
地元での開業の場合、土地感があるため商売のイメージが湧きやすい、ご自身の人脈を活用した集客が可能。などのメリットがありますが、一方で地元開業ならではの注意点もあります。
今回はご自宅近くで開業された「フレンチ食堂 翠藍朱(すいらんしゅ)」の篠原オーナーのインタビューを通じて、地元開業で成功するためのポイントや注意点などを見ていきましょう。
どんなお店?

オーナーの篠原さんです。
最初はフランス料理店らしい名前をいくつか候補に挙げていたのですが、どうもしっくり来なくて。
自分が好きな「コト」や「モノ」は何だろうと原点に立ち返った時、真っ先に娘の名前が思い浮かびました。そこで、翡翠の「翠」と藍色の「藍」で「翠藍」を候補にしたんです。でもそれだけだと締まりがなかったので、妻の名前にある朱色の「朱」をつけて「翠藍朱」に決めました。

家族からは「変な名前」と言われますが、お客様も最初「一体何のお店だろう?」と気になって入ってきてくださいます。
僕はお客様とお話しするのが好きなので、「お店の名前、何でこんな名前なの?」と聞かれることが、会話のきっかけ作りにもなっています。
そこでちょっとお話しさせてもらえるキッカケ作りにもなってるんで、僕の想いをわかっていただければ、お客さんは「家族想いなのね」って
みんな言ってくれるんで、それはそれでいいかなと思っています。
創業までの経緯


でも、時代の変化とともに、料理長も第一線でしっかり仕事をしないと通用しない世の中になりました。
僕がかつて憧れた「左団扇の王様」のようなポジションがなくなったのなら、「自分で独立開業して、好きな料理を作っていた方が良いのではないか。」
成長するにつれて、そう考え方が変わっていきました。
地元(住宅立地)での開業について
ただ、希望の駅をピンポイントで絞ってしまうと、なかなか良い物件が出てこないため、現実的にはかなりハードルが高いんですよね。
ネットに情報が出てからでは遅いことも多いので、地元の不動産屋さんや知り合い、さらには同級生のお父さん世代のネットワークまで頼って、物件情報の包囲網を張っていました。
当社との出会いについて
自分の中で「こういう物件が良い」という条件はある程度固まってきていたのですが、「本当にこれで良いのかな?」「どうなんだろう」と立ち止まってしまう部分があったんです。
そんな時、「無料なら一度セミナーを受けてみよう」と思いました。

専門学校時代に通い慣れた池袋が会場だったこともあり、懐かしさもあって申し込みました。
実際に無料セミナーを受けてみると、自分が今まで進めてきた方向性は「これでいいんだ」と確認できました。
そこで、「この人に個別で相談してみたいな」と思い、個別相談を申し込みました。
初回の面談は1時間半ほどだったと思います。これまでの経歴をお話しし、考えていたお店のコンセプトをお見せしたところ、「ここが少し弱いですね」と的確なアドバイスをいただきました。

僕は一緒に作ってて、やりやすかったんですよ。
なぜかっていうと、やりたいことが明確にポンポンと出てきたこともあり、考えをまとめやすかったのだと思います。
そこが出てこない方だと、掘り起こすってところから入るんですけど。
物件の契約に至るまで
ただ、開業される方にとって「物件の契約」は一大決心ですよね。

その金額にビビってしまい、どうしていいか分からなくなっていました。
そこで本格的にご相談したところ、ポンと背中を押してくださって。

「よーし!いっちゃおう!」と決断できました。そこからはトントン拍子でしたね。
譲渡金は確かに高いけど、追加の工事費用が抑えられるので、トータルで見れば開業費用は抑えられると判断しました。
開業の経験値が浅い方だと、どうしても「譲渡金が高い」というように一つひとつの項目だけで見てしまいがちです。ビジネス全体で考えることが大切ですし、結果、低投資で抑えられるなって思ってたんですよ。

よかった~
どうしても運転資金は1円でも多く残しておきたかったので。内装業者さんもすべて地元の方にお願いしたのですが、価格を抑えて対応していただき、本当にありがたかったです。
地元開業のメリット・デメリット

実は、オープン日を明確に告知していませんでした。2024年の11月13日にオープンしたのですが、表の看板には「11月オープン」としか書いていなかったんです。
でも、知人のおばちゃん一人に「たぶん13日にオープンするよ」と伝えたら、いつの間にか「あそこ、13日にオープンするらしいわよ」と町中に噂が広まっていました。

