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丸ノ内線「茗荷谷駅」徒歩約10分、小石川エリアにオープンしたイタリアンレストラン「FAMIGLIA」。ベルギーにある老舗イタリアン等で修業を積んだ腕の良い料理人である鈴木オーナーが、独立開業を決意するまでには様々な心の葛藤がありました。

鈴木オーナーが、不安恐怖に打ち克ち、最初の一歩を踏み出した「きっかけ」とは?

「FAMIGLIA」ってどんなお店?

(大森)こちらのお店の特徴とか、どういうお店なのか簡単に教えてください。

(鈴木さん)肩肘張らずにどなたでも、ご家族でもカップルでも、もちろんお一人様も、気軽にゆっくり食事をしていただけるというのがコンセプトで、三重県の漁港から毎週何度か直送してもらっている新鮮な魚介類を活かしたお魚料理を強くカラーとして打ち出しています。
カルパッチョだったり焼いたり、そういった料理の需要が高いです。
私は個人的にパスタがすごく好きなので、手打ちのパスタだったり、手を変え、品を変えやらせて頂いているところです。
お店の雰囲気としては、アットホームな「家族(※)」みたいな感じでやっています。

※店名の「FAMIGLIA」はイタリア語で「家族」の意

(大森)実際にご兄弟でやられてるんですよね?

(鈴木さん)そうですね、弟と二人でやっております。

オープンからの調子について

(大森)オープンから約半年、駅から遠いところではありますけど、順調にお客さんがついてきてる感じですよね。

(鈴木さん)そうですね、ここは居抜きで開業させて頂いたんですけど、以前の中華料理店がすごく有名なお店だったんで、それがすごくラッキーだったと思います。工事中も近所の住民の方はそうですけど、「あの中華の後だから何が入るんだろう?」と注目度、期待感などが結構あって。

お店に時々顔を出した時に、内装屋さんにも「なんかすごい見られているし、色々と聞かれるんですけど・・・」って言われてました。オープンがちょうど12月の繁忙期というか、その前に開店できたので、そこで上手くスタートできたかなとは思いますね。

(大森)結構早いタイミングで「忙しくて回らないですよ」って言ってましたよね?

(鈴木さん)お恥ずかしながら、売上や利益のことも考えなければいけないので、12月にどうしても開けたかったんですよ。そうしたらお陰様で、思っている以上にお客様に来ていただけて。

もちろん私や私の弟の友達や知り合いだったり、昔からのつながってるお客様もいるので、そういう方たちに支えられてなんですけどね。自分ももちろん、親もそうですし家族もそうですけど、ありがたいですね。

修行時代について

(大森)恵比寿など、都内のいろいろな場所でもお仕事されてたってことですが、一時期海外にも行ってらっしゃいましたよね?

(鈴木さん)若い頃、24歳から27歳まで、途中で一回、日本に帰ってきているので、トータルは約2年です。
イタリアンのお店なんですけど、私が行ったのはベルギーだったんですよね。

(鈴木さん)ベルギーにいる時に、1ヶ月だけバカンスを取って、イタリア・トスカーナ州のキャンティっていうワインで有名の村で、3週間ぐらい働かせて頂いたんですが、あとはほとんどベルギーのイタリアンレストランですね。

イタリアのフリウリ地方のご家族がベルギーに移住されてきてご家族で経営されているお店で、ブリュッセル(ベルギーの首都)の中では、2番目か3番目に古いイタリアンのお店と聞いてましたね。
当時の年齢で60才ぐらい・・・頑固な怖い親父が、ココ(下記写真参照)におっかない親父がいるんですけど、いわゆる「師匠」ですね。

(大森)師匠はイタリア出身でベルギーに移住されてイタリア料理店をやってらっしゃったってことですね。

(鈴木さん)そうですね。このお店の向かいがモネ劇場っていう大きなオペラだったりしたので、オペラの後の遅い時間から、わーっと沢山の方がご飯を食べに来るって方々もいれば、店内には有名なオペラ歌手などの写真やサインが飾ってあって・・。本当に格式・高級感のある良いお店でしたね。

海外修行で得られたもの

(鈴木さん)ヨーロッパに関しては、一人で若い頃に行って、なんとかやって帰ってこれたことがやっぱりデカいですし、あの頃に行けて良かったのかなっていうのももちろんあります。

