飲食店で独立を目指し、物件を探し続けること数ヶ月…。
苦労してようやく物件が決まり、オープンが見えた!
今は口コミサイトもSNSもある。美味しい料理を出してさえいれば、放っておいてもお客さんがやってくるだろう
本当にそうでしょうか?
オープンや開業はあくまで、店舗経営のスタート地点。
たくさんのお客様にご利用いただき、長期に渡る商売(経営)が目的ですよね。
もちろん中長期(3~5年)で考えれば、何もせずジワジワと口コミが広がり来店数が増えることもあります。
しかし、短期間で店を立ち上げるには「料理の美味しさ」だけでは不十分。
今回は「初回来店を促すオープン時の集客・販促」の実例とポイントを解説します。
「フレンチビストロ D’etraison」「カジュアルフレンチ Lupin」(それぞれ2017年4月・5月オープン)で実施されたオープン販促を、実例として取上げさせていただきました。
どんなに美味しいお店でも「初回来店してもらう」努力が必須
料理の「味・美味しさ」は「初回来店」にはあまり影響を与えません。
「味・美味しさ」が影響するのはあくまで、満足度・リピート率・口コミ誘発率など2回目以降の来店。
どんなメニューを出そうか。
価格帯はどうする。
スタッフの募集・教育はどうしよう。
オープン前にオーナーは色々と考えるべきことはありますが、オープン販促は意外と軽視されがち。
開業直後からスムーズな立ち上がりに成功した2つのフレンチ店を実例に、オープン時の集客について学びましょう。
自由が丘のフレンチビストロ「D’etraison(デトレゾン)」(2017年4月22日)
本八幡のカジュアルフレンチ「Lupin(ルパン)」(2017年5月1日)
晴れてオープン日を迎えた2つのお店。
それぞれのコンセプトに合う、素敵なお店が仕上がりました。
どちらも華々しい経歴と確かな腕前を持つ「超」がつくほどの一流料理人が立ち上げたお店。
一度食べてもらえれば、その美味しさに感動すら覚えるハズ。
とはいえ近隣住民や働いている方は誰も、オープン前にはその店の美味しさも魅力も知りません。
業界や料理人の間で名が通っていても、一般人に知られているかというと話は別物。
もちろん商品力が強ければ『口コミ』集客はしやすいですが、
まずは実際に食べた人がいなければ口コミは発生しません。
ましてやカジュアルとは言え、本格的なフレンチのコースを提供するようなお店。
低単価のカフェや居酒屋と違い、フラッと通りすがりに来店するには少しハードルが高いですよね。
入ってみて、雰囲気が良くなかったらやだな
食べてみて、美味しくなかったらどうしよう
思ったより高かったらちょっとな〜
そんな不安を感じ、なかなか入店しにくいもの。
だからこそどんな美味しいお店でも「知ってもらう・食べてもらう」努力は必要。
ではこの2つの店は、初回来店を促すためにどのような策を取ったのでしょうか?
最初の集客、何した?自由が丘「D’etraison(デトレゾン)」の場合
自由が丘 D’etraison(デトレゾン)オーナーシェフ 三田幸輔 氏 1977年生まれ。調理師学校卒業後、銀座「レ・ザンジュ」にてフランス料理の道に入る。その後、代官山「ラブレー」、銀座「アランデュカス ベージュトーキョー」を経て、2008年、乃木坂の名店「レストランFeu」 にてスーシェフ(副料理長)に。 2013年より南青山「ランベリービス」のシェフに就任し、オープン翌年の2014年にはミシュランの「ビブグルマン」(※)を獲得。2017年4月22日、満を持して、自由が丘にて「D’etraison(デトレゾン)」開業。 |
※ミシュランガイド「ビブグルマン」とは?
