開業資金

店舗の開業に経験やアイデアはもちろん、何より絶対に必要なのは「出店のための資金」。

投資資金が用意できなければ、良い店舗物件を見つけても、圧倒的な料理のウデを持っていても、開業できません。

 

しかしはじめての店舗開業で、出店コストやその内訳・出店資金の準備について、ご自身で詳しい方はほとんどいないため想定外の苦労をされていることがよくあります。

 

ほとんどの場合、調理や接客のプロであったとしても、開業のプロではないからです。ましてや脱サラなど業界経験が少ない方ではなおさらです。

 

ラーメン職人

居酒屋をやるのっていくらかかる?

シェフの女性

用意しておく開業資金の目安はどれくらい?

 

まずは出店コストの概算や内訳をしっかりと把握しておきましょう。

 

そこで今回は、この「みんなの飲食店開業」でお手伝いした独立開業の飲食店3店舗(居酒屋・ダイニング・蕎麦屋)で、実際にかかったお金の詳細を解説します。

 

出店の費用感を把握し、開業資金がいくらかかるか計算してみましょう。

もしみなさんの店舗が上記業態と異なっていても(カフェ・イタリアン・焼き鳥など)、飲食店開業であれば誰でも参考にしていただけるデータをまとめました。

 

飲食店の出店コストや資金調達について明確にイメージできない部分がある方は、重要なポイントとしてご参考ください。

先パイ開業者に聞く!「いくらかかった?」開業費用

飲食店開業ではどんなに小さなお店でも数百万円、場合によっては数千万円の費用が必要です。

 

15坪以下ほどの小さな店で個人開業する場合、投資コストの目安は、運転資金込みで800万円~1200万円ほど。

もちろんひとつの目安なので地域・物件などで金額の上下は多々あります。また、知り合いや同業者や店舗業者に「出店コストはいくらくらいかかる?(かかった?)」など聞いてみるときはその人たちの前提条件がそれぞれ異なることを踏まえて参考にしてください。

 

「出店コスト」というひとつの言葉には、人によって様々な捉え方があります。

 

・業者への仲介手数料などの物件取得費を含めるかどうか。

・解約後返金される敷金や保証金を含めるかどうか。

・オープン後の運転資金まで含めるかどうか。

 

よく話題に上がるこの3つだけでも、それぞれの「出店コスト」に大きな違いが出てきます。ご注意ください。

 

話を戻しますと、設備・外装・厨房など、どこにどれくらいお金をかけるかは、その店の戦略しだい。

オープンまでにかかった主なお金の内訳を、先パイ開業者からお聞きました。

12坪月商400万円の繁盛ジビエ居酒屋

ももんじや

物件取得費260万円
居抜き譲渡代180万円
内装工事400万円
厨房機器150万円
備品40万円
合計1030万円

こちらのジビエ居酒屋では、日本政策金融公庫の新創業融資を活用して出店。

当初は融資を受けずに、自己資金だけで開業しようと考えていたオーナー。

しかし、使い勝手の良い小箱店舗は競争が激しく、自己資金で取得できる物件の選択肢は限られていました。

そこで『お金を借り予算を広げて、先にお客さんが来やすい物件を借りて売上作る!それで早めに返済してしまおう』と路線変更。

結果的に、12坪で月商400万円を売り上げる繁盛店をつくることができました。(※客数増で手狭になり、本店舗は移転済)

元広告代理店営業マンが脱サラ開業!たこやきダイニング

たこ焼居酒屋 8864

物件取得費340万円
居抜き譲渡代380万円
内装工事120万円
厨房機器50万円
備品20万円
合計910万円

物件探しが難航し、開業までに約半年かかったというオーナー様。

最終的には「これだ!」という居抜き物件を見つけ、イメージ通りの店舗で出店できました。

内装工事は最低限に抑えるため、「棚をつける」「看板を変える」の2つのみ。

事前に構想していたテイクアウト販売もできる物件で、無事に予算内に収めることができました。

50歳で新たなチャレンジ!高校の同級生と蕎麦居酒屋を開業

そば ゆらり

物件取得費100万円
内装工事70万円
厨房機器120万円
備品50万円
合計340万円

自己資金が200万円以下で「どう開業しよう?」と悩んでいたこちらのオーナー。

当社が開催する無料セミナーで、足りない資金は金融機関から調達できることを知り、融資を受けて開業。

それでも初期投資を340万円に抑えたのは、これは万が一コケても「なんとかなる」と考えての投資金額とのこと。

特に、内装工事はご自身で施工する(DIY)箇所を増やし、業者への発注金額を70万円に抑えました

 

▼店舗の内装工事を自分で行う(DIY)についてはこちらで詳しく解説しています。

(参考記事)店舗の内装工事を自分で行う(DIY)メリット・デメリットと注意点【和食居酒屋なごみ】

飲食店開業でかかる出店費用の相場は?

