2021年現在、失敗率を下げ、もっとも低リスクで飲食店開業をスタートできる手法のひとつ。
それが【2ステップ間借り出店】です。
このやり方で、練馬でアジフライ専門店「アジ好きですか?」を開業し、あっという間に人気店オーナーとなられた嶌野(しまの)さん。
8月には「ぶらり途中下車の旅」で峯岸みなみさんが来店し、さらに注目を集めています。
今回は「アジ好きですか?」嶌野オーナーに、弊社コンサルタントの大森がインタビューさせていただきました!
”2ステップ間借り出店” 実際の流れはもちろん、創業融資に関するお役立ち情報も。
オンリーワンの店名に込められた考えや、サラリーマンから飲食店オーナーになった時の思いや、間借り出店時代のエピソードも語っていただきます。
リスクを下げて開業しつつスタートダッシュを掛けたい方には、大変参考いただける内容。ぜひご覧ください。
「アジ好きですか?」名前に込められたコンセプトとは
(大森) 「アジ好きですか?」嶌野オーナーにインタビューしたいと思います。
(嶌野オーナー) アジがとうございます。(笑)
(大森) よろしくお願いします。
(嶌野オーナー) よろしくお願いします。
(大森)
まだオープンしたばかりなんですが、この「アジ好きですか?」さんのコンセプトだったり特徴だったり、そういった部分をオーナーさんの方から説明してもらって良いですか?
(嶌野オーナー)
店名の通り、「アジ好きですか?」
みなさんアジは知っているじゃないですか?
大衆魚でやっぱり美味しい魚なので、漢字でも魚に参るって書いて「アジ」って読んだり、味が良いから「アジ」って呼ばれている魚なんですよ。
でも、やっぱりなんていうんですかね。
知られているわりにはなんか大衆魚なんですけど、そのワンランク上、もっと美味しい食べ方をみんなに知ってもらいたいというのでやりました。
僕の地元の故郷が「黄金鯵(おうごんあじ)」といって、ブランドアジがとれるところでめちゃくちゃ美味しいんですよ。
それをやっぱり「みなさんに知ってもらいたい」「故郷をアピールしたい」という思いでやりました。
(大森) 故郷は千葉県のどの辺ですか?
(嶌野オーナー) 故郷は千葉県の富津市というところですね。
(大森) 富津市でとれるということですが、黄金鯵の特徴とかどんなアジなのかについて少し教えてもらっても良いですか?
(嶌野オーナー)
一般的にアジって回遊魚なんですよ。
黄金鯵っていうのは「根付き」、回遊しないで根に付くアジなので、やっぱりなんて言うんですかね、人間でいったら「肥満」みたいなアジなんですよね。
なので、脂も乗っていまして、めちゃくちゃ美味しいです。
(大森)
この間、プレオープンの時に少し食べさせていただきましたけど、すごく身がフワフワしていて柔らかくてジューシーな感じがするアジですよね。
(嶌野オーナー)
はい。そうですね。
うちの「アジ好きですか?」の一番看板メニューが「プラチナアジフライ」と言いまして。
まあ、ただのアジフライなんですけど、白いアジフライ、低温で揚げて、まあいろいろ調理の仕方があるんですけど、そうするとすごい身がふっくらして、フワトロっていう感じですかね。
そういう感じで提供させていただいております。
(大森) めちゃめちゃ美味しかったです!
(嶌野オーナー) アジがとうございます(笑)
(大森) プラチナというのは白く揚げている黄金のアジということですか?(笑)
(嶌野オーナー)
そうですね(笑)
白と金で「プラチナ」(笑) 「おぉ~!」と思いましてね。
ちょっとね、それで売り出そうと思っています。
なぜサラリーマンから飲食業界に?
(大森)
今回、2021年6月28日にオープンすることになったんですけど、もともと創業に至ったこれまでの経緯というか、一番最初は学校を卒業されてから飲食ではなかったんですよね?
(嶌野オーナー)
全く違いますね。
まあ転々といろいろやっていまして、一番長いのはサラリーマンをずっとやっていまして。
やっぱり高卒で上が見えてしまったので、出世してもこのレベルだなと思ってつまらなくなってしまったんですよね。
そうした時に飲食をやろうかなと思ってまして。
そしたら、付き合いの中で「東京で飲食やらないか?」と言われまして、それで新宿の歌舞伎町でお店をオープンしたのが始まりでしたね。
(大森) 歌舞伎町でオープンしたんですね?
