飲食店の人材不足はなぜ起こる?

人材マネジメントセミナー

飲食業界における人材採用は、今後さらに厳しさを増していくことは間違いありません。

新規採用ができないこと、そして採用したスタッフが辞めてしまうこと。人材不足が起こる原因は突き詰めるとこの2つだけです。

コストも労力もかけない一番の人材不足の解決策は、今いるスタッフの離職率を下げること。そもそもスタッフが辞めなければ人材不足に陥ることはありません。

わたくし株式会社M&Aオークションの佐野は、前職の最大手飲食チェーンでは現場一筋で18年勤めてきました。その経験を元に、店舗で実践してきた採用とマネジメントのノウハウを店舗そのままオークションの無料セミナーでお話させて頂きました。内容としては、

人材採用→人材育成→店舗環境の改善→売り上げアップ→利益アップ

スタッフが辞めずに育つ、このような好循環になるための方法を基礎から解説したのでその一部をブログにてお伝えします。

飲食店のアルバイトを効率よく採用するには

飲食店スタッフ

まずは昨今難易度が上がっている、飲食店のアルバイト採用についてお伝えしていきます。

一般的に採用は下記の流れで行います。
媒体の選定 ⇒ 広告出稿 ⇒ 応募者対応 ⇒ 面接 ⇒ 採用
採用を効率よく行うには、1つ1つを確実に行うことが重要です。

ところで、新規スタッフの応募ってどんな人がくると思いますか?

そこにひとつ面白い事実があります。なんと私が店長をしていた時の応募者の95%は、お店に来たことがある人です。最大手のチェーンだったからこその数字ではありますが、いずれにせよ店舗の良い雰囲気を保っていくことが人材採用しやすい環境づくりに繋がります。

どのような募集媒体があるのか

TOWN WORK、Job aidem、DOMO、Free an、Yumex、ジョブセンスなどなど。

地域ごとの特性もあるため、その地域の人・来てほしい人材が目にする媒体を選びます。地元で開業した場合は自分が見たことがある媒体を選びましょう。

求人広告の出稿ポイント

求人広告例
キャッチコピーには特に力を入れてください。
条件面は他店と横並びになることが多いので、差別化するならここです。

「どんなコピーがいいんだろう?」と思った方、良いヒントを得る手段として今いる従業員の方に聞いてみることをおすすめします。その人が応募したときに響いた部分・不安に思っていた部分などをヒアリングし、そこから作り上げていくことがオススメです。

応募者に喜ばれるキャッチを1つご紹介します。それはお金をもらいながら学べるということ。
例えば、「魚がさばける」「ソムリエと一緒に働ける」などですね。

応募しても面接にこない人の理由と対策

せっかく応募を獲得しても、面接にいたらない場合があります。主な理由は5つです。

①別のお店で決まってしまった

②すぐに面接の連絡がこなかった

③応募時の対応が悪かった

④面接に行くのが面倒になった

⑤条件面が嫌になった(他に良い条件の店を見つけた)

上記の解決策を4つお伝えします。

スピード感を大切に!連絡は早ければ早いほど良い

①「別のお店で決まってしまった」②「すぐに面接の連絡がこなかった」の対策です。応募者はあなたのお店だけでなく2,3社に並行して応募していることが多いと言えます。いわば早い者勝ちの状況にあると思ってください。できれば応募してくれたその日に、面接日についての連絡を入れてあげて下さい。

応募対応は丁寧に。お店での接客と同じ

③「応募時の対応が悪かった」の対策です。「応募者も店を選んでいる」という意識をもって対応することが大切です。もし問合せの電話をぞんざいに扱われた時に応募者はどう思うでしょうか?自分がその店で働いた時に同様の対応をされるのだろうかと想像してしまい、応募を控えてしまう人もいるのです。

履歴書なしで応募できるようにする

④「面接に行くのが面倒になった」への対策です。これは応募の母数を増やすことに使えるテクニックになります。履歴書を書いてから募集、ではなくまずは応募の連絡と店舗に来てもらうことを優先する。実際はお店に来てもらってから「事前アンケート」として履歴書に近い内容を10〜15分ほどで書いてもらい面接に入れば支障はありません。

同業種・同地域の募集条件をリサーチする

⑤「条件面が嫌になった(他に良い条件の店を見つけた)」の対策です。条件と言っても時給だけではありません。シフトに融通が効くか、交通費はいくらまで支給されるか、まかないは出るのか、などなど。他店を大きく超える条件を提示する必要はありませんが、自店の条件に他店に比べ劣った箇所がないか応募者の立場でチェックしていてください。

採用しても離職されては意味がない

まず前提として、採用した人が辞めなければ人材不足は起こりません。大切なのは①続ける理由 ②辞める理由 を理解しておくこと。この2つを根本的に理解していなければ、どれだけ採用してもすぐに辞めてしまうという負のスパイラルから抜けられず、人材不足が常態化します。ではその理由を紐解いていきましょう。

①アルバイトを続ける理由

・勤務地が自宅から近い

・時間の融通がきく

上記を見ると、働きやすさに重点をおいている人が多いと言えます。ではそもそも「働きやすさ」とはなんでしょうか。お店を経営する側はふと忘れがちですが、スタッフにとってアルバイトが生活の全てではありません。アルバイト以外の学業・家事などに支障が出にくいかどうか、都合がつけやすいかどうかを続ける理由として判断される方が多いと言えます。

