飲食店の適切な原価率は?計算方法とコントロールのコツ

半年前~3ヶ月前

自分のお店の原価率は何%が適切なのか?
正しい原価率の算出方法と、原価が高騰したときのコントロール方法は?

飲食店に限らず、どの商売でも重要な経営指標である「原価率」。
原価率は売上に対して、食材などの原材料費+廃棄がどれだけ占めるかを表す指標です。

確実に利益を得るためには原価管理は必須。
どんなに売り上げがあっても、原価がかかりすぎていれば利益を圧迫します。
適正な原価管理なしに、安定経営は成り立ちません。

そこでこのページでは、原価率を出す「正しい計算方法」と、飲食店が原価を適正にするための「コントロール方法」をお伝えします。

原価率の計算方法

飲食店における原価とは、食材などの材料費のこと。
原価率とは売上に対して、原価が占める割合です。販売する商品を作るのにかかった材料費がいくらかかっているかを示しています。

例えば、1000円のステーキ。
500円分の肉を焼いて提供していれば、原価率は50%です。

業態ごとの原価率の目安と、前提の考え方

ひとくちに飲食店といっても、さまざまな業態があります。
目安となる各業態の原価率は下記の様に異なります。(※必ず下記数値に合わせなければいけないわけではありません。)

注意すべきは、原価率が低いからといって全体の利益率が高い(儲かる)とは限らないということ。最終的に残る利益は、原価以外にも人件費や光熱費など他のコストも影響します。

登場人物A

今度のラーメンは、鶏白湯スープで作ってみるか。

登場人物A

自分で鶏ガラから煮込めば、安くは済む。だけど・・・業務用スープも最近うまいって言うしなぁ。

登場人物A

毎日8時間くらい煮込みが必要なことを考えると、多少原価が高くてもメリットがあるかも。試食してみるか。

また、回転寿司店や、最近では俺のイタリアンや立ち食いステーキ店のように、原価率が高めで粗利率が低くても、回転を上げ、客数を増やし、大きな売上を上げることで利益をきちんと残すスタイルの業態もあります。

原価率高めのメニューやお店のお客様の満足度は高くなりやすいとも言えます。

このように、全てのケースで「原価率が低い=良い」ではありません。

原価率に留意しておくことは重要ですが、原価率を計算するだけでなく、商売として全体をとらえておくことが必要です。

原価率の計算方法

売上原価 ÷ 売上高 ×100=売上原価率

30円で仕入れたものを100円で売ったときの原価率を考えてみましょう。

売上原価 ÷ 売上高 ×100=売上原価率
原価30÷売上100×100=30

原価率は30%です。

月間の原価率は「先入先出法」

上記でお伝えしたものはあくまで、いちメニュー単体の例です。
一ヶ月を通して原価率を把握するには、上記の方法では不十分。

なぜなら、前月に買った食材や逆に翌月に持ち越す食材があるから。
売上とその月の仕入れ額だけでは、原価率を正確に把握できません。

そのため「先入先出法」という計算方法が多くの飲食店で採用されています。
前月の持ち越し分と翌月の繰り越し分を考慮して計算を行います。

①前月繰越+仕入-翌月繰越=売上原価
②売上原価÷売上高×100=売上原価率


①は当月に使用した材料を把握するための計算式です。
前月の繰越しと当月の仕入れを合わせ、使わずに翌月持ち越した分を引きます。
導き出された当月使用分=売上原価です。

続いて②では、①の売上原価をもとに、原価率を求める計算式です。

例えば前月から余った材料費が5万円分、仕入を30万円行い、翌月へ持ち越す材料費が10万円だったとしましょう。
売上原価は25万円です。売上が100万円であれば、原価率は25÷100×100=25%です。

食材原価を正確に把握するには

登場人物A

事業計画上の売上までいったのに、利益が思ったほど残らない

これは、「原価を正確に把握・管理できていない」ことが要因。

理想の原価率をふまえて計画を練ったとしても、その元となる原価がズレていると全てがうまくいきません

原価率を計算において数字がズレる原因となりやすい「歩留まり」と、原価管理に必須な「レシピ表」について説明します。

歩留まりを考慮する

飲食店経営の現場では、想定より原価率が高くなってしまうのは珍しくありません。
その原因の一つに、歩留まりがあります。

歩留まりは、簡単に言うと「食材として使える部分の割合」のこと。
お肉で例えてみましょう。(数字はキリよく単純化しています)