僕はひっそりとオープンして、徐々にお客様が増えていく緩やかなスタートを想定していたのですが、初日からいきなり満席状態になって驚きました。リアルなクチコミの力が本当に強い世界だと実感しています。
ネットのクチコミも重要ですが、地元開業においては、ご近所のリアルなクチコミの方が影響力は大きいかもしれませんね。
たまにお客様で「実は中学3年の時、同じクラスだったのよ」っていう人がいたりとか、同窓会みたいな感じになったりとか、その中学校とかの同級生が家族連れてきてくれたりとかして、そこからどんどんお客様の輪が広がっていきました。こういった「つながり」は本当に大切だと感じています。
当社のサポートについて

最初の一歩を踏み出す決断ですね。
お店をオープンしてからも、決断を迫られる場面が次々とやってきます。その決断が遅れると、お店全体の動きも鈍くなってしまうと分かりました。だからこそ、あの時相談して本当に良かったと思っています。
僕にとって最大のネックは「600万円の譲渡金」でしたが、今振り返ればそれほど高いハードルではなかったと感じます。お二人のサポートがなければ、あの壁は乗り越えられませんでした。
まだまだこれから構想は続きますから。

いやぁでもこの間、飲食店の生存率ってのをネットで見てたら、10年経ったらもう数パーセントじゃないですか。こわ〜っと思って。

でも、真面目にコツコツとやっていけば、決してレッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンになると私は信じています。
フレンチ食堂 翠藍朱の店舗情報
店名:『フレンチ食堂 翠藍朱』
業態:フレンチ
住所:〒236-0053 神奈川県横浜市金沢区能見台通8−9
アクセス:京浜急行本線能見台駅出口より徒歩約3分/金沢シーサイドライン幸浦駅出口より徒歩約41分/金沢シーサイドライン産業振興センター駅出口より徒歩約42分
営業時間:
月、水~日: 11:30~14:30 (料理L.O. 14:00 ドリンクL.O. 14:00)
17:30~22:00 (料理L.O. 21:30 ドリンクL.O. 21:30)
定休日 :火曜
オープン日:2024年11月13日
インタビュー動画:以下からインタビュー動画をご視聴いただけます。
編集後記(開業コンサルタント大森から見たポイント)
ここで改めて、地元開業を成功させるためのポイントと注意点を整理しましょう。
■ 地元開業の成功ポイント
- ポイント①:物件は腰を据えてじっくり探し、チャンスを見逃さない
物件を探す際、地域を絞れば絞るほど物件は見つかりにくくなります。特に「重飲食可」の物件や「居抜き物件」は数が少ないため、地元の不動産屋さんや友人・知人などに物件を探していることを広く伝えつつ、じっくりと腰を据えて探しましょう。物件が見つかった場合には、「どうすればこの物件で開業できるか?」という前向きなスタンスで検討することが大事です。 - ポイント②:地元のコネクションを最大限に活用し、余分な広告費を掛けない
地元開業の最大の強みは、その地域における人脈やコネクションです。ご自身だけではなく、ご家族や友人・知人を含めた地元のネットワークを最大限に活用することにより、多額の広告費をかけなくてもクチコミや紹介でお客様を増やしていくことが可能です。 - ポイント③:お客様とのコミュニケーションを大切にし、地域のお客様から応援してもらえる状態を作る
地元で開業する場合、お客様の多くはその地域に住んでいる人・働いている人になります。お客様とのコミュニケーションを大切にし、その地域にとって「かけがえのないお店」というポジションが確立できると、お店の経営が苦しい時にもお客様がお店を守ってくれるようになります。ひとりひとりのお客様に寄り添った誠実なコミュニケーションを心がけましょう。
■ 地元開業の注意点
- 注意点①:物件探索範囲を限定する分、物件が見つかりにくい
地域を絞れば絞るほど、物件は見つかりにくくなります。物理的に空きテナントが無ければ、どこかが空くのを待つしかないという状態になり、どこも空かなければ、どんどん開業時期が先延ばしになってしまうリスクがあります。「地域を優先するのか」「開業時期を優先するのか」については予め検討しておいた方が良いでしょう。 - 注意点②:クチコミの力が強いので、悪い噂も広がるのが早い
地元での開業は「クチコミ」の影響力が非常に強いため、良い噂も悪い噂もあっという間に広がってしまいます。地域内で影響力のある人物に嫌われてしまうと、一気にお客様が激減するというリスクもあります。開店前や休憩時間、お休みの日の過ごし方も含め、常に誰かに見られているという意識を持つことが大事です。 - 注意点③:お客様の厚意に甘えすぎない
地元で開業する場合、友人・知人であれば、必ず一度はお店に来てくれると思います。但し、そこから常連客になってもらう、あるいはクチコミや紹介を広げてもらうためには、きちんと「顧客満足度」が高い状態を作っておく必要があります。表敬訪問的な来店(いわゆる「ご祝儀来店」)は”一度きり”と考え、たとえご友人・お知り合いであってもお客様の厚意に甘えすぎず、しっかりと顧客満足度の高い商品・サービスの提供を心掛けましょう。
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