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アンミラート 杉村さんと渡辺さん

 

料理・サービスのプロでも、ゼロから立ち上げる飲食店開業に想定外のトラブルはつきもの。

そこで今回は、2017年8月に開業1周年を迎えた代々木上原「Ammirato(アンミラート)」の杉村オーナーに、オープン前後に苦労されたこと・その苦労をどう乗り越えてきたのかをインタビュー!

 

イタリアで7年間腕を磨いた渡辺シェフとサービスのプロ杉村オーナーの2人で立ち上げたこのお店、ここまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした

 

【居抜き物件トラブル】機器の動作不良・故障。修理は全て入居者負担

【飛び込み客は期待できず】高単価イタリアン、どう集客する?

【メニュー構成に悩み】原点のコンセプトに立ち戻り、リピート増→業績改善!

 

想定外のことにきちんとひとつひとつ対処してきたお二人の実体験は、これから開業する方にとって役立つものと確信しています。

代々木上原 Ammirato(アンミラート)のご紹介

アンミラート店内

「Ammirato(アンミラート)」は代々木上原に店を構える、コース料理メインで提供する魚介中心のイタリアン。

お店のコンセプトは、「イタリアンの高級食材を気取らないサービスで、高級店に行かずとも気軽に味わえる」

 

イタリアで7年腕を磨き続けた渡辺シェフにより、本場の料理と旬の国産食材を合わせた、シェフの経験と感性が光る料理が味わえます。

オーナーはサービス担当の杉村さん。渡辺シェフ同様、イタリアでサービスの腕を磨いてきました。

杉村さんと少人数の精鋭スタッフならではの品質の高い接客・細やかな気配りも、Ammirato(アンミラート)がお客様から愛される理由のひとつです。

 

苦しいけれど、開業してよかった

開業コンサルタント大森

1周年おめでとうございます!お店の調子はいかがですか?

アンミラート杉村さんアンミラート杉村さん

まだまだ”軌道に乗った”とは言えない状況ですね。少しずつ良くなっていますが、今も苦しんでいますよ(笑)

独立するということは、決して楽しいことばかりではありません。

むしろ開業当初は苦しいこと、ツライことの方が多いでしょう。

それでも、安定した職を捨て、収入の保証もない「独立開業」の道を選ぶのは、そこに「雇われ」では決して得られない「やりがい」があるから。

 

「まだまだ苦しい」とおっしゃる杉村さんですが、「独立して良かったと思いますか?」という私の(ちょっと意地悪な)質問には、躊躇なく「独立して良かったと思います。」と笑顔で答えてくれました。

 

アンミラート杉村さんアンミラート杉村さん

自分たちがずっとやりたいと思っていたことを自由にできていますし、自分たちが本当に美味しいと思う料理を自信を持って提供していますから、良くも悪くも、お客様のリアクションをダイレクトに、そして素直に受け止めることができます。

アンミラート杉村さんアンミラート杉村さん

良い評価であればとても嬉しいですし、逆に辛口の評価であっても、それはお店に(自分達に)期待をしてくれている証拠と思い、更なる改善・改良に向けた前向きなモチベーションに変えています。

オープン後、想定外のトラブルとその対処

渡辺シェフ

今でこそお客様の支持を集め、経営も安定してきたアンミラート。

しかし1周年を迎えるまでには、嘆きたくなるトラブルや不調慎重な経営判断を迫られる場面もあったのです。

お2人が想定外の困難をどのように乗り越えてきたかお伺いしました。

居抜き物件の設備トラブル、機器の動作不良・故障

厨房機器

物件探しには1年かけたかいもあり、好立地の居抜き物件で開業することができたアンミラート。

立地だけでなく、内装もレストラン風の洒落た雰囲気。開業イメージに合った、理想に近い店舗が見つかったことで、工事費用も抑えることができました。

 

しかし、苦労はこの後やってきたのです。

 

居抜き物件ならではのトラブルが2つも起こるとは、このときは知る由もありませんでした…

トラブル① ダクトの吸気が想定より弱かった

テナント入居後、実際に厨房で調理をしてみて発覚したこと。なんと、ダクトが煙を吸いきれていません。

 

契約前にダクトが設置されていることや、動作していること自体は確認していました。

しかし、どの程度煙を吸うかまでは確認できません。動作確認といっても、まさか契約前にサンマでも持ち込んで焼き始めて吸気のチェック、というわけにはいきません。ある程度は仕方ない部分もあります。

 

どうやら前テナントよりしっかりした調理をするため、発覚したトラブルのよう。

厨房機器業者に依頼し、解決はしたものの、想定外の修理代がかかってしまいました。

トラブル② エアコンの故障

さらに悪いことに、ダクトに続いてエアコンが故障!