グルメ情報のガイドブックとして知られる「ミシュランガイド」に近年新しく導入された評価指標。従来の星(三つ星、二つ星、一つ星)の評価からは外れるものの、およそ5000円以下で楽しめる安くて美味しいオススメな店舗に与えられる称号。数十万とある飲食店の中で「ビブグルマン」の称号を得られるのはわずか300軒(東京版)ほどという狭き門。ちなみに、ビブグルマン(Bib Gourmand)はフランス語に由来。Gourmandは欲張り・食いしん坊といった意味、Bibはミシュランのマスコットキャラクターであるビバンダム(Bibendum)の愛称であるという。ビブグルマン印の店舗には、ビバンダムの顔をあしらったマークが付けられる。
オープン案内は手書きメッセージ付き
自由が丘の三田さんがまず手始めに行ったのは、オープン案内の送付。
印刷しただけのものでなく、丁寧な手書きのメッセージを添えたもの。
今まで働いてきたお店で三田さんの料理のファンになってくれたお客様や、友人・知人・取引先などに、ひとつひとつ丁寧に書いていきました。
数百通の案内状はメッセージを書くだけでもかなりの手間と労力。
オープン前の忙しい時期に、日付が変わってからも夜な夜な筆を走らせていたそうです。
チラシのポスティング
近隣に住んでいる方に知っていただくために、オープンチラシを準備。
一緒に働くパートナーと手分けして、1軒1軒、ポストに投函して回りました。
たまたま目があったり少しでもお話できた方には、
新しくオープンするので、良かったら、ぜひ一度お越しください!
チラシを直接手渡し、笑顔でご挨拶。これもまた、大変な労力です。
周辺のマーケットや顧客をより理解するにも、最初は業者に任せずポスティングを行うことはオススメです。
売上目的ではなく、認知を広めるためのランチ営業
基本はディナーのみの営業ですが、週末(土日祝日)だけリーズナブルな価格のランチコースを用意。
初回来店の敷居を低くして、
「まずは試しにランチから。」と近隣のお客さんが気軽に入れるような工夫も行ないました。
ネット対策
facebook、無料グルメ媒体、Googleなどに店舗情報を登録。
店名で検索すると見つかるように準備しておきました。
特にグーグルのマイマップの無料登録は必ず行っておくべきです。
せっかくお店に行こうと思ったお客様が、「道に迷って来れない・場所が見つからずに失客」するのは必ず避けたいところ。
また、お店のfacebooページを作成しておくと、お店を気に入ったお客様にシェアしてもらえるという効果も期待できます。
D’etraison(デトレゾン)のオープン販促まとめ
自由が丘という土地柄、ある程度の客単価の店でも飛び込みで来店し、ディナーコースを楽しんでいかれるようなお客様もいらっしゃいます。
しかし、そのような偶然の来店を待つだけでは、計画的に右肩上がりで売上を作っていくことはできません。
口コミの伝播する範囲も限定されるうえ、母数が少なく広がりも弱くなります。
良い評判が伝わりきる前に、運転資金が不足しやむなく閉店、こんな事態は絶対に避けるべきです。
もちろん「知人・友人など最も近しい人」への告知も忘れずに。
知り合いは何も言わずとも来てくれるだろう、ではなく必ず来てくれるからこそお知らせは必要です。
腕の良い料理人さんほどプライドが邪魔して、広告宣伝するのを嫌ったり、躊躇ったりするものですが、三田さんは「イチからのスタート」と割り切り、きちんとやるべきことをやっているところが素晴らしいですね。
オープンの集客、何した?本八幡Lupin(ルパン)の場合
本八幡 Lupin(ルパン)オーナーシェフ 山田 勝好 氏 1978年生まれ。大阪の調理師学校を卒業後、本場フランス「レストラン レグルメ」(1ツ星)の研修生として料理人としてのキャリアをスタート。 帰国後、麻布十番「レストラン アローロ」、池袋「レストラン ラボンダンス」を経て、表参道「レストラン バンブー」にて今も師と仰ぐシェフに出会い、自身の料理スタイルにも変化が生まれる。 師であるシェフの紹介で、2006年、乃木坂の名店「レストランFeu」のスーシェフに就任。その後、2010年より三宿「レストランデュバリー」のシェフとしてオープンから立ち上げに携わり、2016年にミシュランの「ビブグルマン」(※)を獲得。 2017年5月1日、満を持して、本八幡にて「Lupin(ルパン)」開業。 |
手書きメッセージ付きのオープン案内
山田さんも三田さんと同様に、友人・知人や過去にお世話になった方々へ1通1通お手紙を送るところからスタートしています。
私もその手紙を受け取った一人ですが、とても心のこもったメッセージで「これは行かないワケにはいかない!」と感じたことをよく覚えています。
プレオープンでランチ営業
はじめての方でも気軽に入店できる配慮として、ランチを設定しました。
Lupinは一見客を取り込みやすい立地にあります。
メイン通りではありませんが、駅近で生活動線に面し、店前にはそれなりの人通りがあります。
1階で間口も広いため、視認性にも恵まれています。
このように良い立地とはいえ、フレンチ業態の敷居の高さは拭いきれません。
ディナータイムにふらっと入ってきて、いきなり「フルコースちょうだい!」という来店は望みにくい。
カジュアルとは言え、本格なフレンチレストランは入りにくいですよね。
ましてや本八幡に本格フレンチは他にありませんから、初めての方が「入りたくても入れない。」と躊躇するのも当然と言えば当然かも知れません。
そこで、正式なオープン前から「プレオープン」としてランチ営業スタート!