(嶌野オーナー)
そうですね。
インバウンド系の居酒屋をオープンしまして。
その時は調理は僕はほとんどやっていなくて、釣りが好きなので、魚に関しては普通の人よりは全然できましたけど「プロ」とは言えないレベルで、そこから始めまして。
釣ったアジをお客様に提供する中で、「やっぱり富津すごいね」「嶌野くんの地元すごいね」と言われることが多々あって、「(地元に)居たらわからないじゃないですか?」
都内に来て初めて地元の素晴らしさがわかって、「これはもう俺がやるしかないな」と思いましたね。(笑)
イチから料理の修行に行って、2年間修行しました。
単独店ではなく「間借り」でスタート。そのメリットは。
その中で友達の世田谷にあるとんかつ屋さんで「間借り営業」という形で、月に2~3回、最近は月に1回くらいしかやれませんけど、コロナ禍の中でやらせていただいて。
コロナ禍の中で1日100人オーバー来るようなお店になったので、このタイミングしかないなと思いまして、はい。
(大森) 間借り出店されたのが1年前くらいですかね?
(嶌野オーナー) そうですね、先月で1年経ちました。
(大森) その中で手応えをつかんで、「これはイケる」と思って?
(嶌野オーナー) はい、そうですね。みなさんが「美味しい」と言ってくださるので。
(大森) じゃあ満を持して自分のお店を出してという感じですね?
(嶌野オーナー)
そうですね。そこの「間借り」でブランディングできたので、良いスタートが切れたなと思っています。
※間借り出店の段階で嶌野オーナーのお店には多くのお客さんがついており、お客さんから「次はいつ営業するの?」と聞かれることも多かったそうです。
実際にお客さんへ営業情報を告知するために、TwitterとInstagramをフォローしてもらい告知を行っていました。
両方のSNSを合わせて1,500人程度のフォロワーがいたそうで、間借り出店時代から多くのファンの囲い込みに成功したことがうかがえます。
⇛ (参考記事)「間借り営業で客をつかみ、住宅地で行列を生むラーメン店に【おとなの塩soba】」
生産現場に足を運ぶことで仕入れが強化され、食材に対する考えにも変化が。
(大森)
サイドメニューも意外とたくさん出されていて、サイドメニューもご自身で考案されているんですよね?
(嶌野オーナー)
そうですね。
富津市は黄金鯵だけではなくてお米も野菜もやっぱりすべて美味しいので、「伝えたい」という思いがあって、メニューが多くなってしまいましたね。
ちょっと考えなければいけないところですね。(笑)
(大森)
地元愛というか、地元の漁師さんとか、農家さんとかけっこう実際に仲良くされているんですか?
(嶌野オーナー)
そうですね。ちょこちょこ休みの時に顔を出していますので。
僕もずっと地元にいたので、生産者が仲間とか先輩だったり後輩だったりなので、やっぱり付き合いやすいというか、みんな応援してくれるので「僕も頑張らないとな」と思いまして。
(大森)
InstagramとかTwitterで一緒に漁船に乗ったりとか、畑に行ったりとかされている(写真をアップされているんですね?)
(嶌野オーナー)
そうですね。
今までは何もわからなかったんですよ。
地元にいても漁の体験なんかしたこともなかったですし、釣りはやっていましたけど。
やっぱり行っていると全然食材に対しての扱い方が変わるので、みんな命がけで大切に提供してくれているので、それをけがすことができないというか、そこでプレッシャーも感じますし。
その分、フードロスとかいろいろな心構えも変わってきましたね。
本当に、はい。
※InstagramとTwitterを拝見すると、富津市の漁師や農家の方との素晴らしい関係性がうかがえます。
地元漁師や農家との強力なコネクションによる食材の仕入れが、店舗運営で強みとなります。さらに良質な食材が手に入ることをアピールして、創業融資申請でもスムーズな借入へとつながりました。
「アジ好きですか?」のネーミングで、お店のウリが明確に。
(大森)
今回、最終的にお店の名前は「アジ好きですか?」になったんですけど、店名つける時は他にもアイデアとかあったんですか?
