店舗の売却や閉店に伴う解約予告通知で損を避ける、もっともベストな方法。

退店時にかかる撤退コストは、『どのように』撤退するかによって大きな差がつきます
しかし、退店や撤退に関する情報はあまり表には出ないもの。
今回は、撤退コストを大幅に軽減できる方法閉店時の手続きについてお伝えします。

もし万が一、閉店や売却で差し迫っている場合は下記から無料でご相談もできますが、よろしければこの記事もお読みいただき、リスクを避けるための必須知識を得ていただくことをオススメします。

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賃貸店舗の解約から保証金返還までの一般的な流れ

入居時に結んだ賃貸借契約。
契約締結時に内容の説明はあったと思いますが、将来起こりうる「退去」「撤退」に関連する項目はあまり意識していなかったのではないでしょうか。

まずはご自身の契約物件を撤退する時の条件について、契約書の内容をよく確認しましょう。
なぜなら、契約内容によってスケジュールや物件を返却する状態(スケルトン・オフィス仕様など)が異なるから。ご自身が締結した契約内容を把握することが第一歩です。

一般的には物件解約には5つのステップがあります。

①解約通知書提出(原則書面での提出)
②解約予告期間スタート(3ヶ月前、6ヵ月前、8ヶ月前など物件により異なる)
③最終引き渡し日前までに原状回復工事(スケルトン工事)
④引き渡し(カギ返却)
⑤敷金・保証金返還(引き渡し後〇ヶ月以内など物件により異なる)


解約予告期間を把握しておかないと、スケジュールが立てられません
まずは契約書を確認し、解約予告期間がどの程度の期間で定められているか確認します。

まずは契約書を確認

では前述した「一般的な流れ」に沿ってご自身の契約内容を確認しましょう。

解約予告期間

まずは「解約予告期間」です。 解約予告とは、貸主に物件を返却すると意思を借主から貸主へ伝えること。 解約予告期間が6カ月の場合、退去日の6カ月前には賃貸人(家主)に退去を知らせなければなりません。定められている予告期間の賃料は支払う義務があります。 また、予告期間終了時(退去予定日)には指定されている状態に工事を済ませておく必要があります。工事の所要期間も含み、閉店スケジュールを算段する必要があります。大がかりなスケルトン工事では期間を要する事もあるので、早めに見積もりを取ることも必要です。

引き渡しの状態

前述の通り、物件解約の際には指定された状態に工事を済ませておく必要があります。
どのような状態で返さなければならないか、契約書を確認します。

原状回復(入居する前の状態に戻す)やスケルトン戻し(コンクリートむき出しの躯体のみの状態にする)など、工事を必要とする指定がほとんど。

賃貸借契約で「スケルトン戻し」と取り決めてされていれば、解約予告期間終了時にスケルトン工事が完了していなければいけません。

物件階数など物件条件にもよりますが、撤退時に必要な工事費用は1坪当たり、5~10万円が目安です。

敷金・保証金の返金日

敷金・保証金は家賃滞納などの万が一の事態に備え、家主に預けているお金です。
解約時には返金してもらうことができます。

基本的に全額戻ってきますが、契約時に保証金償却を取り決めている場合、償却分を差し引いての返金になります。
例えば、保証金が100万円、保証金償却が20%の場合、80万円が借主に戻されます。

・返金日をチェック
契約内容によって返金タイミングが異なります。次月に返金されることもあれば6カ月後と定めているケースも。
「解約すればすぐ返金されると思っていたのに、アテがはずれた…」ということにならないよう、事前に確認しておきましょう。見落とされやすい箇所です。

閉店コストを削減する

単にスケルトンに戻して撤退するのではなく、「造作譲渡を認めてもらえている」のであれば、大幅に撤退コストを削減できる可能性があります。

「スケルトン工事」が不要になるうえ、造作設備を後継テナントに売れることも。
ただし、解約予告期間中に売却先が見つからなければ契約次第で「スケルトン戻し」の工事を行わなければいけません。後継テナントを探す場合は、1日でも早めに動くことが重要です。

閉店コストはいくらかかる?

