【第2回】飲食店開業セミナー『ゴールの明確化』
みなさんこんにちは!飲食店開業コンサルタントの大森と申します。
よろしくお願いいたします。
今回は飲食店開業のWebセミナーの第2回目ということでですね。
前回は、「飲食店開業を目指されることは大変素晴らしい」ということを前提にお話をさせていただきましたが、「飲食店を開業するってそれなりのリスクが伴うことですよ」ということが1つ。
もう1つは、「飲食店開業そのものをゴールにしないでいただきたい」というお話ですね。
「開業がゴールではなくてもっと先にゴールを設定して、その上で開業の準備を進めていただきたいな」と、そんなお話をさせていただきました。
今回は後者の方ですね。「ゴールを明確にする」というところについて、もう少し詳しくお話をさせていただきたいと思います。
ゴール・ビジョンを明確にする
飲食業界、外食業界の中で大きな成功を収めている会社さんであったり経営者さん、しっかりと成長を遂げているオーナーさん、そういう方々にはですね、必ず共通する特徴があります。
それが「ビジョン、ゴールを明確にする」ということです。
企業さんによってはこれを「経営理念」と呼んだり、「経営ビジョン」って呼んだりですね。
「企業理念」「ミッション」「ミッションステートメント」など、いろいろな言い方があるんですけれども、自分たち、もしくは自分がどんなことを実現したいのか、どういうビジョンを描いているのか。
自分たちが目指す姿を明確に描いている企業さんの方が往々にして上手くいっているケースが多いのかなと思っています。
開業したら終わりではない
個人の開業だから、小さな事業だから「(理念なんて)そんなもの持たなくて良いでしょ!」というふうには、私は思わないですね。
私自身、これまで個人の独立開業を中心に1,000店舗以上の開業をお手伝いさせていただきました。
開業したら終わりではなくて、開業後も経営が軌道に乗るまで、(あるいは)経営を開始されてから節々のターニングポイントで、いろいろな相談に乗らせていただいております。
店舗によっては毎月訪問して、その月々の数字の分析であったり改善ポイントだったり、そういったところのコンサルティングをさせていただいているお店もあります。
そんな中で実感として思うのは「開業後の目標やゴール/ビジョンといったものが明確であればあるほど、成功確率は高まっていくんだな」ということです。
実際問題、成功する方の多くは開業の時からビジョンなりミッションなりを明確に持っていらっしゃる方が多いんですね。
なので、ぜひ、これから開業を目指されるみなさんには、具体的な開業準備を始める前に、ご自身なりのビジョンであったりミッションであったり、そういったものを明確にするところから始めていただきたいなと思うわけです。
いきなり「経営理念を決めてください」「ミッションを定めてください」と言われても、「はぁっ?!」って思われるかもしれないですね。
ここではビジョンであったり、ミッションを明確にしていくためのポイントやコツをお話できればなと思います。
ゴール・ビジョン・ミッションを明確にするためのポイント
ミッションやビジョンを考えるって何となく難しく聞こえるかもしれないですけど、最初はそんなに難しく考える必要はなくてですね。
一番シンプルなのは、みなさん自身が3年後、5年後にどうなっていたいのか、こういうことを考えるところから始めてみてはいかがでしょうか?
