飲食店の発注管理で失敗しないコツ

飲食店を続けていくには、利益の確保が最重要。
食材ロスは利益減に直結。徹底的に減らしていきたいですよね。
しかし、食材ロスを恐れて仕入れ量を減らしすぎると、「注文されても品切れでオーダーできない」機会ロスに繋がります。

重要なのは、売上を逃さず・ロスを出さない、適切な量とタイミングで食材発注をおこなうこと
日々の発注は、営業を続け、オーダーの出数と在庫を管理していくうちに、予測精度を高めていくことができます。
逆に言うと、出数と在庫の管理を怠ると、予測精度がいつまでたっても高まりません

今回は利益を守るための発注管理のコツをお伝えします。
賃料などの固定費とは異なり、食材はコントロールできる分野。
月々の利益率に大きな影響を与えます

まずすぐに取り組むべき日々の在庫管理の方法から、中長期で行っていきたい管理方法まで解説します。

適正な発注は毎日の在庫管理なくしてはできない

生モノを扱う飲食店では食材の管理において、やり過ぎることはありません。
過発注で食材ロスを出すだけでなく、腐敗したものを提供してしまうといった食中毒・食品事故を防止するためにも手を抜いてはいけません。

毎日在庫管理を行うと、各食材の使用量・余剰在庫が正確にわかります。
これをもとに仕入れを行うことで精度の高い発注ができるのです。

在庫管理の方法

まずは食材の仕入れ量・在庫数・消費期限をチェックするようにしましょう。
簡単なテンプレートを準備しましたのでよろしければお使いください。

仕入れた量から在庫数を引けば、どのぐらい消費されたかはわかりますが、あわせて消費期限を書いておくことで、期限切れによるロスを減らすことができます。

在庫管理表ダウンロード

予測精度を高める

各食材の消費量を把握できたら、さっそく発注に活かしていきましょう。

翌日の予約状況や天気・気温・曜日・イベントなどから客数を予測し、在庫量をふまえ発注量を確定します。
生の食材は使い切れる量だけを注文するのが原則。

消費ペースのデータと売上のデータがそろえば、予測精度を高めることができます。今後の経営のためにデータはきちんととっておきましょう。

発注のポイント

発注で大切なことは、必要な量を必要な分だけ手配すること。
ごく当たり前ですが、意外ときちんとできていないお店も少なくありません。

注文の重複や発注漏れを防ぐために、注文数のチェックを含めた手順を考えておくことが重要です。

注文ミスを防ぐため、「決まった時間」に「決まった手順」で行います。

発注のポイント1:決まった時間に行う

発注は、1日の営業で1番効率が良い時間を探し、決まった時間に行いましょう。

時間を決めておかないと、同じ手順を踏んでもうまくいかないことがあるからです。
飲食店の運営は、発注以外の業務も多くあるため、他作業との兼ね合いを考えることが重要です。

とくに、時間がない中では、検品はおろそかになりがちです。
開店直前で、食材の痛みなど粗悪品に気づいても代替え品が間に合いません。

発注から品受けの時間まで取り決めておくようにしましょう。

発注のポイント2:決まった手順で行う

ミス対策のために、決まった手順で行いましょう。
手順内に「確認・チェック」のタイミングを組み込むことでミスを減らすことができます。

効率が良く、ミスがない手順をいち早く決められるようオープン後は工夫を重ねましょう。

どのように取り組んでいるか2つ例をあげます。

在庫量の決め方

適正な在庫量を把握して発注するのはもちろん、発注タイミングにもご注意ください。

店舗までの配送に2~3日かかるリードタイムをふまえて発注しないといけないケースや、日持ちするものをまとめて頼んだ方が配送料が得になるケースなどにも対応できるようになります。

自店の売上規模や発注の間隔をふまえ、1番お得な発注ができるよう適正在庫量を決めましょう。
在庫量をもとに仕入れ量を考えることができます。
その際は以下のような考え方をします。

仕入れ量=適正な在庫量ー現在の食材在庫量ー既に発注済みの分

適正な在庫量とは

適正な在庫量とは、品切れがなく、かつ食材ロスも最小限の量のこと。
考え方は以下の通りです。

① 過去の実績から食材の1日分の使用量を出す
季節変動が少ない店であれば、一定期間(3ヶ月以上)の平均値。
季節変動が大きい店では、昨年同月の数値を使います。

② 発注日数
何日分の発注をまとめて行うか、発注の間隔です。
仕入れ先からの納品期間も含めて考えましょう。

③ 予備在庫
開業したてなど出数にブレがあると見込まれる場合、①に②をかけた分の20%で考えます。
例)玉ねぎ 1日使用量 3kg  4日分の発注を行う場合。
  3kg×4×20%=2.4kg
  12kg+2.4kg=14.4kg 適正在庫量14.4kg