10キロ20000円の肉を塊で仕入れると、1キロ当たり2000円。
肉塊にお客様に出せない部位である、脂身や筋があったとします。

この部分をそぎ落とした結果、目方が2キロ減り8キロに。食べられる部分(歩留まり)でいえば、8キロ20000円、1キロあたり2500円になります。

この歩留まりを意識せず原価を考えると、どうなるでしょうか?
200グラムのステーキを1000円で提供した場合を考えてみましょう。

1キロあたり1000円の肉のうち、200グラム400円分を1000円で売り、粗利益を600円。月1000食出て、売上100万円。粗利益は60万円を目標にしました。

しかし、実際には歩留まりがあり、1キロあたり2500円、200グラムで500円の原価がかかり、売価が1000円だとすると粗利益は500円。
目標通り1000食売って売上は100万円でも、粗利益は50万円です。

「売上は目標に届いても、利益は想定ほど残らない」ことに。

原価を正しく把握しなければ、きちんと利益を残す計画をたてられません。
歩留まりを忘れずに考慮しましょう。

レシピ表で原価を管理

正確なレシピは味のブレをなくすだけでなく、原価管理でも役立ちます。
どの食材をどれだけ使うか。グラム単位でレシピを作っておくと、正確に原価を把握できます。複数の材料を使うメニューの原価もズレなく掴めます。

例えば、ケーキ。
材料がほぼ単一食材であるステーキとは違い、瞬時に原価計算はできませんよね。小麦粉・卵・バター・砂糖など、これらを足し合わせたものが原価になります。

各食材の使用量が正確にまとまってると原価計算しやすいため、提供するメニューはレシピ表にしておきましょう。

原価率からメニュー価格を設定する際の注意点

登場人物A

このメニューの材料費は300円。
これを原価率30%で売るっていうと、いくらになるんだ??

原価と原価率から、売値(価格)を考える場合に単純計算するとこうなります。

原価÷原価率=売価

原価300円÷原価率30%=1000円

しかし、この方法だけで値段を決めるのはオススメできません。

机上の計算式だけでメニュー価格を決めるべきではない

メニュー価格の設定は、単品ごとではなく一回の来店で注文される全体の流れで考えましょう。

登場人物A

飲食店の原価って30%ぐらいなんでしょ?

こういった思考でメニューの1つ1つを原価率30%になるように計算していっても上手くいきません
この30%という数字は「平均して30%」ということ。単体で考えてはいけません。

メニュー価格は「お客様に来店してもらえる目玉商品」「店舗を維持する利益がでやすい商品」の両面から戦略的に考えます。
具体的にいうと、お客様に喜んでもらえる原価率の高いメニューとお店を支える原価率の低いメニュー、両方を用意します。
この2つの商品を組み合わせ、適切な原価率を目指すのです。

上記に加え、調理技術や盛り付けによって「満足度が高く、かつ原価率を抑えた」メニュー開発ができれば、より、収益を残しやすいお店になります。

とはいえ、大体の価格帯や必要なメニューが想像できないと、メニュー開発もしづらいですよね。
どのようなメニューが必要かはコンセプトに立ち戻って考えるのが王道です。

店舗コンセプトからメニューの価格を考える

まずはコンセプトに沿った客単価を考えましょう。
コンセプトを作る際に、想定ターゲットや利用シーンがあるはずです。
それぞれのお店の雰囲気や客層にあった客単価を想定します。

続いて、客単価を分解し、どのような注文構成か考えます。
それによって必要なメニューがわかります。

客単価2500円の居酒屋を例に考えてみましょう。
この居酒屋では以下のようなオーダーを想定しました。

ドリンク  800円(400円2杯)
前菜    500円(250円2品)
メイン   1200円(600円2品)