例えば、「3年後、5年後までにこういうことをやりたいな」「こういうふうになっていたいな」「こういうことを実現したいな」、そういうことを箇条書きで構わないので、とにかく思いつくままに書き出してみることですね。
ぜひ、そういったところから始めていただければなと思います。
(ビジョンやミッションを)考えるにあたって、考える基軸としてはまず一番身近なところから考えてみましょう。
たとえば、自分自身ですね。
「年収はこれくらいになっていたい」「こういう資産を持っていたい」「マイホームを買いたい」「高級車に乗ってみたい」「高級なギターを買いたい」とか、なんでもいいです。
みなさんの見たいもの、持ちたいものを挙げれば、イメージがつきやすいと思うんですよね。
たとえば、「ご自身の暮らしがどうなっていたい」「こういう贅沢をしていたい」「老後にはこういう生活になっていたい」「ハワイでゆっくり暮らしたい」など、そんなことでも良いと思うんです。
それが5年後、10年後、20年後であっても良いんですけど、例えば、死ぬまでにはこういうことをしたいなという、「やりたいことリストみたいなものを、とにかく思いつくままに書き出してみる」ことが1つだと思いますね。
まず自分自身のやりたいこと、実現したいことが明確になったら、その次に周りにいる家族であったり友人であったりというところ。
家族に対して、まだ結婚されていない方であれば「こういう人と結婚して欲しい」とか、「子供は何人欲しい」とか、「子供や奥さん、もしくは旦那さんにはこういう生活をしてもらいたい」とかですね。
先ほどもありましたけど、「マイホームを持っていたい」とか、「家族にはこういう水準で暮らしてもらいたい」とか、あとはまあ、例えば、「親御さんにこういった親孝行をしたい」とかですね。そんなことをやりたいことに加えていっていただくのも良いかなと思います。
経営者としてのミッションやビジョンも明確に!
その次に今度、みなさんは経営者として、場合によってはスタッフを抱えたりとかですね、その仲間、取引業者さんと事業をやっていくことになりますので、そういった事業に関わる人たち、わかりやすいのはスタッフの方、従業員の方かなと思うんですけど。
例えば、「従業員の方に対してこれぐらいの給料は出してあげたいな」「こういう労働環境を作ってあげたいな」「働いている人たちも自分がやってきたのと同じように独立開業をしやすい道を作ってあげたいな」とか。
あとは、「チームとして組織としてこういう雰囲気を作っていきたいな、組織風土を作っていきたいな」とか、そういったことでも良いと思いますね。
例えば、ある程度利益が出たら、「みんなでバーベキューをやりたい」とか、「海外旅行に行きたい」とか、そんなことでも良いと思うんですよね。
その次に、当然ビジネスをやっていく上で大事なのはお客様ですね。お客様に対してどういうことを実現したいかっていうところですね。
例えば、「こういう価格で料理を提供したいな」「こういう料理を提供したいな」「満足度を何%にしたい」、そういう指標的なものでも良いですし。
例えば、「みんな笑顔になってもらいたい」、来店した人が帰る前にみんなに「美味しかったよ」って言ってもらいたいとか、そういう抽象的な目標でも良いと思うんですね。
社会に対してどういう働きかけをしたいのか?
それから最後は社会に対して、これは少し大きな話になりますけど、どういうことを自分の会社なり事業は実現したいのか。
これもあまり大それたことから始めるのではなくてですね。
自分の身の周りにある困っていることであったりとか、「あっ!自分が出している料理ってまだまだ全然知られていないな!」「じゃあ何々っていう料理を世の中の1人でも多くの人に知ってもらいたい」「美味しさをより多くの人に伝えたい」ということも社会に対する貢献だと思うんですね。
それから飲食業界ですから、食糧危機やフードロスを少しでも解消して社会の役に立ちたいなとか。
例えば、満足に食事ができない子供たちに、一人でも多くの子供たちに満足のいく食事を提供したいということも素晴らしいミッションだと思うんですね。
それから日本食って世の中、世界中で非常に評価されている食文化ではあるんですけれども、それをもっともっと世界中に広めていきたいということでも良いと思うんですよね。
あとは、「食事を通じてより健康な人を増やしていきたい」「長生きしていただきたい」とか、そんなことも社会貢献の1つだと思います。
まずは自分の身の周りのところ、自分自身が一番描きやすいところからやりたいこと、実現したいことを書いていってですね。
少しずつその影響の輪を広げていって、より社会全体に対するやりたいことや実現したいことの発想を広げていただくと、わりとスムーズにミッションの核となる要素が見い出せてくるのかなと思います。
個人的なことや身近な人に対する目標でも問題ない
そこまで社会に対してというところまで想いが及ばないという方は、スタッフやお客さんというところまでで留めておいても良いのかなと思います。
こういったものをいろいろと書き出してみて、その中でご自身で優先順位をつけて、「これはこの中でも絶対に実現したいな」とか、「これだけは外せないな」というものを整理してください。