(大森)大きな自信にも繋がりますし、視野が広がりますよね。

(鈴木さん)人間的にちょっと成長できたのかなって思いますね。
そのメンタル的な部分のベースは、そこを耐えてきたっていうのはあるし、あそこで頑張れたんだから、だいたいイケんじゃね?っていうのは、自信じゃないんですけど、それはありますね。

(大森)そういう経験積んだ人は強いですよね。

(鈴木さん)逃げたくもなりましたよ。ちょっと一日嫌だって言って逃げちゃった時もあったんですけど、その紹介してくれたシェフに「頑張れよユースケ」ってなだめられたり。
恥ずかしいんですけど、ホロホロ泣いて「もう無理です、もう無理です・・・」みたいな感じで、そんな20代でしたね。

帰国してから開業を決意するまで

(大森)海外修行を終えて、日本に戻ってきてまた別のお店でしばらく働きながらって感じでしたよね。

(鈴木さん)そうですね。

(大森)自分のお店を持つことはいつ頃から考えてた感じですか?

(鈴木さん)ベルギーのお店を紹介してくれたシェフが2店舗目を開けるっていうタイミングで、27歳の時に帰ってきて、シェフとしてお店を一つ任されて、そこで3年ぐらいシェフをやらせて頂いたんですけど、その頃からいずれ自分のお店をやってみたいなって。
そこのお店はスタンディングだったんですけど、カウンターキッチンの後ろにテーブル席もあったりして、お客様と話をしながら料理をする感じだったんですよね。
そういうのをやってて、「こういう風にお客さんのもっと近く」で料理・サービスを提供するっていうのも良いかな、こういうお店をいずれ出来るようになったらいいかなって思ってましたね。

店名もその頃からなんとなく「FAMIGLIA(ファミリア)」にしようかな、と思っていました。

その頃は家族でやるかどうかっていうのは決めてなかったんですけど、「家族」とか「家庭」とか結構自分なりに思い入れがあって。あと、向こう(ベルギー)のマダムは友達とか常連さんとかが食べに来ると、「ファミリアが来たから」って言ってたりしてましたね。

ファミリアって家族とかそういう意味なんですけど、友達だったり近かりし人たちにも使ってたりっていうのもあります。

その後も働いてて、例えば「なんとかファミリア(親しい仕事している仲間)で考えて」とか上司から言われたり、そういうのをひっくるめてなんですけど、自分の中でも名前はもうその頃から、コレにしようかなっていうのはなんとなく決めてましたね。

独立開業については、本当は32歳とか、35歳ぐらいまでと思ってたんですけど、実力も足りなかったし、経験値も足りなかったですね。その頃、結婚してすぐにでもやりたいなと思ったんですけど、かみさんにも「時期尚早すぎる、何も整ってないし、何も出来てないじゃん!お金もどうするの?」って言われて。

今思えば、お金もないのに店をやろうとか意味のわからないことを考えてましたね。

その後、何軒か勤めてたんですけど、最終的に一番長くお世話になったのが、8年間勤めさせて頂いた
恵比寿のイタリアンレストラン。その頃にスーシェフを任せて頂いて、その後、店長職をやらせて頂いて、それで数字のこととか結構クリアになってきましたね。そこはメゾネットで50席ぐらいの箱が大きかったお店で、結構売上のあるお店でしたね。

そこでの経験から、自分がお店をやる場合の売上や利益率などの経営数値を明確にして、「さぁ!いよいよ独立開業するぞ!」という時に現れたんですね。

コロナが。

で、どうしようかなぁ、もう一軒(コロナが落ち着くまで)どこかで働かなきゃダメかなぁって思って、勤め始めたのが、前職の飯田橋のお店。その頃ですね、大森さんに相談したのは。

(大森)そうですね、その頃でしたね。

(鈴木さん)一番最初に大森さんに相談に行ってから、具体的に動き出す1年ぐらい間が開いちゃったんですよね。子供のこともあって、ちょっと待とうかと思って。

(大森)1年ぐらい経ってから、また相談に来られた時もまだコロナの最中でしたけど、どこで踏ん切りがついた感じですか?