閉店にまつわるコストは賃貸借契約の内容によって差が出てきます。
主にかかる項目は3つです。

①解約予告期間中の賃料
②原状回復(スケルトン戻し)工事費用
③保証金(敷金)の償却

閉店コストシミュレーション

25坪・賃料50万円の物件を例に考えてみましょう。

①解約予告期間中の賃料
店舗の解約予告期間は6カ月が一般的。
本件も同じく、6カ月と定められてたとします。

賃料50万円×6カ月=300万円

②原状回復(スケルトン戻し)工事費用
業態や階数などの条件しだいすが、工事費用は坪当たり5~10万円が目安。
見積もりをとったところ、本件は坪あたり8万円でした。

25坪×8万円=200万円

③保証金(敷金)の償却
保証金償却は1ヶ月分と入居時の契約で定められていました。

50万円

それぞれのコストは、

①解約予告期間中の賃料 300万円
②原状回復(スケルトン戻し)工事費用 200万円
③保証金(敷金)の償却 50万円

①~③を合計した
閉店コスト総額は、550万円となります。

撤退コストの削減手段

閉店(撤退)コストの相場や内訳について説明してきました。
最大でかかるコストから逆算して、どこまでコスト削減を実現できるかという視点を持つことが重要です。

もっとも効果的なコスト削減策は「居抜き売却先を見つける」こと。
「スケルトン戻し」のための工事費用が不要になる上、店舗内装・造作・厨房機器類を居抜きで購入してくれる方がいればコストではなく逆にプラスになります。

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他の手段として、店舗の賃貸借契約は続行し、”店舗運営を別の方に依頼する”業務委託業態転換が考えられます。

業務委託は委託先を見つけることができれば安定した収益に。しかし、賃貸借契約上で禁止されているケースや委託先の不払いによって損をするリスクもあります。

業態転換は新たな業態へのやり変えに再投資がかかるため、金銭的な負担が大きい手法です。取り組む前に慎重な判断が必要ですが、再スタートで成功し、開店半年で売上倍増を実現した経営者も。

取り組みやすさを考えると「居抜き譲渡先を見つけること」がもっとも有益な手段です。

居抜き譲渡先が見つからない場合でも解体費用のコストダウン(複数社の相見積もり)、厨房機器や什器・備品類の買取り(複数社の相見積もり)、空家賃の圧縮(予告期間の短縮の交渉)といった別のコスト圧縮の方向に切り替えることもできます。

居抜きでのコスト削減事例

①焼鳥店 ⇒ 韓国料理店
本業で肉の卸売業を営むかたわら飲食店を複数営んできた企業が海外展開のため、店舗を手放す計画が持ち上がりました。
居抜き譲渡の募集をスタートしてすぐ、都内で韓国料理店を4店舗を経営する企業の目にとまり、1100万円で売却に成功。

通常通り、スケルトンに戻して閉店すれば182万円のコストがかかるところを、985万円のお金が手元に残ることになりました。

  通常閉店 居抜き売却
解約前予告賃料 ▲72万円 0円
保証金償却 ▲60万円 ▲60万円
内装解体費用(概算) ▲50万円 0円
造作売買代金 0円 1100万円
手数料 0円 ▲55万円
▲182万円 985万円

②焼肉店 ⇒ 焼肉店
ご友人から店舗を譲り受け焼肉店を経営していましたが、深夜まで続く営業に体力の限界を感じていました。
譲渡先を募集したところ、地元で6店舗焼肉店している企業から買取意向の手があがって530万円で売却

  通常閉店 居抜き売却
解約前予告賃料 ▲39万円 0円
保証金償却 0円 0円
内装解体費用(概算) ▲85万円 0円
造作売買代金 0円 530万円
手数料 0円 ▲50万円
▲124万円 480万円

③居酒屋 ⇒居酒屋
独立開業で居酒屋をオープンしたものの、運営面で苦労が絶えず。3年間営業した後、店舗を譲渡することに。
近隣の居酒屋経営者が、増店のために買い取りを行いました。

  通常閉店 居抜き売却
解約前予告賃料 ▲48万円 0円
保証金償却 0円 0円
内装解体費用(概算) ▲115万円 0円
造作売買代金 0円 210万円
手数料 0円 ▲50万円
▲163万円 160万円

解約予告はいつ・誰に出す?