(嶌野オーナー)
最初はやっぱりもっとカッコイイのにしようと思ったんですよ。
僕、「嶌野(しまの)」っていうんですけど、「SHIMANO」とか(笑)。
そういうのにしようと思ったんですけど、なんかもっとキャッチーなスッと入ってくるようなもので。
でも、オンリーワンのものが欲しくて、とか思ったら、普通に「アジ好きですか?」で訴えかけて、みんなが応えてくれるというので決めましたね。
※店名と同様、明確なコンセプトも重要です。コンセプト策定が開業の成否を握ると言っても過言ではありません。参考として以下の記事もあわせてご覧ください。
⇛ (参考記事)「カフェ開業、やめました。業態コンセプトの絞り込みで行列ができる繁盛店に(チーズケーキ屋ソラシナ)」
(大森)
私も食べてみて思ったんですけど、「アジ好きですか?」って聞かれて、好きな人は絶対に行くべきだと思いました。
(嶌野オーナー)
アジがとうございます。(笑)
(大森)
NOの人(アジが好きではない人)も、ここのアジはぜひ食べてみてもらいたいなと思いました。
好きではない人でも、恐らく食べたら好きになれるんじゃないかなというくらい、本当にクオリティーの高いアジだと思います。
(嶌野オーナー)
ありがとうございます。
一応、みなさんにけっこうな好評をいただいておりまして、まあ自信もありますし、その分、プレッシャーもあります。
(大森)
お店の名前と一緒にかわいいマスコットキャラクターみたいなのもいましたけど、そこにも思いを込められている感じですか?
(嶌野オーナー)
そうですね。
料理が美味しいのは正直言って、飲食店は当たり前だと思っているんですよ。
そこにプラスアルファ、ストーリー、生産者との思いとか、あとはブランディングですよね。
商売的な話になってしまいますけど、ブランディングで何か特化したいなと思いまして。
「アジスキー」というキャラクターがいるんですけど、知人のデザイナーに頼んで、「ちょっと描いてくれ」ということで。
開業時に大変だったことと、その解決方法
(大森)
今回、無事に開業できたんですけど、実際に開業の準備を進めていく中で、「ここは大変だったな」とか、「ここは苦労したな」という部分、今振り返って思うところはありますか?
(今も大変だと思うんですけど。)
(嶌野オーナー)
いや~、もうすべてが目まぐるしくて、毎日が早くて、「やらなきゃいけない、やらなきゃいけない」。
その中で大森さんにいろいろアドバイスやサポートをしていただいて、余計なことはプロにお任せして自分の本業をしっかりできたので、まだ、オープンして3日目ですけど、良いスタートが切れて、何て言うんですかね、この3日間、最高なパフォーマンスができたと思います。
(大森)
一番最初、嶌野さんにお会いしたのはうちのセミナーに来てもらったんでしたっけ?
(2021年1月下旬の当社セミナーに参加)
(嶌野オーナー)
そうです。そうです。
その時、僕は勤めていたんですけど、まあ、修業時代ですね。
みんなやっぱり飲食の方って独立したいという人が多いじゃないですか?
同僚がセミナーに行っていて、それで資料持ってきて、「嶌野さん、これ行ってくれば」と言われて。
無料だし良いなと思って、池袋だし。
僕、新宿で近いですし、行ったら「おっ!めちゃくちゃ良いな!」って思って。
「ありがとうございました。助かりました。」
※嶌野オーナーも参加した無料セミナー
⇛ 「独立の「ど」開業の「か」 「最初にツマヅカナイ」ための開業準備セミナー」
(大森)
私も開業する方にたくさんお会いしていますけど、たくさんお手伝いをしているとパッとお会いした時に、この人は経営者に向いている人とか成功するだろうなと思う人ってちょっとピンとくるところがあるんですけど。
そういう意味で嶌野さんは成功するだろうなと、初めてお会いした時に思いました。
(嶌野オーナー)
「本当ですか?!」
ありがとうございます。
(大森)
ちょっと問題はありましたけど(笑)
(嶌野オーナー)
まあまあ、たくさん大変でしたけど。(笑)
無事(にオープンできました)。
※開業で嶌野オーナーがもっとも苦労されたのは資金調達。自己資金プラス借入をしないと開業できなかったので、目標資金を調達できるように工夫しながら借入を進めました。
その際に特に強みとなったのが、間借り出店時代の実績やSNSのフォロワー数、地元の漁師や農家との強力なコネクションでした。
間借り出店時代の売上データもすべて保管しておいてもらい、融資申請の際に提示し、「少なくともこれぐらいの売上は見込めますよ」とアピールができました。
実際にSNSのフォロワー数も多く、オープン当初から固定客の来店が見込めたことも、融資申請のプラス材料となりました。
また、食材仕入れにも強みがあり、良質な食材を提供し続けることで安定した店舗運営につなげられることも大きなアピール材料となり、最終的には希望額通りの融資を受けることができました。
(大森)
オープンしてから3日を終えて、今日が4日目ということだと思うんですけど、この3日間のお客様からの反応とかどうですか?