それを文章にすると、みなさんが本当に大事だと思っているミッションやビジョンをより鮮明に描き出せるようになってくるんじゃないかなと思います。
なので、まずはあまり難しく考えずにですね。
自分のやりたいこと、実現したいこと、なりたい自分という姿を思うがままに書き出してみて、それをどこかのタイミングで整理していただくと良いかなと思います。
例えば、「年収1,000万円になりたい、それだけでも独立開業で終わりではなくて、その先にもっと高い目標を持っているだけで、モチベーションを維持できたり努力を継続できたりということにつながってくるんじゃないかなというふうに思います。
私たちのビジョンは「日本一のコンサルタントになる!」
ちなみに余談ではあるんですけど、私自身もしくは私たちコンサルティングチームのビジョンは何かって言うとですね。
ちょっと恥ずかしいですけど、「日本一のコンサルタントになる!」そういうビジョン、ミッションを掲げています。
日本一というのはいろいろな捉え方があるんですけど、私どもが目指しているのは、日本一たくさんのお店を支援するというということよりもですね。
日本一「成功確率の高いコンサルティングを目指していこう」と、それを高い目標として掲げています。
目指すところは、お手伝いさせていただいたお店の成功率を100%にするということですね。
非常に高い目標ではありますし、実際に今、100%成功させられているかというと、残念ながらそうではありません。
ひょっとしたら、私が生きているうちにご支援させていただいたお店が100%成功するというところは実現できないかもしれないです。
それだけ非常に高い目標ではあるんですけれども、ただ、100%成功させることを目標にしている限り、目標を見失うことはないですし、そのための努力を継続するというモチベーションがなくなることもないんですね。
どこかで100%の成功率を達成するというミッションを掲げている限り、われわれの努力っていうのは積み重ねていかなければならないですし、そこを目指している限り、より改善、改善をしていかなければいけません。
そういう心がけを持つためにもですね、私と一緒にやっているコンサルタントのメンバーにも(日頃から)そういう話をさせていただいております。
ちょっと私自身のお話になってしまいましたが、やはり、長く同じ仕事をやっているとどうしても目標を見失いがちになったり、ビジョンを見失ったりすることって出てくると思います。
すごく難しい局面になったりとかしんどい状況になったりした時に、その先に見ている大きなものがあると、「また頑張ろう!」というモチベーションも沸いてきますし、「まだまだやるべきことがある」「もっともっと努力しなければならない」というモチベーションにつながってくると思うんですよね。
また、飲食店を目指す方とは当然私たちの持つ目標は違ってくるとは思いますけど、ぜひですね、みなさんも独立開業を目指そうという、ある意味人生の分岐点に差し掛かろうとしているわけですから、これを機会にご自身なりのミッションやゴールを見据えて、これからの開業準備を進めていくようにしていただければなと思います。
最後に
最後は少し余談になってしまいましたけれども、ぜひ、これから飲食店開業を目指すみなさまにはですね。
せっかく大きな新しいことに乗り出そうとするこのタイミングで、この先のゴールであったりビジョンであったり、もしくはミッションであったり、こういったものを明確にしていただいた上で、次のステップに進んでいただければなというふうに思います。
「ビジョンがなかなか見えてこない」とか、「ミッションが策定できない」、「ゴールが明確にできない」という方はですね、その段階からいつでも相談に乗らせていただきます。
いろいろな事例、いろいろな開業に携わってきている我々のこれまでの経験だったり知識というものを少しでもみなさんのお役に立てればと思っております。
当社ではいつでも無料個別相談という形で、どんな方でもご希望があれば相談に乗らせていただいておりますので、ぜひお気軽に無料相談をご利用いただければなと思います。
今回はゴール、ミッション、ビジョンを明確にするというテーマでお話をさせていただきましたが、次回はゴールを明確に設定するということと同じくらい大切な「自己分析ですね」。
まずは自分自身の立ち位置であったりとか、「現在地を正しく知る」という、そこについて次回は詳しくお話をさせていただきたいなと思います。
なかなか具体的な開業の準備(の話)に入っていかないなと思われるかもしれないですけど、(ミッションやビジョンを決めることは)非常に大切なことですので、これから先、どんどんより具体的なお話をしていきたいなと思います。
まずは、ゴールを明確にすることであったり 自分自身を正しく知るということについて今しかできないことだと思いますので、ぜひ、ちょっとお時間をいただいてですね。
そんなお話をさせていただけたらなと思っています。
ちょっと長くなりましたが、今回はこの辺で終わりにさせていただきたいと思います。開業コンサルタントの大森でした。
また、次回お会いできればと思います。
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目次
みなさんはなぜ、飲食店での独立開業を目指されているのでしょうか?