ブレが少ない正確な予測ができる場合は10%などに設定します。

以上の①~③を組みあわせ、適正な在庫量を知ることができます。

適正な在庫量=①1日使用量×②発注日数+③予備在庫

月1回は棚卸を行う

食材を徹底管理するには、棚卸が必要です。
月に1度、定期的に行いましょう。
在庫数の確認はもちろん、品質も同時に見ておくべきです。

一般的には月末の締めのタイミングで行います。
月次の損益計算、売上原価の計算が確実にできるようになります。

参考リンク:飲食店の適切な原価率は?計算方法とコントロールのコツ

棚卸の方法

① 棚卸表を準備する
・チェックする食材/食品名は先に印刷しておくと漏れがありません

② 数量を調べて記入する

③ 食品それぞれの単価から金額を計算し、売上原価を確認

できれば、調理スタッフ全員で取り組むことをおすすめします。
こういった作業に携わることで「在庫=お金」の認識が生まれ、ロスを減らすことができます。

棚卸表ダウンロード

帳簿上とのズレがあれば原因究明を

帳簿上の在庫と棚卸の結果(=実在庫)がズレていたら、原因を突き止め改善につとめましょう。
とくに0.5%以上差が出ている場合は調べることをおすすめします。
思わぬところで「お金が減っている」と考えてください。

以下は飲食店でよくある原因の例です。

・発注量と入荷された量が違う
・廃棄した食材を帳簿に書いていない
・従業員による不正(食材の持ち帰りや大量の味見)
・オーダーミスや調理ミスが多い
・規定量以上で商品が提供されている(オーバーポーション)
・盗難被害
・棚卸時のカウントミス

ABC分析を活用した在庫管理方法

ABC分析とは、メニューをランク分けして行う売上分析の手法です。

売上構成比をもとに占める割合の大きい方からA~Cに分けます。
どのメニューが利益に貢献しているか、あまり注文されない人気のないメニューがどれか一目瞭然です。

グループごとの在庫管理

A群は主力メニュー
とくに在庫量に気を付けて、まめに管理する必要があります。
品切れを起こすと売上や満足度に大きな影響があるうえ、質の悪いものを提供すると一気にお店の印象が下がります。

B群は育てるメニュー
まあまあ売れている惜しい商品です。
量や価格、ネーミングを変えるだけでより売れる可能性があります。

安定した売れ行きのものが多くなる傾向があります。
今後も一定の注文が見込まれる場合は、仕入れ数量も一定に、期日通りに行うだけで対処できます。

C群は売れていないメニュー
食材の廃棄ロスにつながりやすいため注意が必要です。
リスクを軽減する手段として「打ち出しや訴求の仕方を変える」「提供をやめる」「ロス率を含めた価格に改定する」などがあります。

それぞれメリット/デメリットはありますが、思い切ってメニューから取り下げることを恐れてはいけません。

「いつも常連さんが注文するメニューだから・・・」

などというケースであっても、ABC分析をおこなえば自ずとお店にとっての最適解が見つかるはずです。

食材の種類が多いと管理も仕込みも手間がかかるため、食材を減らすことで効率をあげることができます。

同じくC群のメニューで原価率が高いもの、作る手間がかかりすぎるめものは調理の見直しもしくはメニュー廃止を検討しましょう。

上記を行ったうえで、新しいメニューを提供します。
ムダを削り、利益のあげやすいお店になるだけでなく、目新しいメニューが適度にあることで満足度や再訪率をあげることに役立ちます。

ABC分析の方法

① 売上一覧表を準備します。
ドリンクとフードでは単価も利益率も違います。別々に比較するため、わけて準備してください。
分析方法は同じなため、今回はフードを例に解説します。

② 売上高順に並び替えます。

③ 売上高の合計を出します。

④ それぞれの売上に占める割合(構成比率)を計算します。
(各メニューの売上高÷合計売上高×100=売上の構成比率(%))

⑤ 上から順に累計します。
1位のからあげはそのまま38にします。
2位野菜蒸し鍋では、自身の構成比率32+1つ上の累計38=70
3位チキンカツでは、自身の構成比率11+1つ上の累計70=81

⑥ ABCでランク分けをします。
とくに明確な決まりはありませんが、一般的な分析ではAを累計売上構成比0~70%、Bを71~90%、Cを91~100%とします。

基本的な考え方は上の通りです。
とくに計算をしなくても、上記の数値が出せるツールがありますので、よろしければご活用ください。

ABC分析ダウンロード

まとめ

飲食店経営では、営業におわれ、なかなか管理の時間がとれません。
しかし、利益率を高めるポイントは徹底した管理にあります。

日々の在庫管理、月に1度の棚卸・ABC分析を行い、改善につとめましょう。

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