気軽に利用していただけるよう、1500円からとリーズナブルな価格に設定。
「まず店を知ってもらう」という目的があるため、店前でランチ営業の告知をしっかりと掲げました。
この「まずはランチから作戦」が功を奏しました。
『新しくオープンする、綺麗なレストランでお洒落ランチ♪』と早々に認知してもらうことに成功!
女性客を中心に続々お客さんが入店。
正式なオープン前にも関わらず、お店はほぼ満席状態となりました。
お手軽ランチをきっかけに来店いただいたお客さんは、その料理のクオリティーに感動!
あらためて家族やご友人とディナーに来て頂いたり、別のお客さんをご紹介頂いたり、、
狙い通りに着々と、地元客を中心に口コミ・評判が伝わっています。
もちろん口コミがスムーズに伝わるような環境を整える努力も忘れていません。
自店のfacebookページを立ち上げたり、グルメサイトに情報掲載など。
オープン前の忙しい中でも、寝る暇も惜しんでしっかり準備を進めた山田オーナー。
だからこそ、スムーズな立ち上がりが実現できたのです。
新店オープン時の販促まとめ
知人・取引先へのメッセージ
メール・SNS・封書・ハガキなど、送付手段はさまざま。
しかしここはお店の第1歩として、封書できちんと送付することをオススメします。
今回、ご紹介した2店舗のように、手書きメッセージをつけると一層気持ちが伝わります。
もちろん大量送付は、メールが便利。
1通ごとにお金がかかるわけでもないので、件数や関係性によって送付手段を検討しましょう。
また、取引先や知り合いに、レセプションの招待状を送ることもあるかもしれません。
レセプションについての解説や招待状は別ページまとめてありますので、ご利用ください。
チラシ(ポスティング・ハンディング・折込み)
地域密着を目指し、住居立地で開業する店ではとくに有効。
ポスティング(投函)・ハンディング(手配り)・新聞折り込みと3つの方法があります。
ポスティングは周囲に住んでいる人・働いている人へアプローチ。
ハンディングは店前や近隣を通る人へのアプローチ。
新聞折込はその名の通り、朝刊夕刊にチラシを差し入れるアプローチ。
また、チラシの活用はどの手法を使うべきか「ターゲットの年齢層を意識する」ことが重要です。
財団法人新聞通信調査会が2016年に行った調査によると、新聞購読世帯は40代以上が多数。
年齢層が高いほど購読率が高く、30代46.5%、40代65.5%、50代77.7%となっています。
逆に20代へのお店を認知してもらうには、新聞折込は有効な策とは言えませんよね。
ちなみに新聞折込チラシの反応率は一般的に0.3~0.5%。
もし反響が少ないようであれば、紙面の見直しを検討しましょう。
反応を上げるチラシ作りのポイント3つ
①料理の写真はプロのカメラマンに撮ってもらう
どのような言葉より、料理の写真は説得力があります。
いくら性能が向上しているとはいえ、スマホで撮った写真を店舗で使うのは避けるべき。
構図・ライティング・角度・シズル感など、料理写真は最も撮影が難しいと語るカメラマンもいるほどです。
ウェブサイト・チラシ・名刺などあらゆる場面で使う写真は、プロにきちんとお願いしましょう。
単なるコストではなく、売上のための投資と考えることが重要です。
②特典やクーポンは必ず期限付きで
使用期限の有無と設定の仕方で、チラシの反響率は大きく変わります。
もったいないのは有効期限が長めに設定されていて、「お店に行くのはいつでもいいか」と思われてしまうこと。
「いつでもいい」は「いつまでたっても」来てもらえません。
2週間〜1ヶ月ほどを目安に使用期限を設定するといいでしょう。
チラシを見た人に「◯日までに来店しなきゃ」という動機付けは必須です。
③分かりやすい地図。最短距離を記すのが、最善とは限らない。
スムーズにお店にたどり着いてもらうことを第一に準備します。
「はじめてその駅に来た人が迷わず行ける」ことを意識しましょう。
