生まれて間もないお子さんを育児しているお母さんも、たまには友達同士で外食を楽しみたいもの。
生後すぐは難しいですが、月齢3ヶ月以降はお子さんを連れて「ママ会」をお昼や午後の時間で楽しむ方も多いようです。アンケートによると主婦の8割はママ会をする今の時代、平均値でおおよそ隔週に一回少なくとも月に一度はママ会が行われているとのこと。
筆者もちょうど30半ばで丁度周りの新生児を抱える家族に話を聞いてみると、とにかく「子連れで行ける飲食店が少ない」という声が目立ちます。
ママ会はランチから夕食前のアイドルタイムで行われることがほとんど。飲食店からすると通常であれば集客が見込みにくい時間帯こそがママ会に適しているとも言えます。もしそこに集客できるのならば、子連れのママと飲食店双方にとってプラス。
そこで今回は、ママと子連れファミリーを集客するための6つのポイントについて解説して参ります。
子連れママが飲食店を選ぶポイント
子連れママに来てもらうためには、どんな要望やニーズを持っているかを知らなければいけません。「こどもの椅子さえあれば大丈夫なのかな?」とお思いのオーナー様、それでは十分とは言えません。
結論から申し上げると子連れママが飲食店を選ぶ時の5つの重要なポイントがあります。
- キッズ(お子様)メニューがある
- 個室でママ会
- 禁煙もしくは完全分煙
- ベビーカーで入店可能
- メニューにアレルギー表示がある
それぞれ見ていきましょう。
キッズ(お子様)メニューがある
これは単にオマケで持ち帰れるおもちゃを付ければ良いというわけではありません。ポイントがあります。
・栄養バランス
幼児期は成長・発達が盛んだからこそ、しっかりとした栄養も取らなければいけません。栄養バランスとしては、タンパク質12−13%、脂肪分25−30%、糖質60%くらいが取るべき栄養バランスと言われています。また、当然ですが大人よりも塩分は少なめということも重要です。皆さんのお店でもキッズメニューを考える時にはこのような構成でお考えになられてはいかがでしょうか。
・食べやすさ
ベビースプーンやフォークなどのお子様用の小さめの食器はもちろんのこと、その他にもお店側で準備しておくことでお子様だけでなく実際の顧客であるお母様の満足にも繋がります。
まずはお子さんが食事している状況を想像してみましょう。子供用の椅子(ベビーチェア)から落ちないようなにベルトなどもあると喜ばれます。食器で考えると大人ほど大きなものを咀嚼できませんので、ヌードルカッターやすり潰し用食器。ドリンクを飲みやすいようにストロー付きの蓋がついたマグ。また、よく子供は食事をこぼしますので食事用エプロンやウェットティッシュ、テーブルにシートも用意しておきましょう。
ここまでするのは難しいかもしれませんが、ロイヤルホストではキッズメニューの敷き紙を食用インクを使用し安全性を高める、なんて取り組みも。
個室でママ会
これはかなりお店を選ぶ時の重要ポイントです。やっぱり、子供が泣き叫んだり騒いでしまうことで周りに迷惑をかけたくない、多少声が出ても気にせず食事を楽しみたいというのが子連れママの心境。
また子供の年齢・月齢によって授乳が必要な場合、オープンなテーブル席やカウンター席で授乳をするわけにはいきません。やむなく、トイレの中で授乳したなんて声もあるようですが、そんな時にも個室があるかどうかが選ばれる飲食店のポイントになります。
また、最近では個室というところから進化したサービスとして育児支援をしている会社が保育士を派遣し、ママ会が行われる間別室で子どもを預かってくれる「保育サービス付き飲食プラン」を導入しているお店もあります。その際は、保育料込みで客単価5000〜6000円で設定しているところもあります。保育士派遣分、経費が上がりますがアイドルタイムに客単価5000円オーバーというのは凄いですね。
禁煙もしくは完全分煙
こどもは大人に比べ、体がまだまだ発展途上。呼吸器や中枢神経が未熟ですので、受動喫煙による悪影響も大きいと言えます。急性症状でも目のかゆみやくしゃみ、のどの痛み、咳、頭痛なども引き起こしやすいですし、より重大な影響だと中耳炎・低身長・虫歯・アトピー性皮膚炎・知能低下などのリスクが増すと言われています。
子連れママの中には分煙ですら避け、完全禁煙の店にしか行かないという方もいるくらいなのです。
ベビーカーで入店可能
・路面店でない場合、エレベーターがあるかどうか
もしあなたのお店が1階の路面店ではなく、地下や空中階である場合、エレベーターは設置されていますでしょうか。ベビーカーを持ち上げながら階段の上り下りしないと行けない店舗は入店率を大きく引き下げます。重いタイプのベビーカーはその重量は12−13Kgあります、ママではなく成人男性でも持ち運ぶには大変な重さです。
・入店時や店内に極端な段差がないか
過度な段差があるとベビーカーは入店できません。前輪を浮かすくらいの高さに収まっていますでしょうか。もし段差がきついようであれば要所に段差プレートを設置するのも1つの手です。
・通路の幅が確保されているか
イメージしやすいのは電車の改札です。自動改札の幅は55〜60cmほど、車いすに対応した幅の広い改札だと90〜95cmほどです。店舗の通路が60cmほど確保されていると大きくない対応のベビーカーは通行可能ですので、これが1つの目安になります。もし通路の幅が確保できていないようであれば、店員側から声がけしてベビーカーを折り畳んで運ぶのを手伝うなどの気遣いを行うと良いでしょう。
メニューにアレルギー表示がある
大人より体が小さいこどもにとって食物アレルギーはより影響が強いもの。厚生労働省の発表では、都市部ではなんと二人に一人の割合で何かしらのアレルギーを持っているという調査もあります。アナフィラキシーを起こさないためにも飲食店経営者として基本的な知識は持っておきましょう。
基本的な食べ物アレルゲンとしては、鶏卵・牛乳・乳製品・小麦・そば・ピーナッツ・エビ・カニ・果物などがあります。
この中でも乳幼児に最も注意すべきはやはり鶏卵。鶏卵は加熱することでアレルゲンは弱くなるものの(卵白のオボムコイドとオボアルブミンという成分が変化するため)、必ず表示をしておきましょう。
子連れママに喜ばれる飲食店5つのポイント
- キッズ(お子様)メニューがある
- 個室でママ会
- 禁煙もしくは完全分煙
- ベビーカーで入店可能
- メニューにアレルギー表示がある
上記色々と準備や対策は大変とも言えますが、だからこそ大半の飲食店はここを対策できておらず明確に差別化できるポイントと言えます。ヤフー知恵袋など見てみると、多くのお母さんが子連れで食事できる飲食店が見つからず困り果て質問していたり、最近は大手グルメサイトもママ会や子連れママが利用できる飲食店の特集を組み始めています。
子連れで外食できない悩みを持つご家族に喜んで頂き、お店側もアイドルタイムなどにまとまった集客・売上増が見込める。そんな子連れママ集客に力を入れてみてはいかがでしょうか。
年間300件超、累計6500件以上の飲食店開業をサポートしてきた株式会社M&Aオークションの専門家集団。個人店から大手チェーンまでさまざまな業態・立地の飲食店の開業コンサルティングを行ってきたノウハウをブログで発信します。