この価格帯のメニューが必要になります。
コンセプトにそったお店になるよう、メニューラインナップを揃えるのが基本です。

廃棄(ロス)率を減らす

店の業績をみる際には、廃棄(ロス)も調理原価に含めて計算します。
つまり、廃棄(ロス)を減らすことはコストダウン&利益率アップに直結。

まずロスは3つに分けて考えます。

①必要なロス
・新メニュー開発やアルバイトさんの練習で使ったもの。
なくすべきロスと混同してしまうとロス率減が進みません。
別科目で処理をしましょう。

②やむを得ないロス
・骨や筋など食べられない部分
先ほどで説明した歩留まりを考慮してメニューを考えましょう。

③なくすべきロス
・仕入れし過ぎて余ってしまった
・生の食材を腐らせた
・分量を量らず、オーバーポーション

③なくすべきロスを徹底的に対策していきましょう。

廃棄(ロス)率を減らせるメニュー構成

食材を扱う限り、傷む・腐るなど時間的な制約からは逃れられません。
いかに効率よく食材を使いロスを防ぐか考えましょう。

廃棄(ロス)率を減らすメニュー構成のポイントのひとつは、食材の種類を抑えること。食材品数を少なくしておけば、各食材の使用頻度があがり、使いきりやすくなります。
常に新しい食材を使うことができ、傷ませる心配がいりません。

また、食材が少ないと管理の手間が減り、棚卸をするスタッフの負担も軽減されます。

最初は食材の種類は絞り、調理方法や味付けなどでメニュー数を増やしましょう。その食材で何パターンの料理が提供できるかでいかに効率よく経営していけるかが決まります。

例えば、キャベツ
・生のまま、味付けを変える
例)味噌ディップ、ナムル、コールスロー

・調理方法で変化をつける
例)和え物・炒め物・煮物

・検討中メニューへの追加
例)お好み焼き・スープ・鍋

・長期保存可能な調理方法
例)漬物・酢漬け・ザワークラウト

多くの用途で使えないか、食材軸で考えることが基本です。

廃棄(ロス)率を減らす努力

①調理方法の変更
とくに生の食材は、足が早く厳しい基準で管理しなければなりません。
そのため、廃棄の可能性が高いものです。

調理方法の変更で使用できないか考えておきましょう。

登場人物A

このタコは刺身では出せないけど唐揚げにすれば大丈夫

生モノだけでなく、1度調理したものを再調理する方法も。
・鶏のから揚げ⇒素揚げ+あんで鶏のあまずあんかけに
・ミートソース⇒グラタンの具材として活用
・きんぴらごぼう⇒揚げてかきあげに
ロスを出さないためのメニューを考えておきましょう。

②使わずに捨てている部分を活用
食べられるけれど捨てている食材はありませんか?
この部分を活用してできる料理がないか考えてみましょう。

提供メニューで、食材の余りが出てしまったときにどう調理するか。できれば開業前に調理アイデアを溜めておくことをおすすめします。開業後は営業に追われ、ゆっくり考える時間が確保しにくいこともあります。

登場人物A

定食の味噌汁をプラス100円で具たくさんの豚汁にできるサービスが好評。
捨てていた野菜クズを活用できた

③余りやすい食材の活用方法を考えておく
ロス寸前の食材をどうやって提供するか、日頃からアイデアを溜めておきましょう。飲食店はオーダーを受けて提供するため、出数のコントロール自体は難しいと思われるかもしれませんが、工夫できる余地はあります。

お店側が使いたい食材を、一方的に提供できる代表格のメニューはお通しです。お通しとして、ロスを防げる料理が提供できないか考えておきましょう。

そのほか、付け合わせは融通がききやすい部分です。小鉢やスープの具材など気を配りましょう。

登場人物A

このままだと白菜が余ってダメになってしまう…。
今日のお通しは白菜の炒め物にしよう

注文内容をコントロールし、満足度と利益確保を両立

原価率で重要なのは、コントロールすることです。
とはいえ前述したように、原価率は低く抑えれば良い、ということではありません。

もちろん原価率が低ければ、低いほど利益率は高くなります。
しかし原価率の低い商品では、よほど上手に料理を提供しないと、お客様の満足度は上がりにくく、リピート率も下がってしまいます

自分がいち顧客として飲食店を選ぶ時のことを考えれば、コストパフォーマンスの悪いお店はわざわざ選びませんよね。
いくら利益率が高くとも、お客様から選ばれないお店は続けられません。

お客様から選ばれるには、コストパフォーマンスそしてトータルの満足度が重要。
原価率の高い看板商品や目玉商品で来店してもらい、満足感を得てもらいながら、原価率の低い商品も頼んでいただく。上手くコントロールしていく必要があります。

他の飲食店はどのように原価率をコントロールを行っているのでしょう?