最短ルートにこだわらず、分かりやすい道を選んで案内します。
このようなことに気を付けましょう。
- 道を曲がる回数はなるべく減らす
- 路地や狭い道は避ける
- 目印(郵便局・銀行・コンビニ・学校)を記載する
上記イメージ図のような詳細とは違い、目印となるポイント以外は余計な要素を除いたものが良いでしょう。
ファックスDM
オフィス立地で効果が高い手法です。
サラリーマンへアプローチできるため、飲み会や宴会需要を獲得しやすい特徴があります。
FAXの送信コストは、1配信あたり3~10円と比較的安価。
一斉配信もできるため、周辺オフィスへ認知を進めるきっかけに使うことができます。
オフィス向けチラシは、住宅地と違ったアピール要素が必要です。
・【法人様限定】など特別感を演出
・何名まで対応可能な部屋(個室)があるのか
・「忘年会」「歓迎会」向けなど利用シーンを想起
「特別プラン」「幹事様無料」「割引」など動機付けは必ず行い、利用期限もお忘れなく。
Googleマイビジネスへの登録
グーグル検索やグーグルマップで検索した時に表示されます。
登録無料ですので、必ず行いましょう。
営業時間や電話番号、ルートの情報を Google 検索や Google マップに掲載されるだけでなく、
最近ではグーグルマップから口コミ投稿を投稿されることも多く、集客への影響が大きくなってきています。
(PC)
(スマホ)
Googleマイビジネスのページより登録ができます。
登録には3ステップが必要。
1、マイビジネスページよりお店を登録
2、Googleからオーナー確認の連絡が入る
3、登録情報の確認
Googleマイビネスの登録ページはこちらです。
関連記事:飲食店集客に効く!Googleマイビジネス(マップ)の登録方法と活用のコツ
facebookページへ登録
facebookの店舗向けページも無料で登録ができます。
個人アカウントだけの店舗経営者もいらっしゃいますが、
チェックインやレビューなど個人アカウントでは使えない機能もあるので店舗向けページの登録は必須です。
継続して料理の写真配信などを考えている場合は、早めに用意します。
facebookページの投稿はどれぐらいの方へ見てもらえるかが重要。
早い段階で準備し、フォローしてくれるお客様を着実に積み上げていきましょう。
facebookには、個人用とブランド・ビジネス用の2種類あります。
お店の情報発信やお客様とのやりとりをするならビジネス用が便利です。
ブランド・ビジネス用のページは「Facebookページ」と呼ばれています。
Facebookページのつくり方 7ステップ
1、「Facebookページを作成」ページを開く
https://www.facebook.com/pages/create/?ref_type=logout_gear
2、カテゴリーを選択。飲食店は左上の「ローカルビジネスまたはスポット」です。
3、電話番号など詳細情報を埋める欄が表示されるので、記入
4、カバー写真・プロフィール写真を追加
5、[ ページ情報 ]⇒[ ページ情報を編集 ]をクリック
6、情報を記入します。お客様がチェックする営業時間や住所は正確にいれましょう
7、最後にオープン日の告知投稿を行っておきましょう。これで完成です!
食べログへの無料登録
食べログも登録のみなら無料でできます。
見慣れているお客様が多いため、食べログページから場所の確認ができると喜ばれます。
食べログでは認知を広げたい店舗向けに、
東京都内向けに3つ、地方地域向けに4種類の掲載プランがあります。
(プラン紹介:1万円、2.5万円、5万円、10万円)
有料プランでは写真やアピール文の設定ができるうえ、
「標準【会員店舗優先】」というタブメニューで表示され、自店舗のページを見てくれる数が増えます。
食べログは有料プランにすべき?
店舗のエリア・立地によって、利用を考えてみるのが良いでしょう。
そもそも、食べログでお店を検索するタイミングはいつでしょうか?