閉店コストを削減するもっとも有効な手段、『居抜き譲渡』を念頭におきながら話を進めましょう。

解約予告を出すと、退去日が確定します。
ただし、退去日までずっと居抜き譲渡先を募集できるわけではありません。退去日には工事を完了させておく必要があるためです。スケルトン工事の期間を考慮すると、居抜き譲渡先を探す期間猶予は思ったより短いのが実情です。

居抜き譲渡に重点をおくなら、あえて「解約予告を出さない」選択も

居抜き譲渡を成功させるポイントは、居抜き譲渡先を”余裕を持って探す”こと。
解約予告を出してから居抜き譲渡先を探すのでは、退去日が確定してしまって募集期間が限られるため、余裕が持てません。
解約予告を出さずに居抜き譲渡先の募集をスタートするも考えるべきです。

なぜなら、居抜き売却では『解約を出していない方が、希望条件で売りやすい』という事情があるからです。
これには2つ理由があります。

・買主から足元をみられてしまうため。
スケルトン戻しの契約は店舗物件では一般的で、入居者もそれを承知しています。
解約予告を出し退去日が決まってしまうと、「あと少し待っていれば、切羽詰まって価格が下がるかタダで譲ってもらえるのではいか」と交渉の余地を与えてしまいます。

・時間をかけて告知ができるから。
解約予告を出したために募集期間が限定され、十分に告知ができない可能性があります。
もう少し期間があれば成約したたかもしれないのに結局スケルトン・・という事にもなりかねません。

よって、解約予告せずに譲渡先を探せる状態が、居抜き売却では有利に働きます。

ただし、「解約予告を出さない=賃貸借契約を続けること」です。そのため、賃料を払い続ける必要があります。

店舗の営業が継続できない場合(赤字が出ている・人材不足)では、賃料の負担が重くなってしまうことも。。
居抜きで売却しづらくなるデメリットと賃料を支払い続ける負担を見比べて、解約予告を出すか判断するのが良いでしょう。

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家主(貸主)への相談は必須

貸主サイド(家主・管理会社)に何も相談せずに進めるのはトラブルの元。
「解約予告を入れずに居抜き譲渡先を探す」とはいっても、連絡は必須です。

そもそも契約上は「居抜き譲渡が認められているケースはまれ」です。貸主への相談なしに居抜き譲渡の話を進めても、契約前に全てムダになってしまうことも。

貸主様も次テナントに貸す際に、「賃料を上げたい」「飲食ではなく物販店に貸したい」などご希望があります。必ず確認をとってから居抜き後継テナントの募集をスタートしましょう。

注意すべきは、貸主サイドへの相談の仕方。何も考えず居抜き募集の要望をそのまま伝えると、賃貸借契約の解約予告に即繋がってしまう場合がございます。

まずは居抜き業者に連絡をとり、今後の進め方や貸主側への伝え方を相談されることをおすすめします。

スタッフ解雇のスケジュール

閉店にあたり、従業員を解雇する際は30日前までに伝えます。
30日に満たない日数の場合は、不足日数分の平均賃金を支払います。
「言った言わない」といったトラブルを避けるために、書面で伝えることをおすすめします。

モチベーションのケアに注力

スタッフのモチベーションケアにはご注意ください
店舗オーナーが撤退を考えているということが伝われば、「まだ営業しているにも関わらず、次の勤め先を見つけて退職してしまう。」「モチベーションダウンし、サービス面での悪影響が出る。」といった事態が起こりかねません。

スタッフとの信頼関係がものをいいます。
従業員の生活不安につながる難しい問題ですが、日頃から信頼関係を築いておきましょう。

居抜き募集をかけている最中で、意図せず従業員さんへ撤退が伝わってしまうこともゼロではありません。
しかるべきタイミングで店舗オーナー様からスタッフに伝えられるよう、居抜き業者には内密に進めたい旨を伝え、営業中であることに配慮してもらいましょう。

店舗物件の解約で損をしないために

閉店にコストを「利益に変える」「コストをできるだけ抑える」には、撤退のスケジュールを把握し、計画的に動いていくことが重要です。

まずは、契約書で撤退時の規約を確認しましょう。
居抜き譲渡を行う場合には余裕を持って募集できるよう早めに動くことをおすすめします。

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