(鈴木さん)カミさんにケツ叩かれたんですよね。
やるならやる!やらないならやらない!」って。

アルバイトという状態だったので、「もう決めなよ!どっちか!」って言われまして。

「とりあえず、大森さんのところにサポートをお願いして、重い腰上げたらあんた動くんだから、覚悟を決めなさい!ってポンって感じで言われ・・・。「大森さんにお願いしなさい!」「わかりました!」ってそれからです、具体的に動き出したのは(笑)。

動き始めると、色々と動いてくるもので、一歩踏み出したら、もう引けないので、それからは結構自分でも、大森さんにお願いしますってなってから、資金のところもそうですけど、色々とお話は聞いてたので具体的な(物件探しなど)開業準備を進めていった感じですね。

物件探しについて

(大森)物件を探し始めてから、色々と見ましたし、結構時間かかりましたよね?

(鈴木さん)全部で15軒まではいかないですけど、10軒は見に行きましたね。
個人の新規開業なので立場的に弱いということもあったり、色々難しい問題がありましたね。

こんな難しいものなんだ。しかもちょうど開業したい人がすごい多い時期で、不動産屋さんもその時に言ってたんですけど、良い物件情報が出ると、もう「取り合い」になるっていうぐらい。15坪以下で探してたんですけど、小箱(10~15坪)はあんまり空かないんですよね。

コロナとかで潰れちゃったお店、チェーン店さんのような大きい箱はバンバン空いていくんですけど、(小箱が空かないので)物件探しが結構辛かったですね。朝イチで探しに行ったりして。

(大森)働きながらですもんね。

(鈴木さん)そうですね。
自分一人では無理だったので、カミさんにも探してもらって、何か物件が出るとすぐに俺のところへ投げてねって言って。

(大森)色々な物件を見られて、やりたかったけど他の人に取られてしまった物件もあったと思うんですけど、中にはココじゃないなっていうので見送りにした物件もありましたよね。

最終的に出店を決めたコチラの物件は、元々「中華の居抜き」で、以前のお店が繁盛してたっていうのはありましたけど、駅からは比較的遠くて、一番近い「茗荷谷駅」でも徒歩10分ぐらい、いわゆる「住宅立地」ですが、ココでやる!って決断する時に結構迷いとかあったと思うんですけど、決めたポイントはどこでしたか?

(鈴木さん)何しろちょっと焦りはあったんです。本当に物件が出てこなかったので。それでココが出たってなって、内見させてもらって、箱的にちょうど良いかなっていうのがまずあって。

広さも12坪ないぐらいで、あとは、前が繁盛しているお店だったことっていう前提があってのことだったんですけどね。駅から遠いんですけど、家賃がだいぶイイ感じだったんですよね。

上限として決めていた家賃よりはだいぶ抑えられたのもありますし、色々と考えてて、前のオーナーさんの話を聞いたりしても、「地域密着型ですし、大きな印刷会社さんもあるのでランチも需要がありますよ」って言われてたんで、ココで出来たらイイかなぁと思いましたね。

怖さとかはなかったですね。とりあえずやってみよう!っていうのはありました。居抜きで造作も結構良い状態で残っていたので、それも決めたポイントですね。

資金調達について

(大森)物件の申し込みと並行して融資申請も進めましたが、融資の方は割とスムーズに進みましたね。

(鈴木さん)それは大森さんのお陰です!本当に助かりました。

自分の中で、資金調達はずっとネック(悩みのタネ)になってた所だったんですよ。事業計画書を作ったりとか、個人でやったら(審査が)中々通らないって聞くじゃないですか。

しかもパソコンあんまり得意じゃないんで・・・本当に苦手なんですよ。

だからアレ(事業計画書作り、融資申請手続き、融資面接など)を手伝って頂けたお陰で、だいぶ背中を「ボン!」って押された感じです。本当に助かりました!