居抜き物件として引き継ぐ以上、ついてくる物品はあくまで中古品。

低コストで済む反面、中古がゆえに「いつ壊れるかわからない」リスクもゼロではありません。

 

今回の空調設備の入れ替えには、購入ではなくリースを活用

なるべく投資コストを抑えたのは、転資金を減らしてしまうことを懸念したうえでの判断でした。

 

リースとは、リース会社が代わりに機器を購入し、一定期間貸出を行うサービス

初期費用をかけずに、月々の支払いで機器をそろえられます。

最終的な支払総額は、購入よりリースのほうがコストはかかります。(目安:+20%)
ただし、メンテナンス料金は含まれているため、その分はお得です。

今回のアンミラートのように、トータルで支払う金額が多かったとしても、一括支払いで手元資金を減らさず、月々の支払いにしておくことにはメリットも。

 

運転資金の確保はなによりも重要であり、資金ショートを起こしてしまえば、それすなわち閉店です。「お金の出入り」を把握したうえで投資については慎重な判断が必要とされます。

 

運転資金の重要性については、別記事でくわしく解説しています。(こちら

居抜きの譲渡物品がスグ壊れても、補償はない

引き継いだ厨房設備

居抜きの造作売買では、売主は契約後、責任を負わない旨を契約内容に盛り込むのが一般的。契約書上では「瑕疵担保責任は負わない」との記述になっています。

(瑕疵担保責任=欠陥があった場合に売主が保証すること)

 

契約の翌日に不具合が起きたとしても、売主に責任を追及することができません。

故障に対処し、財布を痛めるのは入居者(買主)です。

 

だからこそ、契約前の動作確認は入念に行うことをオススメします。例えば、ガス台ならその物品が残っていることだけでなく、実際に火をつけて確かめましょう。

 

例外なのは、売主が「故障を隠した・偽った」場合。

悪意ある対応には、賠償請求が可能です。

 

居抜き物件でハズレをひかないための内覧ノウハウは、こちらの記事にまとめました。

初回来店のハードルが高いことは想定内

アンミラートのコース料理

Ammirato (アンミラート)はディナー・ランチともにコースのみ。(※ディナーは4000~7000円の3種、ランチは1500円~3800円の3種)

コスパも良く、味も折り紙つきですが、はじめはちょっと敷居が高く入りづらいお店ととらえるお客様もいるかもしれません。

 

困っている男性

それなりの金額を払ったのに、満足できなかったらどうしよう…

気軽に行ける低単価のラーメンやカフェと違って、客単価5000円以上のお店などでは、万が一の損を避けたい心理が来店のハードルになるかたも。どうしても店の良さを知ってもらうまで、立ち上げに時間がかかるのはいたし方ありません。

 

立ち上げに時間がかかる可能性がある以上、一括投資をして運転資金を減らしてしまうことを避けたいと考えていた杉村オーナー。エアコンを購入ではなくリースにしたのも、この考えがあったからなのです。

 

そこでさらに、もうひとつの工夫。

 

料理は一級品だからこそ、徐々に口コミで評判が広まる自信はありましたが、お店の立ち上げにもう少しスピードを持たせたかったアンミラートでは対策を打ちました。

それは、「Facebook(SNS)」「チラシ」「グルメサイト」の3ルートから初回来店を増やす仕掛けを打つこと。

Facebook(SNS)ページでお店の情報を拡散

フェイスブックを使った集客

オーナー・シェフの友人・知人を中心に認知を広げるため、Facebookを活用しました。

国内でも月間2800万のアクティブなユーザーがいるフェイスブック。友人に「イイね」やシェアなどの反応をもらうと、自然とお店の情報が拡散。知り合いから知り合いへと、直接繋がっていなかった新たな顧客へもアプローチできます。

 

Ammirato (アンミラート)のFacebookは写真付きでこまめに更新されています。

まさに継続は力なり。1周年記念の投稿を見てください。


ひとつの投稿で、お客様からのリアクションが270件!

地道な継続が根強い集客に繋がっています。

チラシでは値引きクーポンを「あえて」付けない

北海ダコとフォアグラのテリーナ
人気メニューの北海ダコとフォアグラのテリーナ

お店がある代々木上原は、オシャレな一軒家や格式ある豪邸が並ぶ、都内屈指の高級住宅街。つまり、お店のターゲット層ど真ん中。近隣住宅にチラシを配布しない手はありません。

 

オープンのチラシといえば、値引きや一品サービスをつけるのがセオリー。ですが、お店の雰囲気・ブランドを崩さないため、Ammirato (アンミラート)ではあえて値引きクーポンは付けずに配布を行いました。

 

反響数は多くなかったものの、その後も来店いただける常連客の獲得につなげることができました。

他の飲食店のように『オープン記念 全品○%引き・ドリンク無料』といった打ち出しであれば、より反響があったかもしれません。しかし値引きの打ち出しだけに惹かれて来店したお客様は、その場限りの利用となる可能性が高いとも言えます。

