですか?

カウンター9席と外にちょっとテーブルがある程度の狭い店でした。お客さんがめちゃめちゃ来ちゃう時間帯の4時間だけバイト入れて、あとは基本1人でやってるような形でしたね。

もちろん最初から1人だったわけではなく、最初は僕がアルバイトの立ち位置でした。オーナーさんの親族の方が店長をやっていたんですが、3か月ぐらい経つと僕が店を1人で回す状況が増えていったんです。忙しい時もありましたけど、なんとかやりきりました。まぁ、アルバイト1人がぶん回してるって感じでしたけどね。

そうしてたら、僕が入って半年後にフードコートへの出店の話が出たんです。フードコートの新店舗に今の店の店長が移動。1人でやっていることも多かったので「大丈夫だよね」というお墨付きをもらって、半年で僕がその店舗の店長になりました。それから1年半ぐらい店長をやっていました。

では、その店舗で全てを学ばれたんですね?

店の運営などは本当にそうですね。ただ、その店はフランチャイズだったので、焼き方は参考になっても粉の配合は隠されていました。フランチャイズの本部の社長以外は配合を知らない、みたいな。その辺は盗めないので、「自分で味を作っていくしかない」という状況でした。その部分は0から、店を閉めた後などに研究しました。

TAKOYAKI DINING 8864のイチオシは、素焼きのたこやき。何もつけずとも、おいしく食べられる生地への自信があるからこそ。

まずは物件に合わせて、店舗のコンセプトを考えてみた

2年間の修行を終え、開業へ向けて何から準備しましたか?

まずはコンセプト作りです。「絶対この場所に出すんだ!」というところから始まったものでもないので、コンセプトをがっちり決めるというよりは、逆に、立地にコンセプトを寄せていくイメージでした。物件ごとに色々考えていました。物件を見に行く時も、インターネットで調べている時も色々考えましたね。こういった客層がいるのであれば、こういうコンセプトで・・・と色々シュミレーションしました。凝り固まった形にはしていませんでした。

もともと不動産系の顧客を相手にする仕事でもあったため、土地勘は既にあったんです。どの駅には何があるのか、どんな町なのか、ここは飲食だけやってきた人より知識はあったと思います。それでイメージはしやすかった、というのもあります。

物件探しにはトータルでどのぐらいの期間がかかりましたか?

店のイメージは考えてはいたのですが、実際『何から手を付けていいか』分かりませんでした。店の運営は2年間やっていたので、かなり具体的にイメージがつくんです。でも、「開業するにはどういう順序で、どういう契約をしていくのか、必要な準備は何か」などさっぱりでした。それで、インターネットで探して開業準備セミナーに行ってみたんです。そこで大森さん(弊社開業アドバイザー)とお話して、前に進んでいけるようになりましたね。

左写真:(左)名和様 (右)開業アドバイザー 大森
右写真:セミナー開催の様子【全国主要都市で開催】

1階路面店の物件を探すも、予算面で難航

物件を見つけるのにどれくらいの期間がかかったんでしょうか?

物件探しに半年ぐらいはかかっています。物件の情報をもらって資料を見ながら検討して、足を使って現地に見にも行っています。(物件を見た数は)結構な数になると思います。行ったのは東銀座、人形町、東日本橋などです。地下や2階の物件も見たんですが、テイクアウトのことを考えると厳しくて。やりようは色々考えはしたんですけど、見送りました。

あとは、以前に勤務していた会社が東銀座で、最初はその近くで物件を探していました。「知り合いが来やすいところでやりたい」というのはあったんですけど、良い物件が出てこなかったんですよね。

たこ焼という業態上、テイクアウトもやりたいので路面店にこだわっていたんですが、予算に合わないなどの問題がありました。そこで、新橋も検討し始めました。修業していたお店が田町で、そこにもお客さんはある程度ついていたので、前の会社と店との2つの間をとって、どっちからもワンメーターで来れるみたいな(笑)

新橋での物件探しは苦労されたとお聞きしましたが?