人によって開業の理由や動機は違うと思います。
例えば、「飲食店って楽して儲かりそうだから」という方もいらっしゃれば、「雇われているより楽しそうだな」とか、「独立開業することが昔からの夢だった!」という方もいらっしゃるかなと思います。
他にもいろいろな理由があって独立開業を目指されているかと思いますが、先ほど挙げた3つの動機の方はちょっと気をつけていただきたいなと思います。
こういった動機も悪いことではありません。
ですが・・・
前回は、「飲食店開業を目指されることは大変素晴らしい」ということを前提にお話をさせていただきましたが、「飲食店を開業するってそれなりのリスクが伴うことですよ」ということが1つ。
もう1つは、「飲食店開業そのものをゴールにしないでいただきたい」というお話ですね。
「開業がゴールではなくてもっと先にゴールを設定して、その上で開業の準備を進めていただきたいな」と、そんなお話をさせていただきました。
今回は後者の方ですね。「ゴールを明確にする」というところについて、もう少し詳しくお話をさせていただきたいと思います。
【第3回】飲食店開業セミナー『自己分析(現在地を正しく知る)』
前回の第2回目では、「ゴールを明確にする」についてお話させていただきました。 ゴールを明確にするというのは、これから旅路に出るという時に、その目的地を明確にするということですね。 みなさんは初めての独立開業であれば、飲食店の経営というまだ見ぬ世界に旅立とうとしているわけですから、ゴールすなわち目的地を明確にするのは非常に大事なことです。 その目的地までの道のりに、どういう危険があって、どれくらい長い道のりなのか。 どういう装備が必要で、どんな船が必要なのか?
今回のテーマは、『最適な開業スタイルを選ぶ』
一般的に想像するのはイートインのスタイルでしょう。
お客さんに入ってもらって、そこで食事なりお酒なりを楽しんでいただく。
ただ、それだけではありません。
一言で飲食店開業と言っても営業形態や独立の形態、仕方など一般的なスタイル以外にもいくつかのやり方や複数のパターンがあります。
たとえば、テイクアウト専門店、デリバリー専門店、イートインをやりながらデリバリーに取り組むハイブリッドスタイルなど。
今回はそのあたりを整理してお話できればなと思っています。
最適な開業スタイルを選ぶために、さまざまな営業形態をまずは知っておきましょう。
今回からは「いよいよ開業するぞ!」と心に決めた後、その次のステップ、具体的な開業準備のプロセスに入っていきたいと思います。
今回お話するのは「コンセプトメイキング」「コンセプト作り」という部分です。
「開業をいざやっていくぞ!」というふうになったら、まず最初にとりかかっていただきたいのが今回お話をするコンセプト作り。
コンセプト作りをしっかりやれるかどうかで、「開業準備がスムーズに進むかどうか」「開業の大きな落とし穴にはまることがないか」「開業そのものをスムーズに立ち上げられるかどうか」「経営を軌道に乗せられるかどうか」が決まります。