物件探しと立地調査の基礎知識

物件探しの肝

 物件探しは自分の足で探す他、不動産業者といかに上手に付き合うかが肝です。今では、インターネット等で検索することが可能ですが、大抵の場合、仕事をしながらの物件探しになると思いますから、自分の代わりに不動産業者に条件に見合った物件を探してもらうことになります。
 その際に大切なのは、インターネットであっても、店頭訪問であっても、不動産業者に「この人のために頑張って物件を探したい」と思ってもらえるかどうかです。

明確な出店コンセプトと予算、期日、情熱を共有する

 「この人のために頑張って物件を探したい」と思ってもらうためのポイントは、どんなお客様相手に、どんなお店(業種業態)を、いつまでに、予算いくらくらいで、なぜ出店したいのか、という出店コンセプトと情熱を共有することです。この時、先に作ったコンセプトシートや事業計画書が役立ちます。

人通りが多い=儲かる(利益が残る)とは限らない

 「何かいい物件ありませんか?」とまったく具体的でない問合せをしてしまう方がいますが、それではまったく相手にされません。そもそも、いい物件とは何でしょうか?
 多くの方が、人通りが多い大通り沿いの路面店で、と勘違いしていますが、家賃は人通りに比例しますし、そういう立地は当然激戦区となります。人通りが多い=儲かる(利益が残る)とは限らないのです。また、希望する条件通りの物件は、そうそう見つかるものではありません。タイミングであ り、ご縁でもあります。そして、信用は覆し難いものがあります。貸主の立場に立つと、やはり個人の独立開業者よりは、資本力のある法人を好みますし、もし同じ物件で競合した場合、人柄と情熱しか伝えられるものは残っていないかもしれません。

業態に見合う物件を探すのではなく、物件に業態を適合させる

 物件探索のコツは、お店に来てもらいたいお客様がなるべく多くいるエリアで視認性が良い物件を選ぶことです。視認性が確保出来るのであれば、地下でも空中階でもやりようがあります。そして、立地や物件に業態を適合させる柔軟性を持つことです。「業態に見合う物件を探しているといつまで出 店できない。
出てきた物件に業態を適合させる。これが出店の秘訣である。」とは、大手外食企業の社長の言葉です。

 物件探しで重要なのは、必ず「現地調査」をするということです。足を使って肌で感じることで数字からは見えないモノが見えてきます。

現地調査

現地調査には、現地に行って肌で感じる【主観的調査】と、数値やデータで把握する【客観的調査】の二種類があります。

I. 主観的調査
主観的調査では、立地・導線・物件の3点調査を行います。

1. 立地調査 ・・・ オフィス立地なのか、商業立地なのか、住居立地なのか、商圏の特徴を調査し、自店舗のコンセプトに見合うお客様がどれくらいいるのか把握します。

2. 導線調査 ・・・ 店舗へのアクセス、人の流れ、街並み、近隣店舗の様子を調査します。

3. 物件調査 ・・・ 店舗や看板の視認性(間口広さ)、入店しやすさ、建物全体の雰囲気、業種・業態の適合可否、居抜き物件であれば、内装・ 設備の状態、営業中であれば、お客さんとして、営業中の様子、客層などを調査します。

 できれば、それぞれ曜日や時間帯を変えて、その時々で周辺にいる人の行動特性(目的)を読取り、特に繁盛店とそうでない店舗の違いなどを念入り に観察しましょう。周辺店舗の客単価や、主力商品の価格なども念入りに調べておきましょう。

II. 客観的調査
客観的調査では、商圏人口(年齢別、性別の人口や世帯数、構成比、人口の属性など)、駅乗降客数(ロードサイドの場合、交通量など)、競合店出店状況の3点は最低調べましょう。

データは、なるべく複数の立地で比較するようにします。特に、住んでいる場所や勤務先付近など、ある程度土地勘のある場所の商圏データは比較検討 用に作っておくと、出店検討立地が具体的にどう違うのか把握しやすいです。

これらのデータは、自分である程度調べることができますが、自身の判断の参考にはなれど、客観的な根拠資料としては乏しいので、できれば専門家や マーケティング会社に依頼しましょう。特に商圏比較レポートは個人ではとても作れませんし、資金調達には専門家によるしっかりしたレポーティング があると心強いです。

<参考>自分で調べる方法
1. 商圏人口 ・・・ 管轄の役所で閲覧できる他、総務省統計局のホームページから国勢調査をもとにした商圏人口の確認ができます。
2. 駅の乗降客数 ・・・ 駅名をインターネット検索すればWikipediaなどで確認することができます。
3. 競合店の状況 ・・・ Googleで、業種業態+エリアを検索すると大まかに把握することができます。その他、食べログなど口コミサイトで、競合になりうる店舗の点数や、クチコミを把握しておくことも有益です。

 現地調査は、これから商戦を戦い抜く上で戦略を立案するための、いわば下調べと言えます。自店舗の戦力を地の利を活かしていかに適合させるか、肌で感じ、データで裏付けをします。特に、これから経営者となるのでしたら、できない理由を並べ連ねることではなく、常に、出来る方法を考える思考習慣を身につけておくと良いでしょう。

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