「日常的にいつも使う」
「出かける場所にある店を調べる」
お客様の行動として多いのは後者です。
そのため、食べログは繁華街ほど効果が出やすい特徴があります。
繁華街ではお客様の食べログ利用数・検索数も多いのですが、口コミ点数が高くないと自店情報がうもれてしまう可能性も。
一方、住宅立地では飲食店そこまで多くないため、有料でなくても目につく位置に表示されることがあります。
無料で良い位置に表示されるなら、わざわざお金を払う必要はありません。
「お店のエリアを調べる人がどのぐらいいるか」
「競合店はどのぐらいあるか」
この2つが、有料にするかどうか考えるための主な判断材料です。
ちなみに当サイト「みんなの飲食店開業」を運営する株式会社M&Aオークションは食べログの正規代理店。
・自店を有料プランにすべきかどうか。
・有料プランにするとどれくらい集客が見込めそうか。
・自店は無料プランで十分ではないのか。
あくまで公平にアドバイスさせて頂きますので、ご関心がある方はお問合せ下さい。
ランチからディナーへの誘導
高客単価の飲食店の場合、ディナーへの初来店誘導はなかなか難しいもの。
まずはランチで、中の雰囲気・料理のクオリティー・価格帯を知ってもらいましょう。
「知ってもらう」ことだけを目的にランチ営業をすると利益がとりにくいこともあるかもしれません。
そこで、ランチに来たお客様をディナーに誘導する工夫を行います。
①ディナーメニューはテーブルに置いておく
ディナーの価格帯を知ってもらうためにメニューは置いておきます。
「いくらかかるかわからない」
「どのようなメニューがあるかわからない」
こういったお店に『いってみよう』とは思わないですよね。
お店の自己紹介も兼ねて、テーブルに置いておきましょう。
②ディナー用のクーポン
夜に使えるクーポンは施策の王道です。
「ドリンク最初の1杯無料」「刺し盛り1980円⇒980円」など、ディナーで使える内容にします。
クーポン内容だけでなく、渡し方ひとつの工夫で反響率をあげることもできます。
ただ割引券を渡すのではなく「くじびき」にしている店舗も。
お客様自身にくじを引いてもらい、当たりハズレによって特典が変わるなど、記憶に残りやすくなる良い工夫です。
③お酒のボトルをディスプレイ
これはとあるラーメン居酒屋で行われ、ディナー誘致に効果のあった手法です。
昼はラーメン屋・夜は居酒屋として営業していましたが、夜への来店誘導が上手くいっていませんでした。
この店では昼にお酒の提供は行っていませんが、ボトルを目立つところに飾るようにしたのです。
その結果、ランチで来たお客様を夜の時間帯への来店に繋げることができました。
「夜は居酒屋として営業していること」「どのような(お酒の)銘柄を扱っているか」
この2点がお客様に自然と伝わるようになったようです。
「珍しいお酒扱っている」「豊富な種類をそろえている」といった、こだわりのあるお店には特にオススメ。
日本酒や焼酎、ワインなどお酒好きなお客様はチェックしているものです。
あ、好きなお酒がここで飲める
アレは飲んだことがないからチャレンジしてみたい
こう思ってもらえれば、ディナーへ来店いただける確率も高まります。
最後に、「D’etraison」と「Lupin」と私の奇跡の出会い
私としては本当に奇跡だと思っています。
たまたま同時期に開業を目指す一流フレンチシェフ(しかも知り合い同士)の独立のお手伝いを、たまたま私が担当させていただくことになろうとは・・・。
そして、お2人がほぼ同時期に開業するとは!
2人はもともと職場の同僚だった
おふたりのプロフィールをよく読んで頂くと、お気づきになるかもしれません。
三田シェフと山田シェフは、乃木坂の名店「レストランFeu」にて働かれていた時期が重なっています。
その後それぞれ別の道へ進まれた後も、年齢も近く共通の独立という目標を持つおふたりは、しばしば情報交換しながら励まし合ったり、刺激し合ったりする間柄だったそう。
私がこのお話を聞いたのは、おふたりにお会いしてからしばらく経った頃でした。
三田さん(D’etraison)に先に会っていました
きっかけは以前に開業相談に乗らせて頂いた麻生十番のオーナーシェフからのご紹介。
三田さんに初めてお会いしたのは、2016年7月。
「遅くとも年内には独立開業したい」という想いをお伺いし、物件探しや資金調達等のご相談に乗らせていただき、まずは物件探しからご支援をスタート。
事業コンセプトが明確であったため、三田さんのコンセプトに合いそうな居抜き物件をすぐにご紹介させていただきました。
良さそうなものは、現地を一緒に視察。
なかなか「コレだ!」と思える物件に出会うことができないまま、8月、9月、、と無情にも時は流れていきました。
3ヵ月後に山田さん(Lupin)がセミナーに参加
一方山田さんにお会いしたのは、三田さんとの出会いから3ヵ月後の10月。
独立開業の準備を進めるにあたり情報収集している中で、たまたま当社主催の開業セミナーの存在を知り、ご参加いただいたのがきっかけ。
セミナー参加後に電話で何度かご相談に乗らせていただきました。
「本八幡で気になる物件が見つかったので、内装工事や資金調達のことで具体的な相談をしたい。」とご依頼いただいたのは11月頃。
そこで、内装の設計担当者とともに、物件視察と立地環境の調査を兼ねて本八幡でお会いすることに。
山田さんが検討していた本八幡の物件は「居抜き」ではなく、内装も設備も何もない「スケルトン」物件。
しかも個人開業には、少し大きすぎるぐらいの坪数です。
どう考えても、内装工事や厨房機器類の購入にかなりの費用が掛かりそうでした。
実は、山田さんの(当時の)資金状況から考えて「ちょっと無理し過ぎでは?」と思い、当該物件での出店を諦めるように進言しようかと考えていました。
しかし、山田さんいは熱い想いが。
ようやく理想的な立地の物件に出会えました。難しいのは承知の上ですが、どうしてもこの場所でやりたいと考えています。何とかやれる方法を一緒に考えてもらえませんか?