最初は新橋で探し始めて、「新橋はめちゃめちゃ高いよ」って大森さん(弊社の開業アドバイザー)に言われた通りでした。物件を見る度に「無理かな」って思ったんですが、出会っちゃったんです

居抜きで自分の考えているイメージにぴったりのお店、小汚いよりは女性も入れるような店舗に。今まで見た中で1番ピンときました。それで、昼も夜もここに来て客層や人通りなどチェックして、最終的に決めました。

1番の決め手は予算です。この店舗は元々ラーメン屋でしたが、開業から半年程で閉店。すごく綺麗な状態で残っていました。今、ほぼ変えずに使ってますから。いじったのは、棚を付けるのと看板だけですね。内装は120万円しかかかってません。設備はリースなどが全くなかったので、全て買い取って380万円くらいしました。

状態はすごく良くて、不要なものはそのまま売れましたね。茹で麺機や餃子焼機ですとか。スペースを空けて、たこ焼の焼台を入れなくてはいけなかったので売れたのは助かりました。

右側はテイクアウト窓口。持ち帰り販売もできる店舗に。

2ヶ月のフリーレント期間を使って開業準備を行う

開業されてそろそろ2年ですか?

もう少しですね。物件契約したのが7月1日。オープンは9月なんです。(インタビューは2014年6月)契約時に7月から9月の間をフリーレントにしてもらったんですよ。

前のテナントさんが抜けたいタイミングがあるじゃないですか。入っていると賃料も払い続けないといけませんし。僕の検討している時期がちょうど良く、「6月中の契約であればフリーレント2か月」と言ってもらえたんです。(※フリーレント・・・入居後、一定期間の家賃が無料になること)

正直、よかったです。準備期間は取りたいと考えていましたけど、家賃が発生するとなかなか難しいじゃないですか。フリーレントの2ヶ月は工事と準備期間に充てました。この期間中は店舗にこもって必死に準備しました。たこ焼以外のメニュー開発をしなくてはいけなかったんです。あとオペレーションを考えるなど、準備することは多くありました。

たこやきは全部で6種類を用意(素焼き・塩・ゆずポン酢・だし・ソース・土佐しょうゆ)。鉄板系のメニューや一品おつまみも充実!

日祝は休み。来店が少ない土曜はフェイスブックでイベント集客

1日のタイムスケジュールを教えていただけますか?

8時30分に起きて、まず10時に銀行に行きます。その後買い出しを済ませ、10時30分に店に来ます。ランチが11時30分から2時までで、2時から4時まで休憩。4時から仕込みをして5時にオープンです。

平日は23時30分閉店。店を出るのは12時過ぎですね。平日は金曜日だけ朝までやっています。土曜日は逆に夜だけにして、日祝で休みです。

昨日は知り合いが来ていて、1時過ぎまで飲んでいたので出たのが2時ごろでした。家と店舗は自転車で移動しているので問題はないですね。

土曜日は夜のみ営業されているんですね?

オフィス街なので、日祝休みにしました。土曜日も実際休んでもいいぐらいです。集客的に土曜日は結構厳しいんですよ。でも、知り合いで遠方から来てくれる人は平日は仕事で、土曜日じゃないと来られないというのもあるんですよね。

あとは土曜日は貸切利用があります。オフ会などいろいろ。例えばウイニングイレブン(サッカーのTVゲーム)をやりたい人を集めて大会ですとか。フェイスブックから集まってくれたりするんですよね。土曜日は売上としては見込んでない部分があるので、そこで小さくても宴会が入ると大きいんです。なので「何かやりたいことあれば声かけて」とは伝えています。

集客にフェイスブックを活用されているんですか?

ずっとやっているのはフェイスブックです。効果はそれなりに出てます。助けを求めると誰か来てくれるみたいな(笑)1時期クーポンランドなどもやっていたんですが、それで今来てるお客さんがいるかと言えばいないので、難しいです。グルーポン系はもうやりたくないですね。クーポン使って終わってしまう(2回目以降来てくれない)形になってしまうんですよ。

この場所だと、通りすがりで入ってくるよりも、わざわざ来てくれる人の方が多いんです。「たこ焼」などで事前に調べて入ってくる人。うちはリピート率で言えば相当高い方で、「(一度)来てもらえれば」という部分があるんです。

今、フェイスブックが340いいね!位ついていて、そこからの予約もあるので、これが1000いいね!になったら大きいと思うんですよね。

営業時は何名体制でやっていますか?

基本2人でやっています。大学の同級生がベタ付きで一緒に働いていてくれています。僕と同じ日数入ってくれていて、何とか回っているという状態です。お客さんの入り方、同時に来るとかにもよって、ヤバい時もありますけどね。

あとは月曜・金曜のみアルバイトの子が入ってくれています。金曜日は忙しいので来てもらっています。月曜日は店自体はアルバイトさんなしでも回せるんです。ただアルバイトの子にも「この位働きたい」という希望があるので、こちらの無理だけを通すことはせずに調整しながらやっています。月曜日は仕込みがあるので助かっていますけどね。

ランチはALL600円で提供。
夜は「たこ焼き」×「ワイン」という提案も行っています。

ランチのお客さんは男性が8割。ランチ・ディナーあわせると大体男女比7:3ぐらいになるそう。

「8864」(ハッパロクジュウシ)の店名に込める思い

個性的な店名ですが、その由来は?