融資面接もあっという間だったじゃないですか。えっ!?もう!?みたいな感じで、イイのかなぁって。

(大森)これまでに一生懸命にずっとキャリアを積んできて、それなりに自己資金も貯めていらっしゃってましたよね。また、場所の割に家賃もお手頃で、失敗する要素がないっっていうのが、金融機関にも分かってもらえたのだと思います。

(鈴木さん)ホントにアレは助かりました。

アレを自分一人でやろうと思うと、結構な時間と労力になっちゃうんじゃないかなって。
数字引っ張ってとか、コンセプトがどうのとか、自分を売り込むための大量の書類をバンと作るのはすごく大変。

自分がやるのはそこじゃねぇな、そこはプロにお願いしちゃった方が絶対上手くいくだろうなって、自分の性格上そうなんですけど、もっと他のこと、例えば、サービスマンだったとしたら、そっちをやってたかもしれないんですけど、料理人なんで、そっち(料理)のことを考えたかったんですよね。

(大森)餅は餅屋じゃないですけど。

(鈴木さん)助かりましたよ本当に(4回目)

今後について

(大森)これから先、こういう風にしていきたいとか目標って何かありますか?

(鈴木さん)まだ一年経っていないので、一年通してみての流れが分かった上で、でも2店舗目とかっていうのは全く考えていなくて、とりあえずココを軌道に乗せるっていうのは第一なんですけど、
もう44歳なんで、そんな言うほど若くないので段々体が追いついてこなくなるんですよ。

なので、しっかり売るとこ売って、これ冗談半分で弟と言ってるんですけど、「飲食店のホワイト企業にしようぜ!」って。月8~9日、ちゃんと休んで、残りの21~22日でバチっと売るっていうのを目標にしたいっていうのは言ってますね。その方がお互いにやってて気持ちが良いし。

(大森)ちゃんと休みも取らないと、体壊したら終わりですからね。

(鈴木さん)バランス難しいんですけど、その状態にいけるように日々の売り上げ目標だったり、日々、週、月半分の目標を決めながら営業はしてますね。
今のところは、なんとかかんとか苦しかったり、ギリという時もあるんですけど、色んな方に支えられて、すごくたくさんのお客様にいらっしゃって頂いているので。

これから開業される方へ

(大森)これから開業される方に向けて応援メッセージをお願いします。

(鈴木さん)こんな私がいいんですかね、偉そうになっちゃうんですけど。

始めるのは怖かったですし、今も怖いなと思いながらやってるんですけど、でもやったらゼッタイ楽しいというか、やったことが全部自分に返ってくるのでそれが醍醐味だと思うんですよね。

もちろんどこにその満足感というか、例えば数字を作って、なんかいいなって思うのが面白い、それはそれですけど、お客様がすごく満足して頂いてっていうのもそうですし、料理もそうだし、サービスもそうだし、結局全部自分でやったことは自分に返ってくるので、それがあるから、やった方がいいなと思います。

疲れ方がなんかこう心地良い疲れ方になっている気がします。すっげぇ疲れるんですけど、毎日満席でバッと終わって、グワーッと2時間ぐらいで作りきって、パーっと皆さん帰られるんですよファミリーの方。

5時半に埋まって、8時半ノーゲストみたいなこと、結構あって、結構えぐいんですよ。そういう時でも、なんか良かったね。楽しく食事して頂いて良かったなっていうのもありますし、それでも一歩だけ踏み出せれば、もちろん、一歩踏み出しちゃうと引けなくなりますし・・・そうですね、こんな時代ですし、コロナが少し落ち着いてきたっていうのはすごく実感であるので、ここ2年、3年の間で「どうしよう、どうしよう」と考えていた方は、私もそのタイプだったので、今はイイ時期になってきたんじゃないかなと思います。

物件も色々また動いてきたりもするんでしょうし、さっきも言ったんですけど、自分でできないことはプロにお願いして、自分の出来るところをドンドン進めながら、先手先手を打ってやっていくといいのかなぁって、今思ってますね。

開業してすごい良かったですよ

毎日充実しています。

(大森)本日は、お休みのところ時間を割いて頂いてありがとうございました!
体だけは気を付けて頑張って頂いて、またお声がけいただければと思います。
ありがとうございました!

FAMIGLIA(ファミリア)の店舗情報

店名:『FAMIGLIA(ファミリア)』
業態:イタリアンレストラン
住所:東京都文京区小石川5‐38‐14
アクセス:茗荷谷駅から徒歩約10分
営業時間:11:30-14:30/17:30~23:00
※営業時間は予告なく変更になる場合があります
定休日:毎週月曜日
オープン日:2022年12月19日

インタビュー動画: 以下からインタビュー動画をご視聴頂けます

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