内装の設計担当者に無理を言って、上手くコストダウンする方法を練りに練ってもらいました。
なんとか予算内に収まるめどが立ち、この物件で開業を進めるべく事業計画を策定していくことになりました。
話を聞いているうちに2人が知り合いだと発覚
後日、本八幡での事業計画を検討するため、山田さんに池袋の当社オフィスにお越しいただきました。
改めて、事業コンセプトやこれまでのご経歴をお伺いすると、、、
あれ?最近、すごく似た境遇の方のお手伝いをさせてもらっているんですよ。フレンチで長年修行されていた方で、ちょうど、客単価の設定も同じぐらいで。。ひょっとすると、年齢も同じぐらいじゃないかな?
えぇ!?ひょっとして、それって三田さんですか!?
いや、これには正直、ビックリしました。
いくら多くの独立や出店の支援をさせていただいているとはいえ…。
もちろん、山田さんも驚いていました。
いやあ、本当にこんなことってあるんですね。
たまたま同時期に開業を目指す一流フレンチシェフ(しかも知り合い同志)の独立のお手伝いを。
たまたま両方とも私どもが担当させていただくことになろうとは・・・。
確率論から言えば、相当に低い確率だと思いますが、これも何かのご縁でしょう。
成功するお店というのは、なぜか不思議な縁に恵まれるもの。
「このようなご縁を頂いたからには、意地でも二人ともしっかりと成功してもらわなればいけない。」
そんな妙なプレッシャーをいつも以上に感じました(笑)
その後は三田さん山田さん、それぞれの事情に合わせ、個々に別々の場所での開業をサポート。
物件契約・資金調達・内装工事・人材採用・オープン準備などのプロセスを経て、結果的にほぼ同じ時期(約1週間違い)でオープンに至る、、という奇跡!
偶然の一致にしてはできすぎな気もしますね。本当に不思議な、そして良いご縁です。
お2人の料理人の腕は折り紙付き。食べたら感動ものなので、お店が立ち上がりさえすれば全く心配していません。1人でも多いお客様に早く食べていただき、早くお店が軌道にのることを願っています。
■店舗情報
自由が丘のフレンチビストロ「D’etraison(デトレゾン)」
住所 | 東京都目黒区自由が丘2-2-11 |
アクセス | 自由が丘駅正面口より
徒歩で約8分程度 |
営業時間 | 12:00~13:30(※週末土曜、日曜のみ) 18:00~24:00(L.O22:00) ランチ営業、日曜営業 |
定休日 | 第1火・水、月曜日※第1週目を除く |
TEL | 03-6421-2386 |
本八幡のカジュアルフレンチ「Lupin(ルパン)」
住所 | 千葉県市川市南八幡3-8-13 |
営業時間 | 11:30~15:00(LO14:00) 18:00~22:30(LO21:30) ランチ営業、日曜営業 |
定休日 | 月曜日、第3火曜日 |
TEL | 047-711-1177 |
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1975年生まれ。東京都出身。
東証一部上場のコンサルティング会社にて、数百店舗の飲食店チェーンの立地診断・出店判断を担当。また、大手チェーンのM&A業務に関わるなど、多岐に渡る豊富な経験を持つ。
実務経験15年、1000店舗以上の支援実績を誇る立地戦略・物件開発のスペシャリスト。長年の現場経験に基づいた的確なアドバイスは、個人からチェーン企業に至るまで、多くのクライアントから絶大な信頼を集めている。