カウンター席の造りが、売上や満足度に影響するのはなぜ?

カウンター席は入店してスグ目に入る、「お店の顔」

カウンターが及ぼす影響は、お店の雰囲気だけにとどまりません。
上限客数や滞在時間や注文数も、カウンター席の作りが影響するのです。

具体的には、以下のような影響が考えられます。

・座りづらさが居心地の悪さに繋がって滞在時間が短くなり、客単価が下がる
・皿を並べるとカウンター上がすぐ一杯になり、注文数が伸びない
・店員から見下ろされている感じが不快感や圧迫感になり、足が遠のく


カウンターを含め、店舗工事は開業後に変更がしづらい部分。
最初の判断が重要です。

普段は何気なく見ているカウンターですが、あなたは適切な選択ができますか?
検討物件でカウンターが譲渡対象だったら、そのまま使いますか?

少し細かくマニアックなテーマになりますが、このページでは適切なカウンター席の造りについて解説。

居心地の良い店づくりのために、知っておいて損はない知識です。

飲食店を中心に累計300店舗以上のデザイン・設計・施工管理に携わってきた内装工事のスペシャリスト。繁盛する店作りをモットーに、顧客視点のプランニングに定評。お客様の要望によっては無理に自社で施工を引き受けずに、顧客ニーズに合う同業他社を紹介することも厭わない。

カウンター席の高さでお客様とスタッフの関係性が決まる

バーのカウンターと定食屋のカウンターをそれぞれ思い浮かべてみてください。
バーは足がつくかどうかの高いカウンター、定食屋は足が自然と床につく低いカウンターを想像しませんか?

カウンターは高さが3種類(①ローカウンター②ミドルカウンター③ハイカウンター)に分かれており、それぞれメリットとデメリットも異なります。

各店舗の営業スタイルと合うカウンターがあります
ただし、物件によっては厨房の床と客席部分の高さが違うことがあるので、カウンターの特徴だけで適したカウンターを選ぶことはできません。
カウンターそれぞれの特徴と物件の事情を鑑み、お店に合ったものを選択するようにしましょう。

では、1つずつ説明していきます。

① ローカウンター

家庭のダイニングテーブルと同じ高さ。
(カウンターの高さ730mm程度、椅子の高さは420mm程度)

座った時に足が床につくため、長時間ゆったり座ることができます。
一方で、カウンター内で立って調理しているスタッフがお客様を見下ろしている状態になりやすいため、注意が必要です。不快感や圧迫感を与えてしまう可能性があります。

カウンター裏に厨房機器がある場合、付け台の高さが高くなりやすいため、厨房部分の床の高さも気をつける必要があります。
※付け台…キッチンとカウンターの間の一段高くなっている部分

メリット
座った時足が床につくため、長時間ゆったり座ることができる。

デメリット
カウンター裏に厨房機器がある場合付け台の高さが高くなりやすい。
店舗の間口が必要になる。
調理スタッフの視線の高さが見下ろしになりやすい。

厨房の床と店内の床の高さ

ローカウンターを選ぶ場合①・④のように調理スタッフがお客様を見下ろさない状態が好ましいです。
③のように厨房の床が高いと調理スタッフの視線が見下ろしになってしまいます。またお客様の視線が付け台の立ち上がり部になってしまい圧迫感を感じるため好ましくありません。

ゆったり座っていただくBARなどでは、④のような形でお客様と視線の高さを合わせつつローチェアーでくつろいでいただく造りにするのが一般的です。

②ミドルカウンター

キッチンの流しと同じぐらいの高さ
(カウンターの高さ950mm程度、椅子の高さ650mm程度)

ローカウンターとハイカウンターの中間です。
座った時ギリギリ足のつま先が付く高さなので、ハイカウンターよりはゆったり座れますが、長時間座るのであればロウカウンターの方が適しています。

対応している椅子の種類が少ないため、イメージに合うものが見つからない可能性もあります。

メリット
座った時ギリギリ足のつま先が付く高さなので、ハイカウンターよりもゆったり座ることができる。

デメリット
対応している椅子の種類が少ない。

厨房の床と店内の床の高さ

ミドルカウンターを選ぶ場合⑤・⑥・⑧が好ましいです。
⑤・⑧はカウンターを厨房側に飲み込ますことができるため、間口が狭い店舗でも通路幅が確保しやすいです。
⑦は調理スタッフの視線が見下し目線になってしまいますので好ましくありません。

③ハイカウンター

立ち飲みカウンターと同じ高さ。
(カウンターの高さ1050mm程度、椅子の高さ750mm程度)

バーでよくあるタイプです。
調理をしているスタッフとお客様の目線が真っ直ぐ合わせやすいのが特徴。
奥行きの調整がしやすいため、間口が狭い店舗でもレイアウトしやすいカウンターです。

カウンターに合わせ、椅子も高くなるため、座っても足が床に着きません。長時間座るのには適していません

メリット
調理スタッフとお客様の目線の高さを合わせやすい。
カウンターを厨房側へ飲み込ますことができるので間口が狭くてもレイアウトしやすい

デメリット
椅子の高さが高く床に足がつかないため、長時間座るには適さない

厨房の床と店内の床の高さ

ハイカウンターを選ぶ場合⑨・⑩・⑪が好ましいです。
グリーストラップを埋め込み厨房の床を上げなければいけない場合でも、厨房スタッフとお客様の視線を近づける事ができます。ちょうど⑪のような状態です。

居心地の良い幅と適切な奥行き

カウンター席はテーブル席に比べ効率的に席数を確保できるため、上手く活用できれば経営上強い味方です。
しかし、あまりに利益や効率を重視してしまうと居心地の良さとのバランスが崩れてしまいます。
目指す営業スタイルに合ったカウンター席を準備できるよう、幅や奥行きなど寸法をお伝えします。