(嶌野オーナー)
いやぁ~もう最高の状態だと思いますね、本当に。
もっとバタバタするかと思っていたんですよ。
パートナーがずっと一緒に働いていた子なので、コミュニケーションはもうばっちりなので、もっとバタバタするかなと思ったんですけど。
初日はやっぱりオペレーション、場所の都合でいろいろバタバタしましたけど、まあまあ最高な出だしだと思いますね。
まあ、言い出したらキリがないですけど、エゴサーチするのが楽しくなっています。(笑)
(大森)
もうけっこう書き込みとかされている感じですか?
(嶌野オーナー)
そうですね、ありがたいことに練馬区のグルメの方に書いていただいたりして。
(大森)
もう取材の話も来ているとか?
(嶌野オーナー)
そうですね。この後、某番組の(取材が入っています)。
※日本テレビ系列で毎週土曜日に放送されている「ぶらり途中下車の旅」に取り上げてもらいました。2021年8月14日(土)に放送。
(大森)
この3日間はランチはけっこうお客さんが入っていらっしゃって、だいたい3回転ぐらいですか?
(嶌野オーナー)
そうですね。3回転、4回転。
昨日は14時で1時間前に売り切れてしまって、まあ30食くらい。
平日は1日だいたい30食目指してやっているんですけど、3日間全て売り切れという感じです。
(大森) お店の席数がそんなに多くないですからね。
(嶌野オーナー)
そうですね。はい。
今後の展望「好きですか?シリーズ」
(大森)
当面はこのお店の立ち上げに集中する形になると思うので、まだ始まったばかりで恐縮ですけど、この後の将来的な展望というか野望というか、あれば少し聞かせてもらって良いですか?
(嶌野オーナー)
なんでこの店名(「アジ好きですか?」)にしたかというと、今回はアジですけど、他にも良い食材ってたくさんあると思うんですよね。
今後はそれに特化したお店をアジだったり、ブリだったり、マグロだったり、僕、比内地鶏も扱っていたんですけど、「比内地鶏好きですか?」でも良いですし、いろいろな展開をしていきたいと思っています。
(大森)
「好きですか?」シリーズで、楽しみですね。
(嶌野オーナー)
はい、よろしくお願いします。
これから開業する人への応援メッセージ
(大森)
最後に、これから飲食店の開業を目指す方々に向けて嶌野さんから応援メッセージみたいなものがあれば、アドバイスでも良いですけど。
(嶌野オーナー)
なんていうんですかね、こういう時期でコロナでいろいろ大変かと思うんですけど、きちんとしたことをきちんとお客様にお伝えできれば、間違いないと思うんですよね。
胃袋は減っていないので、そこですかね。
あとは「気持ち」ですかね。きちんと、切実にやっていれば自ずと周りも応援してくれますし。
加えてブランディングですかね。
自分をブランディングさせるのが一番手っ取り早いと思いますね。
(大森) 今日はアジがとうございました。(笑)
(嶌野オーナー) アジがとうございました。(笑)
『アジ好きですか?』の店舗情報
-
- 店名:『アジ好きですか?』
- 業態:アジフライ専門店
- 住所:東京都練馬区練馬1-15-2 ミラエル練馬西口1F
- アクセス:練馬駅西口 徒歩1分
- TEL:03-5912-3900
- 営業時間 11:30~15:00 / 17:30~23:00(※)
※時短要請期間中は要請に従います
※営業時間は予告なく変更になる場合があります
- オープン日:2021年6月28日
⇛ ※みんなの飲食店開業のYoutubeチャンネルに当動画をアップしています。
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編集後記 コンサルタント大森から見たポイント
今回の一番のポイントは資金調達です。
途中の補足でも記載しましたが、自己資金だけでは開業が難しい状態でしたので、融資を受けて開業を成功させようという思いでお手伝いをしておりました。
最初に聞いていた情報では不安に思うことも多かったですが、間借り出店時代の実績や地元業者との良好なお付き合い、嶌野オーナーの「飲食店経営を何としても成功させたい」という強い熱意などを感じて、徐々に上手くいくのではないかと思うようになりました。
最終的にはできる限りポジティブな情報を集めて、希望通りの融資を受けることができました。
また、エリアに強いこだわりを持たなかったことも開業成功の秘訣だと感じています。間借り出店時代にも住宅要素の強い地域で営業を行っていたことから、嶌野オーナー自身にもある程度「どこでもやれる」という自信がありました。
家賃などの兼ね合いもあって、最終的には練馬の物件に決まりましたが、変なこだわりやプライドを持たずに柔軟な物件探しをできたことがスムーズな出店へとつながったポイントです。
嶌野オーナーとはセミナーで最初にお会いしてから約半年での出店となりましたが、今後ともお店のさらなる成長と発展を期待しております。
開業に際して何かご不安な点があれば、無料相談や無料セミナーを活用いただければ幸いです。
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