【鮮魚仕入れはiPadで】飲食店の全く新しい仕入れスタイル

居酒屋・寿司・割烹・イタリアン・バル・カフェダイニング、、、飲食店は料理人の腕はもちろん仕入れが命。皆さんは店舗の食材をどこで仕入れていますか?だいたいこの中でしょうか。

・業務用スーパー

・近隣の店舗(八百屋・スーパー・酒屋など)

・卸売り(仕入れ)業者

・食材の宅配

・農家などから直接仕入れ

・オンラインで購入

上記以外にも、現在は生産者・飲食店双方にとってコストダウンや品質向上などのメリットがある新しい仕入れのスタイルが出現してきたことをご存知でしょうか?それはiPadなどのタブレットを使った食材仕入れ。とはいえ、ITやパソコンの知識など難しい操作などないからこそ年配の店舗経営者にも広がり利用客が急増。今回は鮮魚の新しい仕入れにスポットを当ててお伝えしていきます。

iPadで鮮魚仕入れってどんな仕組み?

新鮮な魚の仕入れ

基本的な仕組みは、FAXや電話で発注していたものをiPadとアプリを使い、発注などの簡素化・スピードアップ・コストダウンを図る仕組みです。このようなタブレット端末を使った鮮魚仕入れは既にいくつかの企業から提供されています。

・首都圏を中心に1000店舗以上が既に導入し、「鮮魚界のアマゾン・ドットコム」を目指す八面六臂。

・iPadのFace Time(ビデオ通話機能)を使い、大船渡との直接仕入れを手助けした東京都飲食業生活衛生同業組合。

・首都圏で鮮魚店を40店舗以上経営する経験から開発した「フィッシュオーダー」の東信水産。(※自社鮮魚店がメイン)

この中で注目すべきシステムはやはり、「八面六臂」でしょうか。リクルートやヤフー系のベンチャーキャピタルなどから4億5千万の資金調達を実施して急速な事業拡大を図っています。

iPadで直接仕入れを行う最大のメリット

流通の中間業者を排除

一言で言うと最大のメリットは、「中間業者が少なくなる」ということです。では中間業者が少なくなるとはどういうことでしょうか。従来、鮮魚が海で獲られてから飲食店のオーナーに届くまでこのような物流の流れがありました。

生産者(漁師)→産地(地場)の市場→築地市場→卸売業者→飲食店→消費者

これをこう変えてしまったのです。

生産者(漁師)→IT・タブレット端末を使った物流システム→飲食店→消費者

今までは生産者と飲食店の間に「産地(地場)の市場→築地市場→卸売業者」があり、当然関係者が増えるということはそこに利益・マージンが乗っていますし、末端まで届くまで介在者が多ければ多いほど時間もかかります。

逆に申し上げると、中間業者が少なければ少ないほど、コストダウンが実現し、発送スピードが上がり鮮度も維持できるのです。

単なる中抜きを狙うのではない八面六臂

八面六臂の操作画像※八面六臂HPより

しかし上記の八面六臂は単に中間業者を排除して低価格にしていきたいというだけでなく、場合によっては地場市場や流通業者からも仕入れて適切な流通を実現しているのが面白いところ。

完全に中間業者を排し生産者との直取引だけだと漁獲量や穫れる魚の種類も安定しないというデメリットもありますが、そこを上手に相殺しているのです。

業界の流通の適正化をしているのが面白いですね。

毎日の入荷相場情報、写真付きの商品リスト、魚の種類・重さ・価格・産地の閲覧もでき、一匹からでも発注可能。このあたりは個人飲食店にとっても便利で嬉しいところ。

そういえばなぜタブレット?

デスクトップパソコンは飲食店には不具合が

こういった発注の仕組みはデスクトップのパソコンでもできるかもしれません。しかし急速にiPadなどのタブレットでの普及が進んだのは飲食店ならではの事情があるからだと筆者は推測しています。それはデスクトップパソコンだと、不具合がいくつかあるからです。

・スペースが取られ、営業効率の低下

10坪以下の居酒屋や割烹などの小さな飲食店ではパソコンを置くスペースを作ると席効率・坪効率が低下してしまいます。また小さな店舗だからこそレイアウトは現状ギリギリまで活用しており新たなスペースはそもそも割きにくい。

・衛生面に問題が出る

熱の発生やスキマが出来ることにより虫や鼠など発生が増える傾向があります。食中毒発生という飲食店最大のリスクを増やす可能性も。

上記のような不具合を解決したタブレットが飲食店での利用が増えていくのは非常に納得できるところです。既にタブレット対応した決済システム(SQUARE、Coiney、ポケレジ、楽天スマートペイ…)など飲食店でのタブレットの使用が広がってきていますが、その他にも様々な用途がその利用率を高めることは間違いなさそうです!