例えばチェーン店での取り組みは参考になります。
マクドナルドで「ご一緒にポテトやドリンクはいかがですか?」と声をかけられたことはありませんか?
実は、メイン商品のハンバーガーの原価率は、ポテトやドリンクなどのサイドメニューに比べて高めに設定してあり、セットで注文することで、全体の原価率を揃えているのです。

丸亀製麺やはなまるうどんで、トッピングの揚げ物が強調されているのも同様の理由です。「○○揚げたてでーす!」など積極的に声がけしてますよね。
お店ごとにさまざまな工夫が考えられます。
まずは基本となる「メニューの記載方法」と「店員によるおすすめ」をおさえておきましょう。

メニューの記載方法

お客様の満足度をアップさせる看板メニューや、お店の収益を支える高利益率のメニュー。
注文してほしいメニューを「予定通り」注文してもらうためにメニュー表の工夫が有効です。

基本は注文してほしいメニューを目立たせ、お客様に見てもらうこと。
掲載する位置を目立つ場所にし、写真を付けて表示します。
文字の大きさや色付けで目立たせることは基本。人の視線はZ型に動きますので、メニュー表の左上に売りたい料理を配置することで、注目を集めることもできます。

頼んでほしい商品をまとめた1枚もののメニューをつくる方法もあります。
例えば、原価率の低い前菜を頼んでほしい居酒屋なら

・「すぐに出るメニュー」とまとめて記載する
例)待つ必要なし!スピードメニュー5選

・そのメニューが入るランキングを掲載
例)週5の常連が選ぶ!外さないおつまみベスト3

・合う飲み物と一緒に紹介
例)乾杯ビールと一緒に食べたい一品

「本日おすすめメニュー」や「季節のおすすめ」、上記にあるスピードメニューやランキングもお客様の注目を集めます。
それら1枚ものの特集メニューをメニューブックに挟むと、注文を誘導することができます。

お客様に満足いただきつつ、お店も利益を残せるメニュー構成になるような仕組みを作る工夫が必要です。

スタッフによる声かけで、注文内容をコントロール

メニューブックの記載は「待ち」とすると、店員による声かけによる「攻め」の方法もあります。

お店の雰囲気に合う声かけのシナリオは、事前に用意。
メニューのおすす目をはじめて行う場合はロールプレイングを行い、スタッフさんの不安を取り除くよう努めましょう。
声かけのポイントは5つです。

①お客様のメリットを伝える
「こちらのスピードメニューは、すぐにご提供できます。」
「当店の焼とんにはビールもいいですが、ハイボールが合いますよ!」

②クロスセル(ついで買い)
「そちらのトマト煮はバケットにつけても美味しいのですが、バケットもお持ちしましょうか?」

③アップセル(単価アップ)
「プラス150円で、ポテトを2倍のメガ盛りにできますが、いかがですか」

④飲食の欲求を喚起する言葉「シズルワード」を使う
「もっちり食感の水餃子が当店自慢の1品です。ぜひご賞味ください」

(シズルワードのランキングはこちら)
おいしさ感覚を表す言葉<シズルワード>の調査結果  2015年は「もちもち」が1位、「うまみのある」が2位
https://www.atpress.ne.jp/news/87615

⑤スタッフのモチベーション
同じセリフでも、言い方やスタッフのテンションが大きく影響します。

どのメニューが利益を出しやすい商品であるか理解してもらうのは大事ですが、それ以前にスタッフには事前に該当メニューを試食してもらい、心からお客様にオススメできることが重要。

販売数が目標達成したら金一封などの評価制度も含めて検討するのはその後です。

オススメメニュー声かけのメリットは、スピードと低コスト。
その日のうちに実行でき、費用もかからないため、まずはお客様の反応をみることもできます。
反応がいいものだけをメニューブックに追加・強調していくことで、ムダな手間や時間・費用をかけずに済みます。

まとめ

原価率の計算方法
売上原価 ÷ 売上高 ×100=売上原価率

原価率から売価を出す方法
原価÷原価率=売価

原価率は低く抑えるものではなく、コントロールするもの。
「お客様の満足」と「お店の利益」、両立させるのは簡単ではありません。メニューの記載方法や店員の声かけなど、工夫をこらしましょう。

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