Ammirato (アンミラート)ではあえて刺激的な価格訴求などの打ち出しはせず、お店が目指す姿に合致する客層へのアプローチに成功したのです。

どこが自店に効果が高いグルメサイトか、ABテストを行う

杉村さん

食べログ、Rettyなどの口コミ系グルメサイト等を活用し、ウェブからも積極的に新規客へアプローチ。

しかしただ取り組むだけでは、ただのあてずっぽうでPDCAも何もありません。Ammirato (アンミラート)は「計画的」に販促に取り組みました。

 

予算と期間を決めて取り組み、集客への効果が無ければキッパリやめる。

当たり前のように思いますが、意外にも各販促媒体の効果測定ができていない飲食店は多いのです。このサイクルを適切に行っていくことで、効率の良い集客方法を見つけることができます。

 

開業当初はどのような手法・どのようなサイトが自店に適しているか分からなくて当たり前。少額でまずテストし、結果を分析。比較検討を繰り返し、より効率の良い手法を見つけることをオススメします。

繰り返しテストを実施する「ABテスト」を頭の隅に置いておきましょう。

その際は費用対効果を比べられるよう、なるだけ「来店のきっかけ」の記録をとるようにしてください。どの媒体から来たお客様か「アンケート」や「会計時に口頭で確認」し、今後に活かします。

 

施策にかけた費用÷来店した客数=ひとり当たり集客コスト

 

上記の考え方はもちろん、『来店したお客様がリピーター化したか』それとも『一度きりの利用で終わってしまった』のかも、正しい効果測定につながる重要な考え方です。

コンセプトに忠実に!原価率をあげることで、業績も上向きに

アンミラート 杉村さんと渡辺さん

もちろんアンミラートにおいても、すべての施策が当たったわけではありません。悩みに悩んだ日もあります。

 

利益確保のため、原価率をなんとか落とせないか。

単価をあげたり、ポーションを抑えるなど、試行錯誤の日々が続きます。

 

しかし杉村オーナーはある時、こう思ったそう。

 

アンミラート杉村さんアンミラート杉村さん

クオリティを落として、どうこうするっていうのは違うんじゃない?

 

「良い素材を、リーズナブルに」

この当初のコンセプトに、もう一度立ち返った杉村オーナー。

自分たちが苦しくても、料理のクオリティは落とさないと覚悟を決めました。そのため原価率が40%を軽く超えてしまうときも…

 

しかし、それが結果的に大成功

お客さんからの評価が更にあがり、支持してくれるお客さんも自然と増えていき、経営も上向きに!

 

アンミラート杉村さんアンミラート杉村さん

どんな販促よりお客様に喜ばれるし、なによりウチの強みが活きている

 

Ammirato (アンミラート)の強みのひとつは、コース料理をメインにしていること。

アラカルト(一品料理)をメインだと、さまざま食材を準備しなければいけません。ランダムに注文されるメニューのすべてに応えられるよう準備すると、ある程度の食材ロスは出てしまいます。

コース料理だけであれば、食材ロスは極限まで抑えられ、その分、一品あたりに原価をかけられます。お客様にも満足してもらいやすいお店をつくることができるのです。

さいごに

アンミラート杉村さんアンミラート杉村さん

これからも自分たちが本当に美味しいと思う料理を、自信を持って提供します。そして、より多くの方にこの店を知ってもらい、味わってほしいです。

 

開業コンサルタント大森

これからも応援しています!

杉村さんと渡辺さんのおふたりなら、きっとこれからも色々な試行錯誤を繰り返しながら、幾多の苦労を乗り越え、長くお客様に愛される「繁盛店」を築かれることでしょう。

 

「みんなの飲食店開業」はこれからも代々木上原の本格イタリアン「Ammirato(アンミラート)」さんを、ガッツリ応援していきます!!

 

■ La Cucina Italiana「Ammirato」(アンミラート)

東京都渋谷区上原1-29-5 BIT代々木上原101

小田急線・地下鉄千代田線「代々木上原駅」から徒歩2分

TEL:03-5738-5280

営業時間(ランチ):11:30~15:30 ※コースのみ

営業時間(ディナー):18:00~23:00 ※コースのみ

定休日:月曜日

 

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1975年生まれ。東京都出身。 東証一部上場のコンサルティング会社にて、数百店舗の飲食店チェーンの立地診断・出店判断を担当。また、大手チェーンのM&A業務に関わるなど、多岐に渡る豊富な経験を持つ。 実務経験15年、1000店舗以上の支援実績を誇る立地戦略・物件開発のスペシャリスト。長年の現場経験に基づいた的確なアドバイスは、個人からチェーン企業に至るまで、多くのクライアントから絶大な信頼を集めている。
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