カウンターの幅は600mm

一般的にカウンター一人辺りの幅は600mmです。
その幅を基準に実際に設置できるカウンターの総長から一人当たりに幅を調整します。
仮にカウンターの総長さが3200mmだった場合、5席で考えると一人辺りの幅は640mmになり、6席で考えると一人辺りの幅は533mmとなります。

居酒屋などのワイワイガヤガヤ系のお店であれば6席でも気になりませんが、ゆったりとした時間をお客様に過ごして頂きたいお店では5席を選択されることが望ましいしいです。

飲食店を経営していく上で席数は売上上限を決める重要な指標です。
(最大売り上げ規模=客席数×客単価×回転率)
お客様の居心地を優先するのか、席数を優先するのか、慎重に検討されることをお勧めします。

カウンターの奥行は450mm

一般的な飲食店のカウンターの奥行としては450mm~500mmです。
立ち飲み屋、バル※などので幅が600mm程度とれる場合、奥行は狭め350mm程度かそれ以下でいい場合もあります。(※小皿料理2~3品とグラス1つを想定)

重要なのは、お客様が頼むと想定される食器やグラスが納まるかです。定食屋さんのようにお盆で提供される場合お盆の奥行が最小寸法になりますので注意が必要です。

イメージがわかなければ、お皿を並べて試してみてください。
想定される1人あたりのスペースを机上ではかり、ビニールテープで囲います。そこへお皿を置くと簡単なシミュレーションができます。

適切な素材を選んでコンセプトに合った雰囲気を演出

カウンターの素材一つでお店の雰囲気は大きく変わります

木材、左官やタイル、メラミン化粧板などの新建材、ステンレスなどの金属素材など様々な素材があります。
雰囲気はもちろんコストやメリット、デメリットを踏まえ、選定をすることをお勧め致します。

木製カウンター

木の種類だけでなく、木材にも種類があります。

合板(ごうはん)

合板(ごうはん)とは、薄く切った木の板(ベニヤ)を、繊維方向を90°、互い違いに重ねて接着した木材です。
ラーチ合板、ラワンベニヤなど、様々な種類があります。
ラーチ合板はマツなどの針葉樹 から作られ、表面の木目がくっきりし、存在感があります。
ラワンベニヤは南洋のラワンから作られ、木目がはっきりせず、シックな印象です。

価格が安いため、コスト面で優れている一方、もともと構造材なので節があったり、ラフな印象を与えます。

メリット
とにかく価格が安い

デメリット
もともと構造材なので節があったり、ラフな感じに見える。

集成材(しゅうせいざい)

小さく切り分けた木材を接着材で再構成した木材です。
パイン集成材、ゴム集成材、タモ集成材など種類があり、木目の見え方や強度・加工性などそれぞれ特徴があります。

木々を接着させる前によく乾燥させているため、反りが出にくく扱いやすい木材です。
価格も比較的安価です。一本の丸太から製品そのものを切り出す無垢材に比べ、集成材は小さな木材を組み合わせて作るため、効率的に切り出すことができます。結果、価格も抑えられています。

メリット
反りが出にくく施工性が良い
価格も比較的安価

デメリット
小さい木材を再構成した板なので突板や無垢材のような木の風合いが出ない。

突板(つきいた)

美しい木目を持つ木材を薄くスライスしベニヤに貼り合わせた木材。
天然木の表情を生かすことができ、無垢材より安価。合板と同じく反りが出づらく扱いやすいのが特徴です。
タモ突板、ナラ突板など多くの種類があります。

メリット
本物の木の薄皮を使用している為、本物の木の質感が出る。

デメリット
薄皮の下はベニヤなどの下地材なので傷などがつくと下地が現れることがある。

無垢材(むくざい)

丸太から切り出したままの自然な状態の木材です。
木材を貼り合わせて作る合板に対し、一本の原木から必要な寸法を切り出すため、コストがかかります

木のしっかりした風合いを出すことができます
月日が経つにつれ、色に深みが出るなど味が出ることも魅力です。

メリット
木のしっかりした風合いがでる。
削り直しをすることもできる

デメリット
価格が高い
反りや割れが出やすい。

左官カウンター

カウンターにあまり使用されてきませんでしたが、新しい左官材料が開発され、飲食店のカウンターにも使用されるようになってきました。

セメントの質感を表現することができます。
曲げやたわみ対して非常に強いモルタルで、柔軟性があります。
色も選ぶことができます。

種類はDECOLIE、モールテックスなど。

メリット
左官の質感をカウンターに持ち込む事ができる。

デメリット
コストが高い
下地が悪いとクラック(ひび割れ)が入ることがある。

新建材(メラミン)

合板の表面をメラミン樹脂で加工して仕上げています。
色や柄をプリントした化粧紙を使用するため、木目や石目、単色など好みのデザインを選ぶことができます。

価格が抑えられ、メンテナンス性にも優れていますが、あくまでプリントのため、本物の質感は出ません

メリット
木目や石目、単色など柄が豊富
耐熱性や対候性、擦れなどに強くメンテナス性に優れている。

デメリット
プリントした材料になるので実際の木材や石目などの質感が出ない。

カウンター席についてのまとめ

調理風景をお客様に見ていただくパフォーマンスの場として。
お客様とスタッフのコミュニケーションの場として。

カウンター席は上手く使うと、店舗経営の強い味方。

理想とするお店を実現するために適切なカウンターを選びましょう

・カウンターには3種類の高さがある
・カウンターを選ぶ場合には、厨房床の高さも考慮する
・想定している皿が並ぶ幅・奥行きを確保する
・お店の雰囲気を左右するため、適切な素材を選択する

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