②アルバイトを辞める理由

・店長や社員の雰囲気が悪い

・長い期間働ける仕事でない

・疲れる仕事だから

店によってもしくは人によって大きく異なるため、現状把握が重要です。自店の問題が明らかになることにより、効果のある改善策がみつけられます。

理由を把握するために「辞める理由」は必ず聞くこと

やはり辞める側としては表向きの理由しか答えない方もいますので、そのまま鵜呑みにするわけにはいきません。しかし、正直に答えてくれる人もいますし、正しい聞き方によって改善の手がかりになります。

その際は「無理に引き止めるわけではないし最後だから気にせず◯◯さんの本音を教えて欲しい。こちらが原因のことであれば、今後再発しないようにしていきたいから。」など、辞めるスタッフが本音を言いやすいような聞き方を行うことが重要です。

聞きずらい内容だとは思いますが、必ずやることをオススメします。私も店長時代は必ずやっていました。

辞める理由がわかれば、効果的な施策をうてる

人材不足に悩み、最初に考えられる策のひとつとして時給を上げる経営者様もいらっしゃいます。しかし実際には時給アップが人材定着に効果があがらない場合も多いのです。

なぜなら、時給だけが原因で退職している人が少ないから。というのも、応募してきた時点で時給は納得している部分です。人件費が膨れ上がる原因にもなるため安易な策に踏み切らず、まずは原因特定を急ぐことが懸命です。

辞めずに育つスタッフ教育

セミナー様子

まず最初に申し上げます。教育・トレーニングは一筋縄ではいきません。なぜならスタッフはそれぞれ、向き不向き・得意分野や不得意分野は違うから。正しいアプローチはありません。その人にあった対応が1番です。何名か教えているうちに、見えてくるものがあります。根気よく向き合うことが大切です。

18年の現場経験で見出した!実践できる教育方法

基本的な教育の流れは以下の通りです。
準備 ⇒ 提示 ⇒ 実行 ⇒ 評価
これを繰り返し、できることを増やしていってもらいます。

①準備
ここでやることは2つです。
・今日は何をしてもらうかあらかじめ考える。
・ユニホームなど必要な物品をそろえる。

②提示
何をしてもらうか伝え、自ら手本としてやってみせる

③実行
実際にやってもらう

④評価
できた部分と改善してほしいところを伝える

一番大切なのは、評価です。できない部分は目につきやすいですが、それだけ伝えると上手くいきません。まずは、できたことを認めてあげることが大切です。特に今の10代・20代は怒られた経験が少ないため、注意深く接します。

コミュニケーションと信頼が何よりも大切

「あの人、何考えてるかわからないよね」とスタッフに言われるなら黄色信号。普段からよく話をしておき、関係を築いていくべきです。仕事の話だけではなく、趣味やテレビ、子育て、恋バナ、まずは人に合った話題を提供します。

スタッフ同士のコミュニケーションはスタッフボードが有効です。特に新人さんの不安を解消するのに役立ちます。スタッフボードには、顔写真・名前・大学・趣味などを書いておきます。「今日、一緒に働いている人はどんな人だろう?」ということがわかるだけで、気持ちが違います。共通の話題(学校・趣味)が見つかれば話のとっかかりになります。

人材マネジメントの基本的な考え方

困っている人
あるスタッフが他スタッフの悪口を言い出したら、アナタならどうしますか?

まずはリサーチから。これを原則にします。現場のことは現場のスタッフが1番知っています。

人をマネジメントする立場にいると、つい説得しようとしたり、言い負かそうとしがちな方がいます。しかし、それでは相手の年齢に関係なく、スタッフは動いてくれません。職場の価値は、人材の多様性にあります。スタッフそれぞれの力が互いに作用し合うことによって、相乗効果を生み出し、さらに大きな成果を上げていくものです。色々な人がいると肝に銘じてください。

相手を知ることで接点が見えてきます。接点が見つかれば、そこから彼らと一緒に何をすれば、より楽しく働ける職場になるか、考えていけばいいのです。

採用・人材マネジメントのセミナーまとめ

・適切な応募媒体を選定し、キャッチコピーに力を入れる

・応募時の連絡は迅速かつ丁寧に

・スタッフが辞める理由・続ける理由は必ず知っておく

・教育は人それぞれ!根気よく取り組むこと

・コミュニケーションと信頼が重要

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採用基準表
自社(自店)で採用したい人物像を明確にするためのツールです。人柄、スキル、経歴など、様々な視点で検討していきましょう。

採用通知書(雛型)
採用を仮決定(内定)した場合に、内定者に対して採用意思を通知する為の書面です。後々のトラブルを避けるためにも採用条件は、しっかりと明記しましょう。

雇用契約書(雛型)
正式に採用が決定した場合に、雇用者と被雇用者の間で締結する雇用契約書の雛型です。特殊な条件などがあれば、抜け漏れなく記載するようにしましょう。

モデルシフト表
店長、社員、アルバイトのシフト体制を組んだり、そこから必要な人員数を割り出す際に使用するツールです。人件費についても、概算で計算することが可能です