8864と書いて「ハッパロクジュウシ」と読みます。

店名はもともと考えていたというものではありません。働いていた広告代理店の仲間にロゴなども作ってもらったんです。タコの足の本数の「8」にちなんだ名前にしたい、と話していてぱっとでてきたのが「8864」でした。面白いし、覚えやすさもあったのでコレにしました。日本人なら皆九九は知ってますし、お客さんにも聞かれるのできっかけに良いんです。

どこかに書いてあったことなんですが、この話が鉄板です。人生楽しいこと64%、悲しいこと36%、ハハハと笑う8×8が64%、しくしく泣く4×9が36%、合わせて100%。うちの店に来たときがハハハと笑う8×8の部分でありますように、という願いで付けたと説明すると「へぇ、深いんだね」とお客さんが反応してくれるんです。話のネタに良いです。

本当にかなりの確率でお客さんから由来を聞かれます。ショップカードを渡して説明するんですが、もうリピーターになってくれるパターンです(笑) ハッパって皆略して呼んでくれていて、「ハッパ行こうぜ」と常連さんは言ってくれるんです。それを聞くとこの名前にして良かったなって思います。

「8864」の今後としてはいかがですか?

一緒に働いてくれている彼とも話したんですが、もっと味の評価をしてもらえる場所に出店するのもありだと考えています。

駅前でテイクアウトのみの店舗で、ばんばん何百皿も出していくとかです。アンテナショップではないですけど、味を知ってもらうことを目的とした店。こちらの集客にも繋がると思いますし。今の店舗だとどうしても限界はあるので、売上を上げようと思った時にはもう1店舗増やすのはありです。

本場大阪のたこ焼と美味しいお酒で楽しい会話を楽しんで欲しい。それがオーナーが店名の8864に込められた想い。

脱サラ開業者の先輩としてアドバイス

名和さんが1番しんどかった時期はどう乗り越えられましたか?

開業から半年から1年ぐらいのところがしんどかったです。

オープン2か月は知り合いの力で結構売っていました。ありがたいことです。元の会社に近いということもありましたし、取引先の方も含めるとかなりの人数に来ていただいてます。

1回で終わってしまうとアレなんですけど、案外たこやきが美味しいと言ってまた来てくれるんです。その時に新たに人を連れてきてくれたりして、最初の半年は助けられました。人通りの多い場所ではないので、固定客がつかないとどうしようもないんですが、リピート率の高さは強みです。

脱サラ開業者が1番辛く感じるのはどの部分だと思いますか?

拘束時間ですかね。1日の2/3はここにいますから。自分の店だから「自分のペースで出来てちょっと自由な時間もできるんじゃないか」と考える人もいると思うんですが、全然そんなことないですからね。お客さんありきなので。
よっぽど会社員で有給使った方が自由な時間があります(笑) 土日休んで定時であがる働き方をしていたら、そこからの変化は覚悟しておいた方が良いと思います。でも、雇われて働いているというのと自分で店をやっているのでは全く感覚は違うので本気の人であれば大丈夫だと思います。

(飲食業での独立開業は)生半可な気持ちではできませんが、間違いなく「やりがい」はありますよ!

左:8864 名和様
右:開業アドバイザー 大森

名和様より大森へメッセージをいただきました。

インタビュー店舗 「8864」

開業情報
物件取得 約720万円
(敷・礼・保障金・下記造作代含む)
造作代 約380万円
内装工事 約120万円
厨房機器 約50万円
備品類 約20万円
初期販促 約10万円
坪数 14坪
席数 22席
平均月商 ナイショ
店舗情報
住所 港区新橋5-10-8
JR線・東京メトロ銀座線・都営浅草線「新橋」駅烏森口より徒歩5分
都営大江戸線・ゆりかもめ「汐留」駅徒歩7分
都営三田線「御成門」駅徒歩7分
汐留駅から412m
電話 03-6450-1393
営業時間 ランチ
[月-金]11:30-14:00
ディナー
[月-木]17:00-23:30
[金]17:00-翌4:00
[土]17:00-22:30
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