出店コストは、お店の坪数・規模・業態によって大きく異なるので、「自分のお店」をなるべく具体的にイメージしながら考えていきます。

 

開業時の費用は大きく分類すると、この4つ。

 

①物件取得費

賃料の9~12ヶ月分、居抜き店舗の場合は+造作代金 50~300万円ほど

 

②内装工事・設備

スケルトン:50~80万円/坪、居抜き活用:5~50万円/坪

 

③開業諸経費

初期仕入:想定売上の30~40%、その他経費:50~200万円

 

④運転資金

月にかかる固定費の6か月分

 

運転資金を6ヶ月分も確保しておく必要ってある?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。それでも、運転資金だけは予算から削るべきではありません。

 

理由は明快かつ、大変な重要なことです。

開業したばかりの飲食店はいきなり黒字ではなく、2ヶ月目~6ヶ月目は赤字の店がほとんど。最初から黒字で回るお店は、そうそうありません。

 

仕入れ業者への支払いなど「キャッシュがまわらずに早々に閉店」という事態を避けるために、運転資金は余裕をもって準備しましょう。

 

▼運転資金についての詳細な説明はこちらのページで行っています。

(参考記事)飲食店の閉店は、よく赤字が原因だと「勘違い」されている。

物件取得費の内訳

飲食店店内

物件取得費の目安は、賃料の9~12ヶ月分

賃料15万円の物件でも、約150万円かかると見ていた方が無難です。

 

「どうしてここまで高額になりがちなのか」その取得費用の内訳を確認しておきましょう。

 

①保証金・敷金

保証金は貸主に預けるお金で、償却分以外は解約後に返ってきます。

一般的な保証金の目安は「賃料の6〜10ヶ月」。

例えば、保証金8ヶ月・償却2ヶ月であれば、解約時に6ヶ月分が返金されます。

 

繁華街やオフィス立地では、住宅地や郊外と比べ、保証金の相場が高くなりがち。

保証金を家賃の10〜15ヶ月ほどに設定している物件も。出店地域が決まったら、そのエリアの物件をいくつか確認し、費用感や相場(坪単価・保証金の月数)を把握しておきましょう。

 

②仲介手数料

物件を仲介した不動産会社に支払う手数料で、通常は家賃の1ヶ月分かかります。

 

③礼金

借り主が貸主(家主・ビルオーナー)に対して支払うお金であり、上限なく貸主が自由に設定できます。

礼金が0円の物件もあれば、家賃の3ヶ月分を要求される物件もあるなど、物件により大きく異なります。

 

④前家賃

賃料は前払いのため、契約時に初月分をあらかじめ支払います。

 

居抜きの場合、上記に加えて造作譲渡料がかかります。

⑤造作譲渡代金

造作譲渡料は前テナントから造作を買い取るお金です。

居抜き物件に入居するには、「貸主と賃貸借契約」「前テナントと造作売買契約」と2つの契約を交わします。

 

⑥造作譲渡に関わる手数料

取得対象がスケルトンではなく居抜き店舗の場合、造作譲渡の手数料を紹介元の業者に払う場合があります。

この造作譲渡手数料は、業者や物件により大きく異なります。

手数料がかからない場合もあれば、譲渡金額の5〜10%や1件30〜50万円など。都度確認してください。

 

まとめると、物件取得には「保証金・敷金」「仲介手数料」「礼金」「前家賃」(+「造作譲渡代金」「造作譲渡の手数料」)の、4つないしは6つの費用が発生します

そのため、賃料の9~12ヶ月分を確保しておくべきなのです。

 

また、店舗物件によっては保証会社への加入が必要なものもあります。

保証会社は、賃料の支払いが滞った際に、貸主への支払いを保証(肩代わり)する会社。借主は加入時に家賃の0.5~1ヶ月分を保証会社へ支払います。

出店コスト・投資額を考える際に忘れてはいけないこと

飲食店開業に関する投資の内訳について解説させて頂きました。

ここまでお読み頂いた皆さまは、それぞれの項目について相場感も持って頂けたはずです。

不動産屋や内装業者からの提示条件で、相場から大幅に外れたモノに関しては、条件交渉をすることも検討ください。自分を守れるのは自分だけなのはお忘れなく。

 

【注意】人気物件は同時に他の検討者もいることも多いため、下手に条件交渉すると家主・管理会社の貸し先候補から外されることもあるのでご注意ください。

 

その場合、取得費が多少高くついたとしても、「ご自身の商売が成り立つかどうか」をフラットに考えるべきです。

 

「この物件で採算が取れるかどうか」

「他に同条件以上で商売できる場所がある(出てくる)かどうか」など。

 

取得費を安く抑えることを一番の目的にせず、商売を成功させることを一番の目的におくべきです。ほんのわずかの投資コストを惜しむことで、最適な商機を逃しては元も子もありません。

 

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開業の資金でやるべきことは2つ。

「どう節約するか」 と「どう準備するか」

 

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「出店コスト・初期投資額」の計画作成ツール

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事業計画書は(1)投資計画(2)売上計画(3)収支計画(4)資金調達計画(5)返済計画の5つから成り立っています。今回は(1)の投資計画の箇所をご活用ください。

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